どれだけ台風は来たら気が済むのでしょうか?

丁度、病院命令の講演会を開く日にくるなんて
嫌がらせですかね?

 

1.私は〇〇科医です

今までのコラムの内容でお察しの方もいらっしゃると思いますが
あえて述べる必要もないことなので書いてはきませんでした。

 

ただ今回のコラムは私の専門科に触れる内容です。

 

数年前、病院勤務している際に
とある患者さんが入院してきました。

 

病名は『双極性感情障害

 

うちの科には
自傷他害の可能性が高い患者さんが
行政の命令で強制入院の形態をとって入院してくることがあります。

 

この病気ですが
『うつ状態』と『躁状態』
を繰り返し
本当に大変なのは『躁状態』なのです。
(本人、家族、治療者含め)

 

躁状態になると、一見エネルギーに満ちて

『万能感』『多幸感』

が出てくるのですが、問題は

『なんでも手を出そうとするが中途半端に終わることが多い』
『周囲とのトラブルが増える』
『すぐ手が出る』
浪費

といった症状が出てきます。
社会的損失がとても大きくなる病気です。

 

今回のトラブルはその

浪費

にまつわる話です。

 

2.失敗です

入院のきっかけは

通行人に対する暴力からの24条通報(現在は23条通報)

警察対応となり措置入院(強制入院)となりました。

 

この程度なら割と日常茶飯事のことなのですが
大変だったのはここからです。

 

自宅の売買契約を交わした状態での入院

だったのです。
しかも家族には内緒で。

 

この形態の入院中では外出も制限され
もちろんのこと金消契約や決済は不可能です。

 

正常な判断能力を有していない状態での判断に基づく契約

だったのでそれは履行する必要はないですし
家族も契約を破棄されました。
その当時の不動産会社とのやり取りは家族に任せていましたので
主治医として結果を後に家族から報告されるだけでした。

 

まだ契約金だけの損失で済んでよかったです

 

私も当時は「その通りだな」と思っていました。

 

ただ最近振り返ってみて思ったのですが
正常な判断能力を有しない状態での契約のはずなので

無効

だったのでは?
契約金も返してもらえるはずだったのでは?
(契約当時の病状の程度から
「正常な判断能力を有していなかった」
と証明できなくてはいけませんが。)

 

そこまで当時は思い至らず
助言できなかったことを後悔しています。

 

自分からactionしない限り

言われるがままに「それが普通」だと思わされる

騙し騙されあいの世界。

 

3.余談

その後私は転勤となったのでその方の顛末は詳しくは存じ上げませんが
引き継いだ医師から伺ったところ
通院が途絶えたとのことです。

躁状態は本人もですが家族も巻き込んで
大きなトラブルに発展する可能性がある病気です。

 

自身が自分の専門科の疾患に罹患した際には

「〇〇病院の〇〇先生のところに何が何でも連れて行くように
(たとえ私が拒んだとしても)」

と妻には伝えています(笑)