こんにちは、元資産税課職員KSです。

前々回、前回に引き続き熊本地震で災害派遣された経験を元に得た知識である、罹災証明書に関係することを書いていきます。

今回は一次調査での判定結果に納得がいかず、二次調査を行う場合などについて紹介していきます。

一次調査と二次調査の違い

おさらいになりますが、災害時の公的支援の入口となる罹災証明書では、発行のための被害認定調査で一次調査と二次調査があります。

その違いとして、

・外観だけで調査して調査スピードを上げようとしたものが一次調査
・一次調査の結果に納得がいかない人に対して外観だけでなく部屋の中も見て詳細な調査を行うのが二次調査

といった差があります。

ざっくりなイメージで移動も含めて一次調査では1件あたり10分ぐらいで終わりますが、二次調査では1件あたり1時間ぐらいかかります。

そしてそれだけ調査の難易度が上がっていくので、二次調査では一次調査以上に調査が可能な人員の確保が難しくなります。

二次調査での判定内容

二次調査は一次調査の詳細版ともいえる内容で、一次調査よりも判定項目が増えます。

罹災証明書の被害の程度は経済的な損害割合を基準に、

全壊:50%以上
大規模半壊:40%以上50%未満
半壊:20%以上40%未満

として、全壊の条件を満たさない場合は部位による構成比と部位ごとの損害割合をかけあわせて家屋全体の損害割合を算出します。
木造家屋を例にすると一次調査ではその部位による構成比が

屋根:15%、外壁:75%、基礎:10%

でしたが、二次調査では

屋根:15%、柱(又は耐力壁):15%、床(階段を含む。):10%、外壁:10%、内壁:10%、天井:5%、建具:15%、基礎:10%、設備:10%

と、構成部位が増えます。
つまりは、それだけ調査項目が増えるということで、調査の難易度が上がって時間がかかります

二次調査の申請をした方が得か問題

地方自治体側の立場でいうと二次調査の申請はしてもらわない方がいいという面が残念ながらあります。
ただでさえ災害対応で忙しくなっているなか仕事が増えるので。。。

被災者側の立場で言うと二次調査の申請をすべきかどうかで難しい問題が二つあります。

一つ目は二次調査の申請をしているということはつまり、二次調査があらためて行われるまでは調査結果が確定できず罹災証明書が発行されない状態のままという問題です。

罹災証明書は各種公的支援の入口となっており、証明書がないと被害程度にそった各種支援が受けられないという問題が発生します。
少しでも手厚い支援は受けたいが、支援は早く受けたいというトレードオフの関係が出てきてしまいます。

二つ目は二次調査をしたからといって、被害の程度が上がるとは限らないという問題です。
極論を言ってしまうと、被害認定調査は正確に詳細に調査すればするほど、判定される被害程度は低くなりがちです。

過去に被災した家屋をそのままの状態で保存され、自治体職員が被害認定調査の研修に使えるという施設が実は存在します。
そこで基準を作っている内閣府の方が正解に近いであろう詳細な二次調査をした結果があるのですがその被害程度は意外なほど低く、実際に熊本地震で私が経験した一次調査の被害程度の方が感覚的に高くなるよう設定されていました

一般的に、外観からよりも内部を見た時の方があきらかに損傷がひどい場合を除いて、判定が上がることはないでしょう。
もちろん、

「中までしっかり見てから被害程度を判定して欲しい」

という気持ちもよくわかります。

自分が感じた自治体の問題点とマスコミへの愚痴

罹災証明書を発行するにあたって、地方自治体が近隣の自治体とのすり合せが取れていなかったりすると大きな混乱が発生しがちです。

まず判定基準については、個人ごとでも判定の厳しさが全然違うのに加えて、自治体ごとでも判定の厳しさ、そもそも判定のやり方や基準が異なってしまうことがあります。
自治体都合での不公平感が出てしまうのは良くないことです。

そして熊本地震の時に某自治体がやらかしたこととして、独自ルールによって、二次調査を申請しても一次調査と二次調査のうちで被害程度が高い方の結果を採用して罹災証明書を発行するということがありました。

そんなことをしたら、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊とあるなかで、

「判定は半壊で仮設住宅がただちに必要なわけではない(というか優先順位が低い)けど、被害の程度が下がるということがないなら二次調査によって被害程度を上げてもらって支援をもっと手厚く受けたい」

という人は、ダメ元で二次調査の申請をするだろうということは容易に想像がつくと思います。

案の定その自治体は膨大な数の二次調査を行うこととなり、罹災証明書を発行しきるのにかなりの時間を要したようです。

そして当時実際に被害認定調査を経験したものとしてマスコミに対しては怒りを覚えたことがありました。
えらそうに上から目線で自治体の対応が遅いとか、建設的な意見も出さずに批判ばかりするので、

「邪魔ばかりしているお前たちが自分たちのことを棚に上げて批判ばかりするな!」

と、かなりムカついていました。

すみません、最後のは思い出していたら怒りが込み上げてきて愚痴をはいただけなので、あまり気にしないでください。
マスコミも建設的な意見を言い、有益な情報を提供していたこともたくさんあったので、そういうところが増えていって欲しいと思いました。

そもそもの制度について意見してたとこは良かったのですが、単純に自治体の対応が遅いとか批判されるのは納得がいかない面がありました。
被災地域の末端の自治体職員は、自分自身も被災者でありながら土日も含めてほぼ休みなしで働いていたというのが、私が接した人たちの実情だったので。

 

またまた次回に続きますが、次でこのシリーズは終わりの予定です。