こんにちは。税理士兼大家の鵜之沢巧です。

自己資本比率についてのその4です。

自己資本比率の高め方

基本的に自己資本比率は高いほうが良いのですが、ではどのようにすれば自己資本比率は高くなっていくのか?

答えは単純で借入を減らすか、純資産(利益)を増やすということになります。
そのためにぱっと思いつくのは下記のようなことです。

・繰上返済
・経費削減
・物件の売却

繰上返済については、当然ながら手元の現金が減ってしまいます。
よほど現金に余裕のある人ならば別ですが、そうでなければ少なくとも規模拡大を目指しているタイミングではやめたほうがいいでしょう。

次の経費削減は、当たり前といえば当たり前です。
特に初期のころは無駄な支出をカットし、資金流出を防ぐということは大事です。

好きな人ならばDIYで自分でできることはやってみるという姿勢でもいいと思います。
多少失敗したとしてもその経験は後で生きてくるはずです。

一番効率のいい物件の売却

最後の物件の売却は手っ取り早く自己資本比率を改善できます。
例えば、今売れば1,000万の売却益が得られそうな物件を保有していたとしましょう。

金融機関がその物件を1,000万の含み益がある物件として評価してくれるかというと、基本的には難しいでしょう。

金融機関としてはまだ確定していない、不確実な損益をもとに融資の判断をするわけにはいかないからです。

となると、この含み益を確実に評価してもらうには売却により益を確定させるしかありません。

売却すれば、借入も減り、さらに利益が出るわけですから、自己資本比率は劇的に改善します。

なお、その物件の担保評価>帳簿上の不動産価格の物件ならば、その担保評価をもとに含み益の評価をしてもらえる可能性はあります。

この点を踏まえると、担保評価はあまり高くないが、売却益は出そうな物件を売却するのが、自己資本比率を高めるという観点では一番効率がよさそうです。

物件の担保評価は、掛け目が入ることがほとんどですし、銀行によってかなり違いますので、どの物件を売却すればいいのか?というのは、お付き合いのある銀行に聞いてみてもいいかもしれません。

ただ、難点としては売却益が出るので、納税も発生するということです。
融資のコツその2で取り上げたように、節税対策と融資対策は相反するものです。

規模の拡大を目指すならば、ここはぐっとこらえて納税をし、より良い条件で次の物件の融資を引いたり、借り換えをして金利を下げたりすれば、納税分についてはすぐ回収できます。

目先の納税というキャッシュアウトにとらわれず、将来のキャッシュフローを取りに行きたいところです。

自己資本比率についてはかなり長くなっているので、次のコラムくらいで終わりにしようと思います。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました!