不動産投資を行っていると避けて通れない出費に「現状復帰」があります。

以前は敷金から充当するといった方法が取られていましたが、

最近では国土交通省からの通達などにより、

現状復帰では敷金が使えない方向になってきました。

対抗策として入居時に修繕負担金として徴収するやり方もありますが、

敷金のような高額は受領できないのが現状でしょう。

さらには、築年数の経過した物件では現状復帰だけでは競争力が乏しく、

リノベによる間取り変更などの、

模様替えも行わなければならない場合もあります。

こうなってくると1戸で100万円超えなんて工事事例も珍しくありません。

 

前記したような高額な工事も、

1室ずつ間を空けて発生するのであれば良いのですが、

年度末のように一度に複数の戸が退去となると大家は大きな出費となります。

大きな物件では10室以上一気に空室になることもありえます。

こういった場合、発生した空室を一気に手がけるべきなのでしょうか。

年度末であればこの期を逃してはなるものか!

といった勢いで全室やりたいところですが、

全室やって満室にできなければ出費の回収に時間がかかります。

しかもそのお金をかけた部屋作りが、

ニーズに合っていない作りであったらどうでしょう。

そこから作り直すとなると更に出費が大きくなります。

 

私はこういった空室の現状復帰やリノベは資金に余裕がある方以外、

一気にやるべきでは無いと考えます。

むしろ繁忙期を逃さずにやってしまった方が良いと思われがちですが、

一気にすべての空室を満室にするのは競争力のある部屋作りが求められます。

お金をかけてリノベをしたが空室が埋まらなかったでは大変です。

 

まだ保有棟数も少なく、資金もCFも余裕が無い場合、

2室程度をまず手がけてみるのが良いと考えます。

なぜ、2室か?

これは入居者需要を探るためです。

例えば最近の傾向で和室というものが敬遠されるようです。

しかし、年代や地域によっては和室が欲しいという要望も少なからずあります。

こういった状況では和室有りの部屋と無しの部屋を同時に提供してみるのです。

意外に和室のある戸が先に入居するかもしれません。

そうであった場合、

和室から洋室への余計な工事費が節減できたことになります。

そして残っている現状復帰前の戸も和室付きの戸とすれば良いのです。

多数の戸が空室の場合、この方法でニーズがリサーチできる利点もあるのです。

 

よく、管理会社や施工会社は複数戸を一緒にやったほうが安いといいます。

これは確かにその方が安い場合があるでしょう。

でもこれは一気に多額の工事費をゲットしたい業者側の思惑が強いのです。

実際一気にやった場合と戸別に対応した場合での金額差は意外に小さいのです。

工事金額は数量で決まってくるので差が出るのは管理費や諸経費の部分です。

ただ、この管理費や諸経費は全体工事金額との比率では大きくはありません。

しかもなくなるのではなく割引になる程度です。

費用対効果を考えた場合、あまりメリットは感じないのが正直なところです。

実際私も現場で施主に言うことがあります。

「この工事も今一緒にやった方が安くできますよ!」ってね。

内心、あまり安くはならないけどなんて思うこともありますが、

噓を言っている訳ではありませんので、念のため。

 

私自身今までに購入した物件は空室の多い物件でした。

しかも購入時には空室は現状復帰前という状態です。

4戸空いている物件も2棟経験しましたが、

どれも一気には工事せず様子を見ながら、

徐々に手がけていき無事満室にしたのです。

恐らく当時一気に全戸工事を行っていたら資金が回らなくなっていたでしょう。

 

大家心理として一気に片付けたい気持ちはわかりますが、

多角的に考慮すれば一気にやるリスクは大きいのではないかと思います。

時期や物件にもよりますが、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

戸田 匠