こんにちは。税理士兼大家の鵜之沢巧です。

税理士という仕事の関係上、お客様の代わりに融資を打診を行うことがよくあります。

そんな時に金融機関が最も見ている個所とは?

利益が出ているのに融資NG!?損失なのに融資OK!?

数年前にA社とB社の2社をほぼ同時に融資の打診をしました。

A社は小規模ながらも利益が出ています。
B社は赤字の会社でした。
ちなみに2社とも不動産投資とは関係ない一般の事業会社です。

当時知識の乏しかった私は、A社は融資が通るけどB社は厳しいだろうなと思っていました。

しかし、銀行側の結論はA社は融資NG、B社は融資OKと私の想定と真逆でした。

2社は何が違ったのでしょうか?

まずはキャッシュフローをチェックする!

A社は利益が出ているけど、キャッシュフローが出ていませんでした。
一方でB社は損失だけれども、キャッシュフローが出ていました。

キャッシュフローには以下のような簡易的な計算方法があります。

税引後利益+減価償却費-借入元金返済

よく言われていることですが、減価償却費はキャッシュアウトのない経費なので、キャッシュフローの計算上は税引後利益に足し戻して考えます。

一方で借入元金返済は費用とはなっていませんが、キャッシュアウトがある項目ですので、最後に差し引きます。

お客様からよく聞くのが「銀行からは減価償却費による赤字ならばOKと言われている」というようなことです。

これは正確に言えば、減価償却費による赤字ならばOKというわけではなく、キャッシュフローが出ればOKということです。

従って、赤字の原因が減価償却費に見える場合でも、借入元金返済が大きい場合は、キャッシュフローは出ずにNGとなるケースもありますのでご注意下さい。

ここでA社とB社に簡単に数字を当てはめて考えてみましょう。
数字はてきとうですが、以下のようなイメージです。

【A社】
税引後利益     100
減価償却費       0
借入元金返済   -200
キャッシュフロー -100

【B社】
税引後利益    -100
減価償却費     400
借入元金返済   -200
キャッシュフロー  100

A社は不動産投資でいうとデッドクロスの状態に陥っている法人ということになります。

銀行はA社のようなキャッシュフローが出ていない法人には貸したがりません。

仮に今回融資を受けようとしている物件がどんなにいい物件だったとしても、その物件から生み出されたキャッシュフローが他行の借入返済に回されてしまったら…と考えてしまうそうです。

私自身もこのキャッシュフローの計算は重視しており、決算の度に計算して、法人全体としても各物件ごとにもキャッシュフローは出ているということを主張できるようにしています。

今まで意識をしていなかった人は、過去の決算書等から一度計算してみるといいと思います。