地方都市(静岡)で中古収益物件を購入した投資家Mさんが居ました。

 

物件価格:80,000,000円

表面利回り:約8.75% 年間収入:約7,000,000円)

構造:RC造4階建 (2DK×12戸、駐車場有り)

築年数:30年で購入

入居率:8/12(現状年間収入:約4,800,000円)

購入時資金:80,000,000円のフル融資、返済30年、金利4.5%

 

この物件は金利4.5%で30年返済にてフルローンを引くことになりました。

ローンの返済は4,864,188円/年となり、

現況では既に年間家賃額を超えています。

満室になればCFもプラスになりますが、

100万円~150万円程度ではないでしょうか。

なんでこの物件を買ってしまったのでしょうか?と私は思います。

 

購入時の物件状態ですが、

敷地内に様々なモノが処分されずに散乱しておりました。

建築当時の残材と思われるものまで30年放置されているようです。

管理会社もやる気が無いのかいい加減なのか理解に苦しむところです。

当然清掃もあまりしていないようで、エントランスはゴミが散乱しています。

 

建物自体も構造に大きなクラックが発生しており、

爆裂箇所も確認できました。

このまま放置すれば廃屋のようになっていきそうな雰囲気です。

もちろん、屋上防水や外壁塗装の修繕などしていません。

建物内部も退居部屋は未リフォームであり、客付け対応には費用がかかります。

キッチンは汚れが酷くボロボロです。

換気扇ももう限界でしょう。

給湯器はキッチンに設置しており、

お風呂は懐かしいバランス釜を使用していました。

まぁ、昭和期以前の物件ではありがちな設定でしょう。

これではただ、原状回復しただけでは客付けは難しい状況です。

家賃を大幅に下げれば原状回復だけでも何とかなりそうですが、

もともと利回りが高い物件ではないので今以上家賃を下げたら危険です。

 

ここで取るべき対応はまず客付けに競争力を付けられるようなリノベでしょう。

前述のキッチン、換気扇、給湯器は最低でも交換が必要と思われます。

家賃を下げたくなければ風呂の取替えも必要でしょう。

ここまでやれば恐らく1室200万円コースです。

本当は屋上防水と外壁塗装も行いたいところですが、

ここまでやると莫大な費用になってしまいますのでとりあえず後回しです。

でもいつ雨漏りが始まっても不思議でない状況です。

 

こういった提案はできるのですが、Mさんはお金が無いそうです。

フルローンで購入できたのは良いのですが、諸経費分は自己資金だったため、

手持ちの資金がなくなっていました。

まさか、購入直後にこんな費用が発生するとは思わなかったそうです。

これは困りました。

資金が無ければ何もできません。

何とか原状回復として壁紙、床クッション材、天井紙は交換し、

あとの汚れている設備などは清掃にとどめて入居者募集をしました。

しかし、

予想通り1ヶ月が過ぎ2ヶ月が過ぎ、半年経っても部屋は埋まりません。

当然と言えば当然かもしれません。

家賃額は周囲の同等フルリノベ物件よりも高いからでした。

 

Mさんはもう懲り懲りでこの物件を処分したくて売りに出しました。

これも価格設定が買ったときと同じ価格のため誰も買いません。

現在は赤字分を自分の本業収入から補填しています。

他の物件を買い増そうと銀行に融資相談に行ったのですが、

今所有している物件を売却しなければ融資できないといわれてしまう始末です。

 

今回の事例での問題点は2つあります。

ひとつは物件購入前の調査を十分に行わなかったことでしょう。

物件調査を行っていれば購入後に直ぐに必要な費用が想定できました。

そして大規模修繕も数年以内に必要になることもわかったでしょう。

必要になる費用を把握できれば購入時に指値ができたかもしれません。

また、指値が通らなければ購入断念と言う選択もできたのではないでしょうか。

Mさんは始めての物件だったため、

その辺がよくわからなかったのではないかと思います。

 

二つ目は、やはり金利が問題であります。

この金利が半分になるだけでも年間数百万円違ってきます。

本物件は静岡県内の物件ですが、東京の方が購入しました。

越県する場合、使える金融機関が限られてきます。

都市銀行系であれば1%を割る金利で貸してもらえることがありますが、

本物件のような状態では高金利金融機関でないと融資を引くことができません。

そこが、高金利金融機関の狙い所なのです。

都市銀行系または両地域に支店がある低金利融資が引けない物件は、

それなりのワケがあることを認識して購入判断すべきでしょう。

 

戸田 匠