だいぶ涼しくなって秋の気配を感じるようになりました。

FP大家です。

先日の日経新聞で、『不動産投資への過剰融資を抑制』と大きな記事になっていましたね。

ついに金融庁が、地方銀行の投資用不動産向け融資の実態調査に動きます。サラリーマン向けのアパロンの行き過ぎを調査するとのことですが、今後具体的にどうなっていくのか、私見を述べていきたいと思います。

 

まず、今回の調査の論点は3つあると考えています。

①サラリーマン大家の顧客保護の視点・・・顧客本位の営業姿勢(FD)

②銀行の不良債権増加を抑制する視点・・・公共的インフラの破綻防止

③銀行と不動産業者の癒着がないかという視点・・・かぼちゃショック関連

この点について考察していきます。

論点① サラリーマン大家保護の視点

私が金融庁の職員でアパロンをチェックするとしたら、まず、破綻した債務者の稟議書をチェックするでしょう。

そして、破綻した原因を検証するでしょう。破綻した原因が債務者にあるのか、それともアパロンの商品設計にあるのかという視点です。

債務者個人に責任があるとしたら、例えば転職で年収が下がってしまい、修繕資金等が賄えなくなり破綻するケースが想定できます。

転職したのはアパロンの商品とは関係がありませんので、銀行は責任を問われないと思います。

銀行が責任を問われるとしたら、貸し過ぎの観点です。債務者が収益物件を売却しても残債が残るというのは、債務者としては重い負担を背負ったままこれからの人生設計をしなければなりません。

投資は自己責任と、楽待コラムを読んでいる読者様は厳しい目線をお持ちなので、なんで破綻する債務者を保護する必要があるのかと思われる方もいると思います。

ですが、公共的な使命を持った金融機関が、利益のために個人を食い物にして良いかというと、やはり金融庁が顧客保護に動く大きな動機になります。

ですので、アパロンの審査で指摘するとしたら、年収倍率(年収の何倍まで貸してよいか)について口を出す可能性があります。

収益物件とはいえ、サラリーマンに〇億円も貸すということに対するアンチテーゼです。

また、サブリースを必須にするなどの対応も考えられます。サブリースには賛否両論がありますが、稼働率の低下、いわゆる空室の長期化で破綻するケースがあれば、なぜサブリースを付けないのか?という問題提起がなされるでしょう。

論点② 銀行の不良債権増加を抑制する視点

新築区分、RC,木造アパート、全てのケースで売却しても残債が残ってしまうリスクがあります。

購入時には不動産業者の利益が積算された価格で買っているので、業者の利益を35年ローンなどで債務者は支払って行くわけで。

要は、高く買っている訳で、そして売る時は業者の利益分安く売らないといけない訳です。

売却して残債が残るのは、ある意味当然です。最近思うのは、S銀行でしかローン付けできなかった地方RCなんかはハシゴを外された形で、売却に難儀します。

そうなると、債務者は任意売却しても残債が残り、その残債に対し年14%の遅延損害金を請求され、未払損害金は日に日に増え、やはり自己破産となります。もしくは個人版民事再生でしょうか。

そうなると銀行も債権をカットせざるを得ず、不良債権となります。不動産賃貸業の利益は「遅効性」、つまり、長期の期間をかけて利益を追求するものであり、逆をいうと長期の期間を掛けて破綻する業種でもあります。

そういった破綻予備軍について金融庁は懸念を示しており、今後の破綻リスクにも備えなければいけないという判断があるのだと思います。

では、アパロンの商品変更について、私が金融庁ならどう口を出すか。

それは、市場での売却額程度しかローンを出さないという変更が考えられます。それが、販売価格に掛け目を入れたものか、それとも、公示価格や路線価+建物の残存価値程度までなのか。

フルローンが組みにくくなるとか、基準がより厳しくなる可能性があります。

つまり、任売や競売でも損失がでない額までのローンしか出さないアパロンです。これは、債務者保護の観点からもあり得ると思います。

むしろ、そこまでやるならノンリコースローンにすべきという論調も出てくるでしょう。

論点③ 銀行と不動産業者の癒着の視点

私が金融庁の検査官なら、S銀行に出入りしていた不動産業者が、他にどの銀行でローン付けしていたか調査します。

そして、その業者がよく案件を持ち込んでいた銀行の支店を特定して抜き打ち検査をします。

2重売契は古くて新しいイカさま手法でして、私の身近で知るところ、父の世代からありました。で、当時の方がそれほどうるさくなかったです。

つまり、不動産業者に染み付いた手法ともいえます。

当然、S銀行でやっていた手法を、他の金融機関でもやっている業者がいます。そして、それを見過ごす銀行員もいます。いつの時代も、人の心の隙間にある出来心からエスカレートしていくものです。

S銀行以外でも、そんな銀行員が、金融庁の検査を控え、戦々恐々としている状況でしょう。

不動産業者によって改ざんもいろいろで、キレイに改ざんする業者もあれば、犯行予告文みたいに改ざんが下手な業者もあります。

肝心なのは、この状況を経営が見過ごしたかどうかであり、企業のガバナンスが問われています。

S銀行が氷山の一角だとすると、これから全国的に銀行員が処分され、エビデンス確認が厳格化していくと思います。

これからのアパロンについて

このリセッションは、不動産業者、銀行、サラリーマン大家が収益物件に群がった結果であり、この3者を繋げたのがアパロンです。

アパロンが起こした(投資用)不動産バブルによる損害を減らすために金融庁が腰を上げたということです。

では、これからアパロンはどうなるかですが、各銀行がアパロン債務者のデータベースを持った結果、これからデフォルトが起きる債務者パターンの学習が始まります。

そうなると、それなりに審査精度の高い商品ができると思います。つまり、アパロンが無くなるのではなく、ロスの出にくい商品設計になり、債務者の破綻も未然に防げる内容です。

借りづらくなるのは事実です。ですが、アベノミクス以前に比べ、アパロンに取り組む金融機関のすそ野が広がったのも事実です。

つまり、アパロンそのものは無くなりません。

また、サラリーマン大家が平日に融資契約できないため、休日の契約を可能にしたり、テレビ電話で銀行員と借入意思確認して契約など利便性も向上してきています。

先ほど2重売契は古くて新しいイカさま手法と述べましたが、過去を遡れば、景気の良い時も悪い時も、儲ける業者や投資家はいるものです。

つまり、景気の良い時は良い時なりに、悪い時は悪い時なりの儲け方があるのが不動産です。

悲観するのではなく、これからの情勢を見極めて行動したいところです。この世界では、誰かのピンチが誰かのチャンスになるのですから。。。

 

私も、自分が狙っている地域のマーケットを常に観察して、時勢を読んでいこうと思います。

 

本日も、お読みいただきありがとうございます!