みなさん、こんにちは!
元銀行員&異色の不動産鑑定士・洲浜拓志です。
今回は、元銀行員の立場から
【アパートローンの悪夢から解放される銀行対策テクニック】
についてお話ししていきたいと思います。
「不動産投資」のキャッシュフローとは?
キャッシュフローをコインに例えると、
【不動産投資の家賃収入がコインの表】とすれば、
【ローン返済はコインの裏】です。
諸経費を引いた家賃収入からローン返済を引いた差額が、
実質的な賃料収入となります。これがキャッシュフローとなります。
「実質利回り」と「手取り賃料」が大事
一般に、不動産投資の指標として使われるのが「表面利回り」です。
これは、元本である売買価格に対して、どれくらいの家賃があるのかという比率です。しかし、これはそんなに重要ではありません。
実質的な収入と売買価格の比率である
「実質利回り」の方が、はるかに重要です。
そして、コインの表(賃料から諸経費を引いたもの)と
裏(ローン返済額)の差額がキャッシュフローであり、
毎月いくら現金が残るのかという、重要な意味を持ちます。
ローン返済を軽くする3つの方法
アパートローンの毎月の返済の負担が大きく悩んでいる方も多いと思います。
実は、ローンの返済負担を軽くする方法が大きく3つあります。
①金利の引下げ
②リスケジュール
③建物の適正評価によるローン期間延長
順に説明しますが、特に③が注目です。
①金利の引き下げについて
これは、単純に取引銀行に打診して、金利の引き下げを行うことです。
具体的には、お付き合いしている銀行に定期預金や定期積立預金を協力することで、金利条件を緩和してもらうのです。
預金も貸金も取引を集中すれば、銀行はあなたを大事に扱ってくれます。
しかし、可能な限りの協力をしても金利が下がらない場合、困りますよね。
そこで、他行の低金利の安いローンを行って、既存の高金利のローンを返済して切り替える方法が考えられます。
ただ、これは、担保の付け替え費用が数十万かかりますし、銀行によっては繰り上げ返済についてのペナルティや事務手数料を取るケースもあるので、よく契約書などを確認しておく必要があります。
何より利用している銀行の切り替えてしまうと、将来、もう一度取引する際に心証は悪くなります。
縁を切るような覚悟でない限り、あまりお勧めはできません。
②リスケジュール(いわゆる「リスケ」)について
これは、家賃収入が減少してしまい、毎月のローン返済が滞ってしまうような場合に取引銀行に交渉し、毎月の返済額を減らしてもらうことです。
このような返済条件の変更は大変な問題があります。
約束の返済が守れなくなって変更するのですから、銀行は条件変更したのちは、あなたのことを正常な客様として取り扱ってくれません。
いくら資産はあっても返済遅延するようであれば「要注意先」として管理されてしまい、新規融資が難しくなります。
ですから安易に条件変更することは長期的に見て、銀行から融資を引き出せなくなるリスクをはらんでいるのです。
もちろん、一度「リスケ」しても、頑張って資金をため、のちにローンを返済すれば正常先に復帰することは可能です。
③建物の適正評価によるローン期間の延長について
それでは、殆どの人が知らない、
「建物の適正評価によるローン期間の見直し」について、
私の知人Tさんの銀行借換えを具体的な事例として説明します。
●対象不動産
アパート 鉄筋コンクリート1986年10月新築 家賃収入110万円/月(満室)
【Before】S銀行
金利4.500%、毎月返済62万円、期間25年(2012~期日2037年3月)
↓
【After】S信金
金利2.475%、毎月返済39万円、期間29年(2018~期日2046年12月)
注目すべきは、
毎月のローン返済が23万円減少し、
同額のキャシュフローが改善している点です。
このような結果をもたらした要因は、以下のポイントがあげられます。
ポイント1
ローンの金利が下がっている(4.5% → 2.475%)
ポイント2
ローンの返済期日が延長されている(2037年 → 2046年)
ポイント3
鉄筋コンクリートの耐用年数47年を考えると、新築時1986年+47年=西暦2033年なのに、新しいローンの期日が2046年。
つまり、建物の法定耐用年数が47年であるのに対し、適切な建物の評価を査定した結果、60年(新築1986年~期日2046年)の家賃収入を獲得しうるアパートであると判断しているのです!!
なぜこんなことができるのでしょうか?
これは、不動産鑑定士が既存建物を適正評価し、
それを金融機関が融資条件に組み入れることで、
ローン期日の延長が可能となったのです。
ステップを追って説明しますね。
ステップ1
不動産鑑定士により、収益不動産の「建物診断書」を作成する。建物の図面や修繕履歴などから、経済的な残存価値を査定する。
ステップ2
「建物診断書」に合わせて、「長期修繕計画」を作成。何年後になにをどのように修繕をすればどのくらいの期間価値が保たれるのかを、長期的な修繕計画において示す。
ステップ3
これらをセットで金融機関に提出して、融資の審査にかけてもらう。
ステップ4
新しい融資条件が決まる。
ステップ5
既存の銀行に返済する旨を通知し、返済手続きに応じてもらう。
このように仮に、対象不動産の経済的価値がある程度評価されれば、S信金のような考えを持った金融機関が、不動産鑑定士の意見をもとに建物の耐用年数を長期化できることによって、ローンの期間を長くすることが可能になってくるのです。
今回の例は決して特殊な事例ではありません。
もちろん、すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、
ある程度、再現性のある話なのです。
最後に
私は、不動産鑑定士と銀行20年という異色の経験があります。
金融業界・不動産業界・アパートオーナーという3つの立場からバランスよく物事を考え、問題を解き明かすことによって、まじめな不動産オーナーを守りたいと思っています。
これからもまた、新しい話題やテーマに取り組んでいきたいと思います。
それではまた、次の投稿でお会いしましょう!
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