ドーモ、投資侍です。

TATERUの株価がようやく本日値が付きました。終値は533円で問題発覚前からは約70%の下落です。

これで底入れかという期待は持ちたいですが、個人的に買いは勧めませんのでご判断はご自身で。

本日のコラムをご覧になれば多少のご参考にはなるかもしれません。

 

本日は思ったことを例の如くつらつらと書いていきますので、皆様に何か思うきっかけとなれば幸いです。

 

本日はどちらかというと不動産というよりビジネス、事業のお話です。興味のない方は読み飛ばしていただければと思います。

 

1.TATERUの問題

この点に関しては、ここの住人の方は皆様よくご存じと思いますので詳細は省きます。

ワタクシ個人の意見を書こうと思いましたが、埼玉サラリーマン大家様TAKA様が素晴らしいコラムを書かれておりますのでそちらをご参考にしてください。

 

1点だけワタクシからも強調したい点があるとすれば、今回の被害者「風」オーナーの方は流石に筋が悪いと思いました。

預貯金22万円で億の借金をすること自体が週刊誌などのマルサの潜入捜査でなければ人としての判断に疑問を持ちます。

推測ですが、ご本人はある程度ご承知の上で金儲けをしようと物件の購入を進めていたが、(家族などの反対にあったのか)かぼちゃの件で怖くなって後でひっくり返そうと弁護士に相談した、というところかなと。

 

その弁護士も1,200万請求するのは流石に筋が悪い、と思ったらスルガの弁護士で納得です。

法的根拠なく1,200万も請求すれば脅迫まがいの行為として弁護士会の懲戒事由に該当しますが、スルガと同じくブラフで請求しただけでしょう。

 

結果、オーナーは手付け倍返し(100万-弁護士着手報酬20万)、弁護士は報酬としての20万は少ないがスルガの件にも使える金融庁との交渉材料を得る、という筋書きが何となく見えます。まともな弁護士はまず受けません。

 

ですが皆様覚えておいてください。

 

今TATERUを危機に追い込んでいるのは昔から不動産の慣習として行われた「エビデンス偽造」、これが1回発覚しただけと面の皮の厚いオーナーと弁護士です。

 

2.インベスターズクラウドからTATERUへ

TATERUは元々インベスターズクラウドという名称だったことをご存じだった方は多いと思います。

全般的に経営陣は古木社長を含めて若く、不動産にインターネットを融合させるというビジネスモデルで起業しました。

元々は平たく言えばアパートの建売業者であり、曰くデザイナーズアパートを中心に建築販売をしていた業者です。あの3階層部屋がデザイナーズというのかは別ですが。

 

しかしながら、リーマンショックにより在庫がダブついて倒産の危機に遭い、それ以降は「情報」を仕入れて「企画」を売るという、要は土地情報を仕入れて顧客とマッチングさせて手数料を受け取るというビジネスモデルに変更することで在庫リスクを排除し、アベノミクスの恩恵に乗って急成長というにふさわしい成長を遂げました。

 

2015年にはマザーズへ上場を果たします。

 

個人的な意見ですが、上場を行ってから少しインベスターズクラウドの理念が変わってきたのではないかと思います。

 

上場前は「在庫を持たないビジネスモデル」をウリにしていましたが、上場後は売上を伸ばすために土地はインベスターズクラウドが抑えて三為で顧客に流すようになります。

まだ最初の頃はほぼ手数料を乗せただけのパーの金額で顧客に流して利益は乗せていませんでした。つまり、本当に土地を抑えて顧客に流すハブとしての三為です。

しかしながら、ここ1-2年で土地にも利益を乗せるようになり、本当に三為業者と同じようなことをやり始めます(厳密には顧客が決まる前に在庫を抱えるので三為とは違います)。

 

更に、顧客に販売するだけでは売上の伸びが足りないのか、TATERU Fundingというクラウドファンディングにより資金を集めて、一部はインベスターズクラウドが出資し、残りを投資家からの小口資金を集めるモデルにより販売棟数を増やしていきました。

つまり、インベスターズクラウドのビジネスモデルは売上を伸ばすために在庫を持つビジネスモデルに変わっていったのです。

 

このTATERU Fundingにも変化が訪れます。当初は「インカム重視型」と呼ばれ、キャッシュフローが出やすい物件を出資により集めて投資家に還元するタイプのファンドが中心でした。

 

しかしながら、ここ1年は「キャピタル重視型」というキャッシュフローは基本的に還元せず、物件を投資家に短期売却した際のインカム(つまり、短期キャピタルゲイン)を還元するというファンドに切り替わっていきます。

 

勘の良い方なら分かると思いますが、TATERU Fundingではもうインカムの出る物件は建築できず、「キャピタル重視型」ではなく「インカム出ないからキャピタルで還元するしか方法がない型」のファンドしか立ち上げられなくなったのです。

 

3.TATERUの変遷

昨日のコラムでは不動産会社のビジネスモデルと上場した不動産会社の苦悩を書かせていただきました。

これを今回のTATERUに照らし合わせてみましょう。

 

リーマン前は在庫建売により経営危機に落ちる

リーマン後は在庫を持たずマッチング企画手数料で稼ぐビジネスモデルに転換

マザーズへ上場

土地をより多く抑えて販売棟数を増やすために土地をTATERUで先行決済してパーでエンド投資家に流す手法に変更

土地にも利益を乗せてエンド投資家に販売する手法に変更

TATERU Fundingを企画し、「インカム重視型」のファンドとして小口投資家を集めて企画棟数を増やす事業を立ち上げ

TATERU Fundingは「インカム重視型」が立ち上がらず、「キャピタル重視型」という名の「インカム出ないからキャピタルで還元するしか方法がない型」のファンドに舵を切り替え

 

上場後の現在までの期間はわずか3年です。

上場してからわずか3年で当初のインベスターズクラウドの在庫を持たないビジネスモデルは全く変わっていったように思います。

 

これが毎年売上と利益を伸ばしていかなければならない上場企業の足枷です。

 

4.TATERUの物件

埼玉様のコラムにも詳細が書いてありましたが、TATERU(当時インベ)の物件は以下のようなシミュレーションがなされていたと記憶しています。すいません、資料は探したけど買ってないので処分していました。

 

①建物価格は何故か「(税抜)」と書かれていて利回りが消費税分底上げ

→しょうひぜい?なにそれおいしいの???

②賃料が相場より割高

→これがでざいなーずぶっけんのちからだー(ばりばり

③35年融資を引いて賃料が一切下落しない超優良物件

→これがでざいなーずぶっけんのちからだー(ばりばり

④35年間修繕が発生しない

→これがでざいなーずぶっけんのちからだー(ばりばり

⑤空室なし、運営費用なし、税金なし

→これがでざいなーずぶっけんのちからだー(ばりばり

 

おそらくTATERUは2名1組で営業していてワタクシの営業担当は1年目の新人と3年目の指導員?的な人でしたが、「イールドギャップって何ですか?」って営業担当から聞かれたときは流石に苦笑いで色々教えて上げた思い出があります。

 

ただ、物件の利回りは昔は埼玉様のコラムで書かれていたほど低くはなかったと思います。

上場前は概ね名古屋で新築9%前後、東京近郊でも7%中盤くらいは出ていたのではないでしょうか。買わなかったけどw

 

5.TATERUの努力

TATERU自身も既存の建売ビジネスモデルの限界を感じており、ビジネスモデルの転換を図っていました。

 

・TATERU kitによるIoTアパート運営システムの開発

・中古不動産販売プラットフォーム「Renosy」を運営するGA Technologiesへの出資

・民泊システムTATERU bnbの立上げ

 

これらはいずれも在庫を持たないインターネットを利用した不動産ビジネスモデルへの回帰です。

個人的には上場会社の建売ビジネスは昨日のコラムで書いたとおり、無理があると考えているため、TATERUの方針としては成功するかは別として良いと思っていました。

 

しかしながら、上場企業である以上、売上と利益の拡大は要求されることから完全にビジネスモデルを転換するということは直ちには難しいというのが悩ましい点だったのではないでしょうか。

 

6.TATERUの今後

平成30年6月30日時点での手元キャッシュは188億7500万円です。平成29年12月末からほぼ倍増しており、幸いまだ固定費が高いわけではないので手元資金に現状不安はありません。

ただ、事業の97%を主力のApartment事業に依存しているため、万が一銀行からの融資が途切れるとかぼちゃと同じく一気に手元キャッシュが溶けていきます。

 

足下の収益に改善が見込みがないのにキャッシュが溶けていく状況は、、、

 

「パラシュートなしのスカイダイビング」

 

と同じ心境です。

 

この場合の選択肢は、①パラシュートを自作する、②誰かにパラシュートを持ってきてもらう、③これは夢だと現実逃避する、④落ちて命を失う前に自ら命を絶つ、の4つしか選択肢がありません。

 

以前もコラムに書きましたが、この状況に陥るとまず人の精神が持ちません。

 

たまにコラムなどで破産しても自殺はダメという論調を見かけますが、正直それはこの状況を経験したことがない人間の偽善であり、パラシュートなしでスカイダイビングしている人間に遠くの安全地帯から拡声器の大きな声で「命は大事だよ!」などと言っても響きません。

命は大事というのはその通りですが、コラムなどで声高に偽善を綴るならパラシュートを差し出してあげるのが筋ではないかといつも思います。誰も最初から命を絶つことなど考えていないでしょうに。。。

 

皆様はTATERUの件から何を学ばれるでしょうか。

 

ワタクシから敢えて言えばTATERUの株価を70%飛ばして危機に陥れたのは何かということを今一度考えていただきたいと思います。

 

そう、「過去の不動産の慣習」です。それもたった1回発覚しただけです。

 

不動産投資家の皆様も「慣習だから大丈夫」「1回だけだから大丈夫」「今まで問題になったことはない」などと思われているかもしれません。

ただ、賢者は歴史に学び、愚者は何に学ぶのか今一度お考えになった方がよいのではと強く思います。

 

何かのご参考になれば幸いです。

 

投資侍より