皆さん、おはようございます。

元ビジ大家です。

 

相続で不動産を取得した後、たまたまその物件が遠方であったり、使用目的が

決まっていないためにそのまま何もしないで放置している人もいらっしゃるかも

しれません。

 

それはそれで構わないのですが、現地の状況を把握できないまま不動産を放置

しておくのはある意味ではちょっとキケンです。

 

なぜなら不動産を放置したまま何年も経つと、知らない間に権利を失って

いたり、いつの日か他人に損害を与えていきなり損害賠償責任を負うケースが

あるからです。

 

放置したままがキケンなわけとは?

 

民法では、永続した事実状態を保護するために、一定の要件を満たして20年間

(または10年間)他人の物を占有し続けた人が所有権を取得することを認めて

います(民法162条/取得時効)。

 

たとえば、自分が相続で得たX土地なのに、まったくの他人であるAが無断で

その土地に自宅を建ててAの自宅敷地としてそのままX土地を使用し続けた場合、

Aが仮にX土地をAのものではないと知っていて(=悪意で)そうしたとしても

何と20年間で(仮に知らなかった場合で過失がなければ10年間で)、

時効が成立してX土地の所有権はAのものになってしまいます。

 

まったくの見知らぬA……とは言っても、ありがちなのはX土地に近接する土地に

元々住んでいたAさん……である場合にそうした予期せぬトラブルが生じてしまう

恐れがあります。

 

土地の工作物等の占有者及び所有者の責任

 

相続した土地に植木があって台風などの強風でその植木が倒れてしまったとき、

運悪く他人にケガをさせたり隣家の物を破壊してしまった場合などは、自分に

何ら過失がなくても損害賠償責任を負わせられる場合があります。

 

民法では土地の工作物等の占有者及び所有者の責任として、このような場合に

まずは土地や建物を実際に利用・管理している人(占有者)が責任を負い、

占有者に過失がない、もしくは占有者がいない場合は所有者が責任を負うこと

を規定しています(民法717条)。

 

怖いのは、このとき占有者責任は過失がなければ免責されるのですが、

所有者責任については完全な無過失責任とされている……ということです。

 

つまり、所有者はいかなる場合も免責されない!ということです。

 

したがって、相続で引き継いだ不動産が遠方にあって普段見ることができない

から……と言って放置しておくと、ときにはとんでもない事態を招く(=リスク

がある)と言えます。

 

物件の維持管理を放棄・放置していると、ある日いきなり損害賠償責任を負う

ことにもなり得る……というわけです。

 

相続した不動産が仮に普段見ることのできない場所にあるとしても、現地の

不動産会社等に委託して原則的に「管理」するか、あるいはそれがイヤだとして

も決してそのまま放置しておかず、「運用する」か「売却する」かの2択で処置

を施したほうがベターだと思います。

 

 

本日もお読みくださりありがとうございました。