いくつかの不動産投資関連の書籍では、融資の元金返済額減価償却費を上回ってしまう時期を『デッドクロス』と呼んで、恐怖感をあおるものが少なくありません。

語感のためか、『デッドクロス』=『不動産運営の危機』のような誤った認識をしてしまう方も一部にはいらっしゃるようです。

 

ゴールデンクロスとデッドクロス

ちなみに株取引のテクニカル分析では、『ゴールデンクロス』の対になるものとして『デッドクロス』という言葉が使われます。

不動産では『ゴールデンクロス』という言葉が使われることはなく、『デッドクロス』のみが使われるため、ネガティブに不動産投資の危険性をあおる言葉になっている気がします。

 

不動産におけるデッドクロスとは

不動産におけるデッドクロスは、実際に財布から出ていく金額より経費計上できる金額の方が少なくなる(時期の)ことを指しています。

もっと具体的にいうと、

実際には出費するが経費に計上できない元金返済額

実際には出費しないが経費に計上できる減価償却費

上回ってしまうことです。(元金返済額 > 減価償却費)

 

税負担が増える

デッドクロスを超えると、課税前キャッシュフローよりも帳簿上の課税所得の方が多くなるために、手元に残っている現金に比較した税金の割合が増えてしまいます。

その状態がどんどん進行して、納税すると手元の現金がなくなるという状態であれば危機的状態です。

 

デッドクロスが悪いわけではない

つまりは『デッドクロス』のタイミングそのものが危険というよりは、税額が年々増えた時にキャッシュフローがどこまで持ちこたえられるかというのが大事なポイントです。

例えば、次のケースを考えてみます。

  • RC築17年 1億円の物件をフルローンで購入
  • 金利2%で30年ローン
  • 1億円のうち建物が8000万円、土地が2000万円

 

このケースでは、年間の減価償却費は242万円、初年度の元金返済額は246万円なので最初から元金返済額の方が大きくなります

そもそもデッドクロスは問題ではないのです。

※ここでは考慮していませんが、建物の一部を設備として定率償却すると初期の減価償却費はもっと大きくなります。

 

大事なのは長期CFシミュレーション

購入した時の条件が以下のようになっているとします。

  • 表面利回り 10%
  • 毎年の家賃下落率 1%
  • 空室率 20%
  • 所得税率 23%

 

すると初年度のキャッシュフローは150万円(購入諸費用を除いています)。

これが13年目に半分の75万円に。

そして25年目マイナスになってしまいます。

 

仮に上の物件で表面利回りが11%超であれば、融資返済までにキャッシュフローがマイナスになることはありません。

つまり、気にするべきはデッドクロスではなく長期のキャッシュフローシミュレーションなのです。