今回からは3回に分けて、少しアカデミックな内容にはなりますが、現在の日本、資本主義などの観点から不動産投資の本質についての考察をしたいと思います。この考察の後、不動産投資の本質について、少しでも理解を深めていただけたら幸いです。

【①キャッシュフロークワドラントから考える E・S・B・I 】

 10年程前に流行したロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』の中で触れられている考え方です。

EはEmployee(従業員)⇒会社のために働く

SはSelf Employee(自営業)⇒自分のために働く

BはBujiness Owner(ビジネスオーナー)⇒人に働いてもらう

IはInvestor(投資家)⇒ お金や仕組みに働いてもらう

 賛否両論ありますが、経済的指標でいくと、EとSの人達は一生豊かにはなれないと述べられています。なぜなら、生活のために働くという価値観から抜け出せないからです。

 E・Sのゾーンの人は、所得を増やそうと思ったらもっと働くことを考えます。しかし、今の日本においてはこの考えは少しナンセンスです。それは確かにもっと働くと収入は増えるかもしれませんが、それに応じて、所得税、住民税、厚生年金、健康保険料、保育料など様々なものが累進で上がっていきます

 つまり、一生懸命もっと働いても、それに連動して引かれるものも増えていくので、結果、手取りは以前とあまり変わらなかったりします。ましてや所得が増えるということは、普通は責任も増えますので、益々時間がなくなる傾向が高くなります。これらは当たり前のことかもしれませんが、実に不幸なことです。

 一方、B・Iのゾーンの人たちはそもそも生活のために労働を切り売りするようなことをしません。所得の種類として代表的なものは、不動産からの賃料収入、預金の利息収入、株式の配当です。株式については、労働である株式トレードではなく、安定的に収入がある配当であるところがポイントです。

 この人達は生活のために働くようなことがないので、時間的余裕があります。そこで、人生を楽しむためにお金や時間を使うような傾向があります。

 このことはたとえ中小企業の社長であっても、自分が働かなければならない状態である限りは立ち位置上は、Bujiness Ownerではなく、Self Employeeということになります。転職活動も実はEのゾーン内で移動するだけなので、マクロでみると、実は何も変わらないということです。

 私は大学卒業後、7年間Employeeを経験し、Self Employeeを経て(転職した先が完全歩合制だったので)、現在はBujiness Owner とInvestorの両方の側面を持つ不動産投資家と賃貸経営業という立ち位置にいます。会社員の頃からいつかはB・I側に行きたいと思っていましたが、具体的な手段は持ち合わせていませんでした。自然な成り行きとはいえ、B・I側に行けたのは、不動産投資のお陰であることは間違いなく、そのきっかけも運と縁によるものでした。しかし、唯一誇れることはその運と縁を掴めるように行動したことでした。運と縁は天からは降ってきませんからね。

 これから不動産投資を始める人はとにかく行動を起こすことが大事です。くれぐれも評論家にならないように。

 次回は不動産投資と賃貸経営をトマ・ピケティの『21世紀の資本』の理論から考察してみたいと思います。お楽しみに。

 

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トマ・ピケティ『21世紀の資本』から考える不動産投資の本質