こんにちは、元資産税課職員KSです。

今回は固定資産税の中でそもそも家屋とみなされるのはどの部分かと、ついでに少しだけ償却資産について書いていきたいと思います。

基本的に税は二重課税とならないようにされているので(二重課税になっているものはたくさんありますが・・・)、賃貸物件を建てると、固定資産税のなかでもここは家屋の部分、ここは償却資産の部分と分けて評価します。

家屋の3要件

建築された建物が固定資産税の対象である家屋とみなされるかどうかについて、家屋の3要件という基準があります。
それは「定着性」「外気分断性」「用途性」の3つです。
固定資産税上でのこの考え方は、不動産登記法上のものとほぼ一緒と考えても問題ありませんが少し運用が異なる部分もあります。

その名前からもその意味が想像がつくかもしれませんが、簡単にいうと

基礎などで土地にしっかりと固定され(定着性)、屋根や壁で外気が遮断され(外気分断性)、用途にあった使い方ができる(用途性)ような建物

を指します。

そのため、家屋ではないと考えてしまいそうな物置でも、基礎がしっかり固定されているかどうかで定着性の観点から家屋になるか償却資産になるかわかれます。
事業を行っていない一般的な住宅では償却資産はもともと関係ないこともあり、物置が家屋と判定されるともめることがあります。

外気分断性に関しても、3方向以上が壁に囲われているなどの基準があります。
建物っぽい駐車場は償却資産なのか家屋なのかというのが難しい点でもありますが、廊下やエントランスなどの共用スペースも壁での囲われ方で固定資産税上の床面積に算入されるかどうかが変わってきます。

固定資産税での償却資産とは

所得税や法人税といった国税での確定申告において減価償却できる資産と、地方税の固定資産税における償却資産には少し差異があります。
地方税法341条4号によると、

「償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(無形資産、自動車税及び軽自動車税の対象は除く)で、法人税法又は所得税法による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるものをいう」

とあります。
事業を行っている個人または法人が、その事業をのために用いる有形固定資産で、土地や家屋など別の課税項目があって二重課税になってしまうものは除いたものが償却資産の対象というようなイメージです。

アパート経営は事業を行っているとみなされ、土地や家屋以外にもなんらかの有形固定資産は持っているはずなので、実は償却資産の申告をしないといけません。
ただし、同じ自治体内での資産が小規模で収まっている場合は申告していない人もいるんではないでしょうか。

以前のコラムにも書きましたが、償却資産は課税標準額(つまりは評価額)が同一自治体内で150万円未満で免税点未満であれば、課税対象ではなく申告してなくても特に問題が発生しないというのが実情なので。

家屋と償却資産のどちらが税制上では得か

物置や駐車場などの家屋か償却資産かのどっちになるかが、上記の家屋の3要件を少し意識するだけで変わってしまうものがあります。
家屋の3要件とは違う話ですが、店舗や事務所などでよく発生するスケルトンといわれるような物件で、家屋の所有者は仕上げまで施工しないで、借主が仕上を施工する場合は仕上部分は借主の償却資産という扱いになります。

そのため家屋で課税されるか償却資産で課税されるかは結構きわどい部分があるので、納税者はどちらにしておきたいか調整できる場合はそれを意識しておくとちょっとした節税になる場合があります。

結論としてどちらが得かは、事業をしていないただの自宅での場合、賃貸用の物件の場合、自己で使用するの事業用物件の場合など使い方によって細かい部分で変わってくるところはありますが、基本的には償却資産とした方が得です。

ざっくりでいうと、

自宅用の物件:事業用でないなら償却資産は関係なく、極力家屋にならないよう調整した方が税額は安くなる

賃貸用の物件:可能性としては始めの数年だけは償却資産としての方が評価額が高くなることもあるが、長い目でみたら償却資産の方が圧倒的に評価額が下がるのが早い

自己の事業用物件:賃貸用の物件と同様なことに加え、もし家屋としての床面積が増えると自治体によっては事業所税とかが増える

といった感じです。
ちなみに事業所税は賃貸経営をしている人にとってはほぼ関係ないであろう税金ですが、簡単にいうと一定以上の規模の自治体で事業を行っている場合に事業所の規模が1000平米を超えると「事業所の床面積(平米)×600円」で毎年税金がかかります。

そもそも償却資産と家屋では課税標準額の出し方が、取得価格で決まる償却資産と、取得価額には関係なく使っている資材の種類の量で決まる家屋とで異なります。
しかしながら課税標準額が落ちるスピードが圧倒的に償却資産の方が早い場合が多いです。

固定資産税上の償却資産の耐用年数は所得税や法人税における耐用年数は同じでみなさんも物件を買う時に住宅用のRCで47年かとを調べたことはあるでしょう。
固定資産税の家屋では価値が落ち切るのに60年かかり、しかも建築時の20%の価値までしか落ちずその価格が取り壊すまで維持されます。

さらに今の比較は単純に税法として建物と分類された場合の年数なので、賃貸経営している方ならご存じかとは思いますが建物附属設備に分類されるようなものだったらもっと減価償却での耐用年数が短くなります。

まとめ

このように、「課税標準額×税率=税額」という固定資産税上の税額算定の観点から、課税標準額を長いスパンで考えると「家屋」とみなされる恐れがある部分は極力そうならないよう調整すると、ちょっとした固定資産税の減額につながります。
以下あくまでも固定資産税での観点でですが、場合分けした結論です。

物置を設置するなら基礎で固定しないで家屋とみなされないものにしましょう。
償却資産とみなされた方が評価額が落ちるのが早いもしくは、そもそも償却資産の課税対象とならない人もいます。

共用の廊下やエントランス部分などは家屋としての床面積にならないように調整しましょう。
これは不動産登記の時の場合の床面積の考え方とほぼイコールで、登記の際の登録免許税も建物の床面積が減るとそれに合わせて税額も減ります。
共用廊下やエントランスのような部分は家屋の床面積に含まれない場合であっても償却資産として申告しなくても実務上問題ないです(ここは説明が長くなるので突っ込まないでほしいですが、とにかく床面積を減らした方が得ぐらいで理解してください)。

所謂スケルトンのように建物の仕上部分は別の人(法人)が施工したとできるならそうしましょう。
家屋の評価額(課税標準額)に含まれず、別の人の償却資産になるので調整は必要です。
特殊な方法としては絶対に裏切られない協力関係にある別人(法人)とで仕上の施工を分けるという方法もありますが、推奨はしません。