こんにちは、元資産税課職員KSです。

先日息子の誕生日に某テーマパークに行った際に、このアトラクションは家屋として課税できなそうだから償却資産かとか、ここは家屋として課税するんだろうなとか、失いかけていた職業病が再発しました。
このコラムをやり始めたせいで、ちょっと固定資産税絡みのことに敏感になってしまったようです。

あと、某テレビ番組で某アイドルグループが作った無人島の舟屋も家屋として固定資産税を課税しているかどうかも気になっています。
「定着性」「外気分断性」「用途性」という家屋の三要件は満たしてはいるような気はするけど(家屋の三要件については9月7日のコラムに書きました)、自分が担当職員だったとしたら何かの理由を見つけて家屋として固定資産税を課税したくない感じはします。

前置きの方向性がずれましたが、前回の担保価値と固定資産税評価額の違いについて、今回は具体的な数字を使ってもう少し詳しく書いてみたいと思います。
前回のコラム掲載後に数値検証のためにエクセルで遊んでいたら、これをコラムに載せてみようと思い至りました

家屋の評価額の決め方

前回のおさらいですが、固定資産税における家屋の評価額の決め方は現状においては再建築価格方式という方法で評価をしています。

評価する家屋と同一のものを評価時点で再度建築するとした場合の建築費を求め、それに建築後の経過によって生じる減価率(経年減点補正率)を乗じて評価額を求める方法です。

建てるのにいくらかかったかは関係なく、建てるのにどんな資材をどれぐらい使ったかということで新築時の評価額が決まります。
その後は3年ごとにやってくる基準年度に評価額が見直され、減価償却のような考え方の経年減点補正率という補正係数と、建築費評点補正率という建築物価の動向を考慮した補正係数を乗じて評価額が決まります。

評価額は新築時が一番高く、基準年度に発生する評価替の毎に評価額が下がるまたは据え置きとなります。
建築物価動向により評価額が上がるという計算結果になった時は、評価額は上がらず据え置きです。

具体例

前回のオチとして固定資産税評価額はあまり資産性としてはあてにならない場合があると書きましたが、その具体例をエクセルでシミュレーションしてみました。

以下がその表とグラフですが、注意点として前提がいくつかあるのでご注意ください。

注1:物件は建築に2億円かかり、新築時の固定資産税評価額は1億円のRC造とする
注2:建物の延床面積は699.30平米、平米あたりの評価額が143,000とする(不動産登記における評価額のない建物の課税標準の基準表の値で設定)
注3:再調達価格は平米あたり20万円として算出(楽待の積算価格シミュレーションの値で設定)
注4:会計上の簿価は税務上の法定耐用年数より算出
注5:経年減点補正率のみを考慮し、建築費評点補正率は考慮しない

注意点についての解説

注1の建築費2億円に対して新築時の固定資産税評価額1億円という数字は、計算を簡単にするためにこうしましたが、平均的ではないにしろあり得る数字だと思います。
過去に自分が評価した物件だとその相関関係は本当にピンキリで、建築費と評価額の開きがもっとある物件もない物件もありました。

注2の平米あたり評価額は、東京法務局が登録免許税の算出に使っている課税標準額(評価額)の表を参考にしました。
ちなみに登記する際の登録免許税は固定資産税評価額に税率をかけてきまるのですが、新築の場合はそもそも固定資産税評価額がまだ出ていないので、法務局が基準となる平米あたりの単価を出していて、それを基準にしています。
基準表のファイルを勝手に拝借してここに載せるのはダメだと思ってしていませんが、「東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表」とかでグーグル先生に聞くと基準表は見つかります。

注3は楽待の機能にあり、ここは楽待のコラムなので一応解説はしないでおきます。
知らない人は適当な物件で積算価格シミュレーションを出してみてください。

注4は建築費2億円は科目が建物なのか建物附属設備なのかとかは無視して全て建物(=固定資産税上の家屋)としてしまっています。

注5は、建築費評点補正率を考慮すると、過去の分は設定が面倒だし、未来の分はそもそもわからないしとで、無視しました。

中古の場合

ついでに同じ条件で、25年経過した時点で中古で取得した場合の推移もだしてみました(端数の月数は無視しています)。
変わるのは簿価の動きの部分だけです。

解説として、とりあえず同じ簿価で取得して減価償却は簡便法だった場合を想定してグラフに追加してみましたが、当然のことながら購入価格によって購入時点の簿価は上下しますし、償却期間を長く見積もったとしたら償却しきるのは遅くなります。

中古の償却期間についても解説しますが、国税庁のホームページには

中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。

とあり、見積もれない場合に使うのが、多くの人が使っている簡便法であり、

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
   その法定耐用年数の20%に相当する年数
(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
   その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

となります。
これによって、25年経過の場合は

(1) 法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
   47年 - 25年 = 22年
(2) 経過年数25年の20%に相当する年数
   25年 × 20% = 5年
(3)耐用年数
   22年 + 5年 = 27年

となります。

結論

固定資産税上の評価額が当てにならないのがわかり易い結果が出そうなものとしてRC造を選びはしましたが、表で確認してみることで固定資産税評価額は賃貸経営する上での資産価値としてはあまり参考にならないということが視覚的にわかったと思います。
固定資産税評価額は新築時の20%で下落が止まってしまうので、いつか必ず家屋の資産価値と固定資産税評価額の大きな乖離がやってきます。

しかしそんな固定資産税評価額は登録免許税、不動産取得税、相続税などの、さまざまな税額の課税標準額に使われます(相続税では家屋分のみ使い、土地は相続税路線価を元に算出ですが)。
家屋評価の仕組みをいろいろと知ってしまったものとしてはそれでいいのだろうかと個人的には思いつつ、賃貸経営者としてはいろいろな制度を知識として知っておき、そのルール内でいかに経営効率を上げるか考えるのが必要かと思いました。

ちなみにRC造の住宅で表を作ってみましたが、他の条件で表を作ることはやめておきました。
構造が主要なものでも鉄筋コンクリート造、鉄骨造、軽量鉄骨造、木造とあり、用途も事務所、住宅、などなどと場合分けでき、どこまで詳細に作っていいかわからない上に、需要があるのかどうか不明だったもので。
個人的に作ってみて意外な発見があったり、もしも需要があるのであればコラムに載せるかもしれません。