45年前の所有権移転請求権仮登記の本登記の依頼

私の事務所を訪れたAさん。

45年前に買った土地の仮登記の本登記をお願いしたいとの依頼。

地目は「田」

 

不動産投資の失敗

農業従事者でもないAさんが、本登記することが困難な農地を何故購入したのかを尋ねたところ、当時、その土地辺りに大型団地ができるという噂を聞いて開発業者への転売を目的に購入したとのこと。

ところが、道隔てて向こう側までは開発されたが、Aさんの土地は開発にかからなかった。

Aさんも高齢なので、何とか生きているうちにきちんとしたいとのお気持ちでした。

 

登記義務者2名中1名既に死亡

調べたところ、5年前に地目が「田」から「原野」に変更されている。

年月が経つとこういう場合があります。

本登記できる!

しかし、45年前の売買!! 登記義務者である売主さんご存命かしら?

調べたところ、売主のBさんはお亡くなりになっていて、下記の登記がなされていました。

原 因   平成○○年○○月○○日相続 

共有者

持分2分の1  C

持分2分の1  D

 

CさんはBさんの奥様 DさんはBさんの長男です。

ところが、その後Dさんもお亡くなり、Dさんの相続人であるDさんの配偶者、第1順位の子、第2順位の母、第3順位の妹 全員相続放棄

その場合、この土地の仮登記の本登記をするためには、まず、Dさんについて下記の手順で相続人不存在の手続をする必要があります。(民法951条以下)

1、利害関係人又は検察官により家庭裁判所に申立て相続財産管理人の選任

2、家庭裁判所による管理人選任の広告  2ヵ月

3、相続財産管理人による債券申出の広告 2ヵ月以上

4、家庭裁判所による権利主張催告の広告 6ヵ月以上

ここで、相続人としての権利を主張する者がいないときはじめて登記が出来ますし、ここまでに1年以上かかります。

次に、登記

1、年月日 相続人不存在を登記原因とし、共有者Dの登記名義を 亡D相続財産とする登記

2、共有者Cさんと相続財産管理人が依頼人である権利者Aさんと仮登記の本登記

幸い、もう一人の共有者である亡Bさんの奥様のCさんは、登記に協力してくださるとのこと。

しかし、手続きが終わる前に高齢なCさんが亡くなれば、Cさんの相続人全員の印鑑が必要。

 

Cさんも死亡

 

司法書士に依頼し、Dさんの相続人不存在の手続きをしている最中にCさん死亡。 

Cさんの子は長男のDさんと長女のEさん。

Cさんの長男Dさんだけでなく長女Eさんも亡くなられていたので、Cさんの相続人は、Dさんの子が婚外子を含め4名とEさんの子3名の計7名

よって、7名の印鑑が必要。

亡Dさんの奥様からも協力して頂きました。

一番の難関だと思った亡Dさんの未成年の婚外子の母親がたまたま私を知っていて、二つ返事で印鑑OK。

 

45年という月日

45年の間に関係者4名が亡くなりました。

専門用語が多い上に、相続関係が複雑で解かりにくかったとは思いますが、投資を失敗し、45年間も放っておいたということが、これ程大変だったという事案でした。

なお、関係者に考慮し、一部内容は変えています。