こんにちは、元資産税課職員KSです。

もう少し更新頻度を上げようとは思っているのですが、仕事のようなものが忙しかったり、子育てに時間を多くかけていたりとあまり時間がとれていませんでした。

最近はもうすぐ2歳になる息子が「高い高い」を連続して要求してくるため、肩が破壊されつつもありますし。

すみません、言い訳でした。

そろそろ家屋評価の詳細を書いていこうかと思っているのですが、どこまで詳細を書けば需要があるのか悩んでいます。
家屋評価の導入として固定資産税評価額とアパート経営における担保価値を絡めてコラムを書こうと思って構想を練ったところ、話が絞りきれなくなって断念した結果ほとんどボツにしました。

なのでというか、今回は家屋評価の基本的なところで(基本的といっても知らない人には難しいかもしれませんが)、固定資産税での家屋評価額の決め方の概要をメインに書いてみます。

新築家屋の評価額の決め方

固定資産税での家屋の評価額の決め方は、現状においては総務省が定めた固定資産評価基準によって、再建築価格方式という方法を採用して評価をしています。

現状においてといったのは、長いことこの方式を採用してはいるものの、複雑でミスも発生しやすいので、取引価格を基準とする評価法を採用するなど、もっと簡素な方法にできないかという議論が長いことあるからです。
とはいってもしばらく評価方式が変わることはないでしょうが。

話を戻しまして再建築価格方式というのは、評価する家屋と同一のものを評価時点で再度建築するとした場合の建築費を求め、それに建築後の経過によって生じる減価率(経年減点補正率)を乗じて評価額を求める方法です。

再度建築する場合の建築費というのはつまり、建てるのにいくらかかったとかは関係なく、建てるのにどんな資材をどれぐらい使ったかということで決めるという手法です。

例えばRC造であれば鉄筋が何トン使われている、コンクリートが何立米使われている、などなど、評価対象となる部材を全て拾い上げて、部材ごとに決まった単位ごとの点数と乗算して合計の評価額が決まります
なお、この部材を積算する方法は、評価手法として明確計算、不明確計算、比準評価とさらに細かく分けられ、評価手法によっても評価額が変わり得るのですが、その話はまたの機会に書けたら書きたいと思います。

新築時にはそうやって、使った資材を積み上げて再建築費を求めることで評価額を決めます。

新築後の評価額の推移

新築後は3年ごとにやってくる基準年度(直近では平成30年度で、次は平成33年度)に評価額が見直されていくのですが、見直しは経年減点補正率という、減価償却のような考え方の補正係数を乗じて評価額が決まります。

また、経年減点補正率だけではなく、建築物価の動向等を考慮して定められる再建築費評点補正率という係数も乗じて評価額が決まります。

新築時の評価額にこの2つの係数を乗じて新築後の評価額が基本的に決まっていき(他にも補正が関わってくることもありますが簡単にするため省きます)、基準年度に発生する評価替において新しい評価額を計算し、計算上の評価額が上がるようであれば評価額は据え置きになります(家屋は評価額が上がることはないですが、土地はもちろん上がる場合があります)。

例えば築10年で、新築時の評価額が1億円の鉄筋コンクリート造で、用途が住宅のものがあったとします。

まず話を簡単にするために経年減点補正率だけで考えると、RC造の住宅は前回の評価替時点の平成27年では経過年数7年で経年減点補正率は0.6649なので、

平成27年度:1億円×0.6649=6649万円

という評価額となります。
それに対して平成30年度は経過10年で経年減点補正率は0.6386なので、

平成30年度:1億円×0.6386=6386万円

という評価額となります。

次に、平成30年度のRC造の再建築費評点補正率は1.06なので、これも簡単のために平成27年までの再建築費評点補正率を無視して計算しますが、

6386万円×1.06=6796万円

となり、計算上の評価額が上がってしまいます。
だだし家屋の評価額が評価替で上がることはなく、こういう場合の評価額は据え置きで6649万円のままとなります。

固定資産税評価額と担保価値

冒頭で固定資産税評価額とアパート経営における担保価値を絡めようとしたと書きましたが、先ほどの例を見るだけで、参考にならない場合が出てくるのがわかると思います。

固定資産税上の評価額は初期段階においては担保評価でよく使われる再調達価格での計算方法と比べると安いことが多いです。
例えば楽待のシミュレーションで使われているRCの再調達価格は平米あたり20万円ですが、固定資産税評価額が平米あたり20万円もいくのは一般的な建て方だとほとんど発生しないことなので。

しかしながら、再調達価格に耐用年数と経過年数の割合を乗じて計算する場合は当然年数がたつにつれて価値が下がっていくのに対し、固定資産税は経年減点が遅いRC造とかの場合で建築物価が上昇傾向にあると、評価替の際に評価額が下がらないということが簡単に起きてしまいます。
また、固定資産税上の評価額が落ちるのは構造によっては国税庁が定める耐用年数より遅いし、そもそも固定資産税の家屋評価額の下がり方としては0円まで落ちずに新築時の20%で止まるので、いつか再調達価格の基準と固定資産税の基準で価格の逆転が発生します。

なので私は、物件の売り込み文句で、固定資産税上の評価額の高さから割安だと宣伝してくるような宣伝文句はあまり好きではありません。
土地値が高いならばいいですが、RC造とか耐用年数が長いものだと家屋の固定資産税評価額の落ちが遅くて参考にならない場合がありますので。