以前、ある大家さんの会に呼んでいただいた事がありました。

僕も勉強したいことはたくさんあるので、大家さんの成功事例などを聞くのはとても楽しみなのです。

ところが会場に行くと微妙な空気感
何人かの方ははっきり口には出されませんでしたが、顔にはちゃんと書いておりました。
「何で業者が来るんや?」

どうやらこういう場では我々はあまり歓迎されていないようです。
いくつかの会のウェブサイトには「業者の方の参加はお断りいたします」ってはっきり書いてますし。

楽待に会員登録をしようと思っても「宅地建物取引業を経営または勤務されている方は楽待にご登録できません」って書いてありますしね。

気持ちはわかるんです。
業者が紛れ込んで、しつこい営業をされたらウザいですし、業者がいたら本音の会話が出来ないやん、という懸念もあるでしょう。

ただ多くの不動産業者の担当者は、自分たちも色々勉強したいこともあるし、何よりも普通に大家業をされている方と仲良くなりたいだけなのに、自分たちを敵視されるような言葉に触れると悲しく思う事が多いです。

こうなったのは今までに無理やり物件を押し付けたり相当荒っぽい商売をやってた不動産業者が多数いたと言うことが原因なのでしょう。

業界としてそのあたりは反省し、資質の向上に努める必要がありますよね。

こういう愚痴っぽい話はともかく、「業者の方お断り」的な話を聞くと「大家業を専門にしていて仲介などはやっていないけど宅建業の免許を持っていると言う会社はどうなんねん?」みたいな疑問もあったりします。

また、ネット掲示板で「管理会社なのに宅建業の免許持っていないようです。これって違法では?」なんて書き込みを見たことありますが、厳密に言えば管理業は宅建業ではありませんので管理業務だけを行うなら宅建業免許は必要ありません。

このように「業者」の定義って結構あいまいなので一度きちんと整理してみたいと思います。

不動産業と宅建業の違いは?

不動産業と宅地建物取引業(宅建業)って同じように見えますが、実は微妙に違っていたりします。

宅建業法を見ると、宅建業の定義とはこう書かれています

宅建免許

『宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。』

なんのこっちゃ訳がわかりませんよね。

まず、大家業をするのには宅建免許は不要です。
そりゃそうでしょうね。
免許がいるならサラリーマン大家さんは存続できません。

ここまでは良いかと思います。

ところが「自分の保有物件を売る」ときは少し注意が必要です。
たまたま保有していた物件がちょっといい値段で売れそうなので売っちゃいました、という事なら問題ありません。

ところが最近、市況が良いので、うちなんかにもこういうご依頼が来ます。

すぐに転売して利益出せそうな物件の情報をください

これはちょっと問題ありです。
売買を業として反復継続した取引をする場合は宅建業の免許が必要になってきます。

でも「保有している物件を売る」のと「継続反復した取引をする」の違いはどこにあるのかというと実は微妙だったりします。
宅建業法を見ても年に何棟以上取引することが反復取引に該当するなんて事は書いていません。

僕は法律の専門家ではないので、この辺りの厳密な解釈はよくわかりませんが、実際問題としてこの辺りが問題になった事例はあまり無いように思います。

宅建業者が自ら売主の場合、相手が素人なら2年間の瑕疵担保責任を負うことが定められています。
宅建業者の中にも短期転売をする場合はわざと宅建業を持っていない法人を使って転売を行うところもあったりしますんで。
(これって問題だと思うんだけどなあ)

ただ、何かトラブルがあって相手方と訴訟になったりした場合、この部分が争点になる可能性があります。

管理会社は免許不要なの?

次に冒頭で少しふれた「管理業に宅建免許は必要か?」についても解説しましょう。

宅建業法を見ても管理業については一言も触れられていません。
つまり管理業には宅建業免許は不要です。

「あれ?でも管理会社はみんな宅建業の免許持っているよね」

って思った方もおられると思います。
なぜなんでしょう?

保有物件の管理を管理会社に依頼している方はご存じだと思いますが、管理会社の仕事は掃除をしたりメンテナンス業務を行うだけではありません。

一番大きな仕事は空室が出た時に、賃貸募集をすることだと思います。
この賃貸の募集業務が宅建業に該当します。

そのため管理会社の大半は宅建業免許を持っているのです。

このように、これは宅建業に該当するのか否かということに多くの宅建業者はとても神経を使っています。

でも、そんなことは一般の大家さんにはどうでも良いことですよね。
ところが実はどうでも良くは無い場合もあります。

例えば、宅建業者が保有している物件が任意売却で売りに出されました。
割安だったので買付を入れたのですが、その価格より安い価格で買付を入れた会社に物件を横取りされちゃった、って経験をされた方はいませんか?

高い買付なのになぜ?

答えは宅建業者か否かというところにあったりします。
売主が宅建業者の場合、たとえ潰れかけているような会社だったとしても売却すれば2年間の瑕疵担保責任を負う必要があります。

でも、これには例外があって、買主が宅建業者の場合は当事者が納得すれば瑕疵担保責任を負う必要がありません。

そのため、たまに買主は宅建業者に限るという売り物件が出て来ます。
よく「川上だけでこっそり流通する極秘物件」なるものは有るのか無いのかという議論がありますが、もしあるとすればこういう物件の事でしょう。

まあ滅多にこんな物件出てこないですけどね。

ということで、ほとんどの人にはどうでも良い話ですが宅建業の定義って業者はとても気にしているんですね。

とりあえず多くの業者は大家業の皆さんと仲良くしたいと思っているので、杓子定規に業者を敵視するようなことは言わないでねというのが今回のオチでございました。

次回をお楽しみに!