こんにちは。税理士兼大家の鵜之沢巧です。
先週の続きで自己資本比率についてです。
フル・オーバーローンでの購入は自己資本比率は下げる
9,500万の借入をして1億の物件を購入した場合、自己資本比率は5%となると計算しました。
決算書としては以下の通りとなります。
では、同じような物件をもう1棟購入した場合はどうなるでしょう?
但し今度は自己資金500万を1棟目で使い切ってしまいましたので、フルローンで購入しました。
決算書は下記の通りとなります。
こうなると自己資本比率は、
純資産÷(負債+純資産)×100=500万÷(19,500万+500万)×100=2.5%
となります。
当然ながら自己資本比率は下がりました。
なお、上記の試算では、諸経費を一切考慮してません。
実際には7%相当の諸経費が発生するので、その分をオーバーローンにより賄うとすると自己資本比率の指標としては更に厳しくなります。
フルローン、オーバーローンと聞くと良いことに思いがちですが、このように融資のための指標上は悪くなっていきます。
自己資金の金額は限られている以上、物件を買い進めていくにつれて自己資本比率は低くなっていくでしょう。
それでも最初はフル・オーバーローンを狙うべき?
投資スタンスにもよりますが、サラリーマン大家でアーリーリタイヤを目指す場合、投資初期の頃は自己資本比率が下がるのはやむを得ないと思います。
自己資本比率を高く維持するためには、自己資金の投入が必要ですが、自己資金が溜まるのを待っていたらいつまでたっても不動産を購入できません。
幸いにもサラリーマンが借りやすいアパートローンについては、この自己資本比率はあまり重視されない傾向にあります。
そのためフルローン、オーバーローンでなくとも、なるべく自己資金を少なくして物件を購入したいものです。
まずはアパートローンである程度の規模まで拡大し、その後自己資本比率等の指標を高め、プロパーローンでより有利な条件で借入をしていく、という方法が個人的にはいいのでは?と思っています。
アパートローンで規模を拡大した人ならば、毎月数十万程度のキャッシュフローが出ているでしょう。
そのキャッシュフローをひたすら溜めれば、自己資本比率も改善していきます。
そして審査が厳しくなりがちなプロパーローンを受ける際は、フルローン、オーバーローンで温存しておいた自己資金に加え、物件からのキャッシュフローの累積を投入すれば、比較的自己資本比率が高い状態で物件を購入できます。
プロパーローンで購入した物件のキャッシュフローを今までの物件に合わせれば、更に自己資本比率改善のスピードは速くなります。
これを繰り返していくのが不動産投資なのだと思います。
自己資本比率についてのコラムはもう少し続きます。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました!
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