みな様、根本伸之のコラムをお読みいただき誠にありがとうございます。

 日銀黒田総裁の会見やニュースなどでインフレ目標2%という政策を聞いたことがある人が多いと思います。

 日本社会は長期間、デフレに悩まされてきました。アラフィフ世代の私にとってみれば、確かに長期間のデフレを実感しています。

 30年ほど前に新社会人になったころには、スーツは安くても5万円はしました。ワイシャツも当時1枚5000円は当たり前です。

 現在は、スーツは1万円台、ワイシャツに至っては1000円台で購入できます。しかも、品質は30年前のものと比べてそん色はありません。

 その他にも価格が下がったものがたくさんあります。100円均一のショップが駅前にたくさんありますが、30年前は考えることも出来なかった商品が100円で売られています。

 ここ30年間でものの価格はどんどん下がっている印象です。

 一方値段が上がったものもたくさんあります。公共料金やたばこやガソリンのような税金が含まれているようなものは、値段が上がった感覚です。
 当時は、タバコは1箱20本で180円。ガソリンは1リットル90円程度でした。

 物価が下がってほしいという、切なる生活者の想いはあると思いますが、皆さんは、以下のどちらのほうが良いと思いますでしょうか?

1.「この先、物価が下がるけど、収入も同じぐらいの比率で下がる。」
  (デフレ)

2.「この先、物価は上がるけど、収入も同じぐらいの比率で上がる。」
  (インフレ)

 まさに、日本の長期のデフレ時代というのは上記の1のようなものでした。

 生活の観点では、どちらもあまり違いはないかもしれません。上記2の物価が上がる部分については、一人の生活者の意見として、抵抗感が非常に高いですよね。

 しかし、この1と2では大きな違いがあります。

デフレは、生活がどんどんつらくなる。

 まず1は、「物価も収入も下がる」です。

 人間の心理として、物価が下がるのなら、欲しいものを買うのを先延ばしにしようと考えます。つまり消費が落ち込みます。だから収入も下がります。さらに金融機関から借入してでも欲しいものを先に手に入れたいという気持ちがなくなってきます。

 借金についてはどうでしょうか?
 物価が上がろうが下がろうが借金の返済額は変わりません。金利は多少安くなるとは思いますが、全体の比率からすると大したことありません。収入が減っているので、収入に対する借金返済額の比率がどんどん上がっていきます。更に生活が苦しくなっていきます。

 投資をしても物価が下がるのでリターンも減っていきます。

インフレは、どんどん楽になる。

 次に2の「物価も収入も上がる」です。

 将来モノの値段が高くなると思えば、先に購入しようと考えます。借金してまでも早くほしくなります。将来は収入が増えるので問題ないです。収入に対する借金の返済比率も下がってきます。生活はどんどん楽になっていきます。物価が上がることで投資に対するリターンも高くなります。つまり、投資が活性化します。

インフレは政府から見ても嬉しい。

 政府から見た場合にも嬉しい点があります。所得税は累進課税ですから、収入が増えることで税収がどんどん増えてきます。税収に対する国債の返済額の比率も下がってきます。

 このように2の「物価も収入も上がる」というインフレが非常に良いことになります。

 不動産投資も、もし家賃が少しずつ上がれば、返済比率も毎年下がってきますね。こんな時代になってほしいものです。

急なインフレは怖い。難しいかじ取りが必要

 しかし、急激に上がると投機マネーがたくさん入ってくることになるのでバブルになってしまい破たんしてしまいます。少しずつゆっくりと物価も収入も上がっていくようにしなければなりません。

 アベノミクスでは、インフレを起こすべく、物価と収入の少しずつの上昇を目指しているのですが、かなり難しいかじ取りであることが分かります。

 最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
根本 伸之