以前のコラムで、売り主が宅建業者である場合には、不動産売買契約のキャンセルができること(クーリングオフ)についてはお話ししました。

 じゃあ、不動産取引で、契約締結の後に損害が生じた場合はどうしますか?

 

 

不動産取引上の損害

 不動産取引が怖いのは、事前調査をしたつもりでも、契約締結後に、思わぬ損害に気付いたときです。お話し的には、これを何とかしようと、不動産投資家がいろいろと工夫して切り抜けるって言うのはありですが、もし、切り抜けられなかったら自己負担しかないの?

 今回は、そんな場合に損害分を取り戻せる保証制度についてです。もちろん、条件はあります。だからこそ、知っておいていいかなと思うのです。

 

重要事項説明のミス

 例えば、重要事項説明書における接道義務の記載ミスについてです。

 重要事項説明書においては、敷地が接道義務を満たしてあると書いてあるのに、実際には、私道の位置指定道路に、敷地が、2.0mではなく1.85mしか接していなかったようです。事前調査で、パッと見の目視だけだったので、気が付かなかったのです。これだと接道義務違反により建物を建て替えできません。困りますよね。

 結局、このケースでは、位置指定道路の延長により間口2.0mに接するように工事をすることで解決しましたが、重要事項説明を行った不動産屋はその工事代を渋って代金を払おうとしませんでした。このため顧客は、保証制度(弁済制度)を用いて、結局、この工事代金を含む申し出代金を受け取ることが出来ました。

 

宅建業者の義務

 不動産屋(宅建業者)は事業を始めるにあたり、顧客に損害を補うための保証金を準備する必要があります

 具体的には、営業保証金を供託所(法務局)に預ける(供託等する)か、営業保証金より安い弁済業務保証金を保証協会に預けるかをしなければなりません。中には、これら保証金を預ける前に、内緒で事業を始める人もいますが、それは宅建業法違反です。

 宅建業者のBS(バランスシート、決算書類の一つ)をちょっと見てみると、しっかり保証金が計上されています。

 

保証の範囲

 宅建業者は、保証金として、営業保証金(最低1,000万円)を預ける(供託する)必要があります。そして顧客が損害を受けた時、保証されるのは営業保証金の範囲内です。

 しかし、この営業保証金の供託義務は、やはり宅建業者にとって厳しいものです。この負担を軽減するため、宅建業者を社員とする保証協会が、組織的に保証を行うようになりました(これを弁済業務と言っています。)。この保証協会に預ける保証金、弁済業務保証金は最低で60万円なので、営業保証金に比べて、かなり割安ですね。

 最近ではほとんど、宅建業者が保証協会を使うのも納得です。一方で、顧客側についても、損害分を支払ってもらうときに、保証協会に連絡することが多い(と言うかほとんど)と思います。

 

 誰でも不動産取引で損失を被りたくはないものです。もしものときの最低限の保証として、こういった制度があることは知っておいていいかなと思います。

 次回もよろしくお願いします。