建築の構造には鉄骨造というものがあります。

大規模建築や高層建築には欠かせない構造なのですが、

共同住宅の構造としてはイマイチメリットを感じ難い構造かもしれません。

 

その理由の一つとして法定耐用年数が思いつきます。

鉄骨造の場合、軽量鉄骨では19年であり、

他の構造を含めても一番短い建築構造となります。

その他の鉄骨造では鉄骨の厚みによって段階的に耐用年数は変わりますが、

最大でも34年でしかありません。

RC造では47年になりますので、比較すると13年の差があります。

 

では、鉄骨造はRC造に比べて実際の耐用(実用)年数は短いのかというと、

私的にはあまり大差はないと感じます。

さらには建築費が法定耐用年数の差ほど違いがあるのかと考えても、

若干RC造の方が高くなるものの、これも法定耐用年数差程ではありません。

法定耐用年数はあくまでも税務上の耐用年数である色合いが濃く、

実際の建物構造による耐力とは乖離しているのです。

 

鉄骨構造は用途によっては向くものもあり、工場建築には適します。

工場というものは柱が少なく大きな空間を作り、かつ安く作ります。

極端に言ってしまえば、

鉄骨を建ててそこへ外壁を張ってしまえばそれで良いのです。

経営的にも工場建物は10年以内に実際の償却を終えるような使い方をします。

こういう使い方であれば法定耐用年数は逆にもっと短い方がお得なのでしょう。

逆に集合住宅としての建物は30年以上使うのは当たり前なので、

34年の法定耐用年数は短いと感じられるのでしょう。

集合住宅における鉄骨造の耐用年数は40年でも良いのではないかと思います。

 

それでは鉄骨造りのメリットは無いのか?というと無いわけではありません。

新築の場合はRCよりも工期が短くなります。

そして鉄骨材は工場で加工してから現場へ運ぶので品質が安定しています。

現場建築の技術レベルというよりも、

鉄骨工場の品質レベルというべきかもしれません。

鉄骨は工場で作られるということは建築現場での作業が簡略になります。

それは工期の短縮につながるので現場工程の多いRCに比べ早くなります。

 

以上のように鉄骨造建築物はRCに準ずる建築物のように感じますが、

建築コストの差を感じるほどのメリットは少ないように感じます。

高層建築物をできるだけ安く建てたいときには採用も良いかも知れませんが、

結局は中途半端な感じは否めません。

投資物件である以上、収益の確保が求められますので、

RC造か鉄骨造かの選択は重要になります。

ただ、そこの差の大小は収益だけでは判断できないので、

客付け、耐久性、税金等々トータル的に検討しなければならないでしょう。

 

戸田 匠