行政書士のお仕事

私の事務所は行政書士事務所ですので、法務局に提出する申請書は作成することができませんが、相続登記の場合には申請書に添付する、遺産分割協議書や相続関係説明図は事実の証明として、行政書士が作成することができます。

相続登記を依頼されたときには、申請書作成と申請代理は司法書士に依頼し、その他の書類は私が作成します。

又、各種契約書作成

贈与契約書の作成もしますが、不動産贈与の場合は贈与を原因とする所有権移転登記を司法書士に依頼します。

 

相続時精算課税

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。  なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。  また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。(年齢は贈与者・受贈者とも贈与の年の1月1日現在のもの)  -国税庁ホームページよりー

 

上記、相続時精算課税を選択すれば、贈与者であり被相続人となる両親・祖父母が亡くなったとき、贈与を原因とし所有権移転をした土地や建物を相続時に相続財産に加算して相続税を計算するので、2,500万円の贈与までは贈与時に贈与税を払う必要はありません。

ただし、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した相続時精算課税の申告書を提出する必要があります。

申告するのを1日でも忘れば贈与税がかかります。

贈与税は直系尊属から直系卑属への贈与でもかなりの税額です。

 

私は、上記にあたる贈与による所有権移転の場合必ず登記時には翌年申告が必要なことを伝え、登記完了時の翌年の2月上旬には「相続時精算課税の手続はお済ですか?」と依頼者に電話します。

すでに済ませている方もいれば、そうでない方もいます。

必要であれば、税理士を紹介したりもします。

知り合いの司法書士数名に聞いたところ、登記完了時には念を押すが、わざわざ翌年には電話しないとの返答も。

 

以前、私の事務所に相続時精算課税制度を適用しようと、母親から娘へ贈与による不動産の所有権移転登記をしたが、翌年申告をしなければいけない事を知らなくて多大な贈与税がかかった。

贈与による所有権移転登記を依頼した司法書士も翌年申告をしなければいけない事を教えてくれなかった。

司法書士にも責任がと思うので司法書士を訴えたい。

 

との相談がありましたが、司法書士に教える義務はありません。

けれども、ほとんどの司法書士は翌年の申告が必要なことを依頼者に伝えています。

 

知り合いの司法書士から聞いた怖い話

 

相続時精算課税制度を利用しようと息子さんの家を建てるために父親の土地を分筆し、贈与を原因とする所有権移転登記をしたが、翌年の申告を忘れ、300万円程の贈与税がかかった。

 

所有権移転登記を依頼された司法書士も申告が近い年末の登記だったので、登記時には必ず来年の2月から3月15日までに相続時精算課税の申告をして下さいとは言ったが、再度の電話はしなかったとのこと。

税務署からは贈与税に関する書類もきていたが、息子さん2月の引っ越しでバタバタしていて、申告のことをすっかり忘れていた。

 

で、どうしたか?

 

まず、借り入れた住宅ローンを一括返済し、抵当権者銀行の抵当権を抹消

次に、父から息子への土地の贈与による所有権移転登記に対しては錯誤を原因として抹消

結果、よくあるパターンの父親名義の土地に息子が家を建てた状態。

いわゆる使用貸借

 

ここまでにかかった費用

 

1、分筆登記、周りの土地の所有権者の境界線の立会がいります。

周りの土地が市道及び県道だったため、市の道路管理課・県土整備事務所・父親の三者立ち合いの必要があり、土地家屋調査士に払った分筆費用が割高の約60万円。

 

2、土地の贈与による所有権移転登記の登録免許税が固定資産評価額の1,000分の20で、当事案の場合約23万円+司法書士報酬約6万円

 

3、住宅ローンの土地・建物共同抵当権設定登記で、債権額の1,000分の4、当事案の場合約6万円+司法書士報酬約5万円

 

4、住宅ローンを借りるための費用、印紙代20,200+融資手数料54,000 なお、保証料(約40万円)はローン返済時に返ってきますので、この場合除外します。

 

5、建物の表示登記、土地家屋調査士に支払う報酬で、約9万円 建物保存登記評価額の1,000分の4で、約5万円+司法書士報酬約2万円

 

6息子さんが住宅ローンを一括返済し、土地・建物の抵当権抹消2,000円+錯誤による土地所有権移転登記の抹消1,000円+司法書士報酬約4万円

 

司法書士報酬は私が依頼している司法書士の方達の大体の平均です。

司法書士報酬は地域によりけっこうな差があります。

 

1は次に相続時精算課税の適用を受け息子さん名義にする場合、必要な登記です

5は建物を建てる場合にはまずしますし、建物に抵当権設定登記をするのであれば必須です。

 

2、3、4、6が今回余分な登記となるので、合計約52万円の損失となります。

 

300万円の贈与税を払うと思えば、この選択はありですが、住宅ローンを一括返金できる資力が息子さんにあったからこそできたことです。

そうでなければ、弁済による抵当権抹消登記ができないので、父から息子への所有権移転登記の抹消登記もまずできませんから、贈与税を支払うことになります。

 

相続時精算課税制度は軽い負担で、早めに若い世代に財産を譲ることができるので、長寿の時代には大変有意義な制度ではありますが、知識不足やついうっかりで、せっかくの制度を生かすことができなくなります。

ご用心。