はじめまして、地主の婿養子大家です。初めて、コラムを書きますので、下記に簡単なプロフィールを載せます。

 

【プロフィール】

神奈川県在住。35歳。大手不動産仲介会社で売買仲介営業の経験を経て、専業大家になる。

総投資額20億円(うち売却済み3棟)。保有物件は1棟マンション8棟、1棟アパート1棟、戸建6戸、区分店舗3戸、1棟ビル1棟、総管理戸数213戸(うち自主管理165戸)。年間家賃収入約1億8,500万円。購入物件はすべてフルローンもしくはオーバーローンにて購入。稼働状況98%程度を維持。

 

今回、楽待で問い合わせた物件を購入したのですが、その過程で新たな発見がありましたので、それについて書きます。非常に長くなりますが、参考になることもあるかと思いますので、お読みいただけると幸いです。

 

【物件概要】

エ リ ア:神奈川県相模原市

販売価額:29,800万円

表面利回:7.1%

構造階数:鉄筋コンクリート造4階建て(エレベータ付)

築 年 数:築17年

アクセス:JR駅徒歩5分

総 戸 数:20戸(駐車場28区画)

間 取 り:3LDK

 ※今回購入したRC4階建て

 

【問い合わせから現地案内】

横浜市・川崎市でなかなか良さそうな情報がなく、検索範囲を広げて神奈川県内の物件を検索していると、上記物件が目に留まりさっそくTELにて問い合わせ。まだ出てきたばかりの新着情報なので、メールだとタイムロスが生まれるため、急ぐ場合は必ずTELで問い合わせます

問い合わせたのが、夜だったので、現地案内は翌朝10時にアポイントをとりました。この時、絶対に確認しておくべきこととして、「売主が転売業者かどうか」があります。売主が転売業者の場合、値段交渉が非常に難しい可能性が高く、せっかく良い物件でも買わないことが多いからです。

この物件の売主は、個人の素人さん・・・①でしたので一安心。

 

現地では、写真を100枚ほどとり、測量図面を見ながらお約束の境界確認をしました。ここで、仲介会社も気づいていない重大発見・・・②をしましたが、後の交渉に使うので、その場では何も言いません。外観も非常にきれいで、管理が行き届いている感じです。

当時、満室と聞いていましたが、ベランダ側から見ると1部屋カーテンがない様子でしたので、聞いたところ、契約済みで入居前の空室があるとのこと。お願いをして、内覧をします。

中はまだ原状回復工事前でしたが、比較的きれいでした。経験上、入居者の属性や特徴はエリアや賃料帯によって異なるので、私は入居者の質を確かめる方法の一つとして、退去後の部屋のダメージを結構参考にします。わりと素直な入居者が多いのではと判断しました。

現地確認後、そのまま仲介担当者を誘ってランチへ。(買付を入れる可能性が高いと思った時は、担当者との距離を縮めるために必ずランチかお茶へ誘います)。

 

【ランチの中で】

まずは、担当者に案内のお礼をし、前向きに進めたい意向をほのめかします。担当者から、物件が新築時から満室経営であることや仲介会社が設計から建築までした建物であることと管理もずっとしていること・・・③を伺いました。

問い合わせの段階で聞くとトゲがあるので、専任媒介か一般媒介かもこの時に確認し、専任媒介であること・・・④もわかりました。

もちろん投資家の誰もが一番気になる値下げ幅についても確認します。利回り7%の物件をそのまま買うわけにはいきませんからね。

 

以下、担当者とのやりとり

 

担当者「先日、満額で申込みが入りましたが、金融機関から自己資金3,000万円

    必要と言われ、申込み破棄となりました。」

私  『この規模の物件を購入できる人で、事前に借りられるかどうかも把握し

    てない人が本当にいるの?』と思いつつ、「売りに出してすぐに満額の

    申込みが入るくらいだから、値段の交渉は難しいですよね~。」

担当者「ん~、28,000万円以下はさすがに不可能だと思います。」

私  『なるほど、28,000万円までは裏が取れている可能性が高いな。』

    と判断。

 

最後に、私が購入する場合、オーバーローンで購入すること、最近、メインバンクで本物件と同規模の融資内諾が出たが2番手となってしまい買えなかったこと、帰宅したら検討後に申込みをする旨をお伝えして解散。

メインバンクの下りは、担当者に対し、私がすでにメインバンクが存在し、融資承認される可能性が高いことをアピールするためです。そうすることで、担当者も成約に向けて、売主さんへの交渉を頑張ってくれます。買主が、必ず融資が承認される存在であることは、仲介担当者にとって、骨折り損にならず交渉がまとまりさえすれば成約になることの裏付けとなり、売主にとっても非常に重要なファクターだと思います。

 

【買付証明書作成】

帰宅後、シミュレーションを終えて、私がまず作成したのは、買付証明書ではなく売主様への手紙(買付理由書)です。私は、売主が個人の素人と判断した時、必ず2,3時間かけて買付理由書を作成します。投資家や業者が売主の場合には、最終的に金額で判断される可能性が高く徒労におわることが多いので書きません。

今回は指値幅がまあまあ大きく、買付理由書の効果も大きいと思ったので、みっちり3時間かけて作成し、売主さんの気持ちになって何度も何度も読み返しました。

 

申込金額は26,000万円。確定測量とオーバーローン特約を条件としました。

 

【売主からの回答から契約へ】

買付を提出してから、翌々日に担当者から連絡があり、指値額の26,000万円で承諾がいただけたのこと。

私は、仲介会社と売主の信頼関係が強ければ強いほど、回答を得られるまでの時間が短い傾向にあると思います。その理由は、グリップ力です。

専任媒介の場合、仲介会社にとって買主が自社のお客さんであれば、仲介手数料が売主・買主双方からもらえるため、少々無理な交渉も頑張ります。その場合、グリップ力が強ければ強いほど、短時間で売主を説得する傾向にあると思います。

この期間が短かったので、現地案内時の重大発見・・・②による再値引き交渉ができる自信が出てきました。

 

【契約前現地確認】

契約3日前、担当者へ連絡し、境界について気なることがあると伝え現地で会うことになります。

ここで、重大発見・・・②を発表。

対象不動産の隣接地に売主さんの家が建っているのですが、その家が対象不動産へ越境して建てられているのです。

当初、対象不動産の敷地と売主さんの家の敷地を分筆して引渡すだけの予定が、対象不動産の敷地を食い込む形で分筆をしなければ、越境が解消されません。

言い換えれば、購入予定地の面積が減ることになります。それも60㎡以上も。これは路線価で見て約1,000万円の資産価値が下がることを意味していました。

厳密に言うと、値下げする必要はないのですが(数量指示売買ではないため。これについてはまた次の機会に説明します)、担当者はあわてて、売主さんのところへ再訪し、売買金額を25,000万円へ再調整してくださりました。これで、安心して契約することになりました。

今回は、一度に29,800万円から25,000万円へ大幅値下げ交渉すると、金額が大きくなりすぎ、断られるかもしれないため、最初から2回に分けようと思っていました。(この方法は、値段が下がる要因が売主側に強くないと契約自体が破断になる可能性もあるので注意が必要だと思います。。。)

 

 

【まとめ】

今回、下記条件が揃ったことにより、偶然にも29,800円(表面利回7.1%)の物件を25,000万円(表面利回8.4%)で購入することができました。現在、携帯アンテナ基地局とのアンテナ設置料の交渉や、プロパンガス業者の見直し、自動販売機の設置をしており、最終的には表面利回り9%になる予定です。(携帯アンテナ基地局やプロパン業者についても後日書きたいと思います。)

 

売主が個人の素人・・・・① 売却益目的のプロではなく、値引きの可能性高い

 

重大発見・・・・・・・・② 越境による売買対象土地面積減少による値引交渉

 

仲介会社が設計から建築まで 仲介会社と売主の関係が強い場合が多く、グリッ 

した建物であることと管理も プ力が強い可能性が高い

ずっとしていること・・・③

 

専任媒介であること・・・④ 少々無理な値引き交渉も、仲介手数料が双方から

              もらえるので、仲介会社が最大限努力してくれる

              可能性が高い

 

また、この案件で、私自身色々なことを再確認することができました。

■ 現地案内時のチェックの重要性 → 1,000万円の値引きにつながった

■ 買付証明書の効果       → 相手によって非常に効果抜群

■ 仲介会社の事前調査の重要性  → 事前に値引き要因は把握しておくべき

 

もっとも大きな成果は、

 

「銀行や業者からの水面下の川上物件ではなく、一般の不動産検索サイト掲載のそれも利回り7%で売りに出ている物件でも条件がはまれば良い買い物ができる。」

 

ということが分かったことです。

 

まだまだ、売り手市場が続く可能性もあり、以前のように簡単に利回り10%以上の物件は購入できませんが、これからも、惰性で検索サイトを見るのではなく、見つける努力をしていこうと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

次回は、不動産仲介会社の特徴について書きたいと思います。