不動産取引で契約締結後に損害を被ったとき、その損害を保証する保証制度の概要については前回の通りです。今回はその保証の範囲・手続き・注意点について、詳しく述べていきたいと思います(そのため、コラムとしては長文です。)。

 

保証の範囲はどう決まる?

 損害を受けた顧客は営業保証金の範囲で、保証を受けられるのは前回の通りです。実際にいくらかと言うと、本店につき1,000万円、支店に1店舗につき500万円となっています。

 すなわち、支店が10店舗あれば、6,000万円の保証金があるわけです。そういう意味では、宅建業者として規模が大きい方が、すなわち支店が多い方が保証可能な金額が大きいと言えます。もちろん、規模が小さくても良い不動産屋はたくさんあるわけですが、この点については規模の大きさが効いてますね。 

 

 

保証金の請求先

 顧客がどうやって、保険金の請求先である供託所や保証協会を知るかですが、この説明は、契約締結前に、「供託所等の説明」として宅建業者(宅建士じゃなくてもいいんです)が説明することになっています。

 この「供託所等の説明」は、一般には、重要事項説明書の中に記載されていますが、宅建業法上は重要事項説明書とは別に説明しても構いません。ちょっと注意ですね。

 なお、売買の手付金の保全についても、ちゃんと重要事項説明書に記載することになっています。これも忘れず確認したいところ。

 ちなみに「供託所等の説明」としては、

(1)宅建業者が保証協会に加入していない場合は、営業保証金の供託所とその所在地

(2)保証協会に加入している場合は、保証協会の名称・住所・事務所の所在地とその社員である(保証協会にキチンと加入している)旨、

が記載されています。

 

保証金の還付

 不動産取引で損害を受けた顧客はその損害に対して保証金を受け取る(保証金の還付)場合、重要事項説明書などに記載の「供託所等の説明」に記載の、供託所または保証協会に請求することになっています。

 最近は、ほとんどの宅建業者が保証協会に加入しているので、保証協会に請求ですね。

 保証制度は宅建業法上の制度ゆえ、保証金の手続きにおいては、宅建業者から損害分を支払ってもらう権利(債権)を確認することになります。

 損害を受けた顧客が保証協会に請求すると、その保証協会が債権の確認(認証と言います。)をしてくれます。顧客は、保証協会にその不動産取引について説明および資料を提出して、それらに基づき保証協会が認証を行えば、保証金が支払われます。

有効活用するためには?

 なお、これは大事なことですが保証協会からすれば、不宅建業者が法律上の違反があったかどうかを判断するわけですから、顧客側はその判断材料を準備する必要があります(重要事項説明違反などは契約時に揃えた書面でかなり準備できると思います。)

 したがって、取引上、少しでもおかしいなと思ったら、不動産取引においては契約上の怪しい点を一つ一つ明確にしていき、自分が宅建業者からどのように説明を受け、どのように理解したかを確認して書面化するか第三者に立ち会ってもらいましょう。上記認証もスムーズになりますし、そもそも、その交渉過程で、宅建業者が交渉相手のレベルがわかってくれば、おかしなことをしてくる可能性も減ります。

 ところで、顧客に支払う保証金は単に保証協会が宅建業者の支払い分を立て替えたものとの位置づけです。ですから、その後、保証協会は、すぐ宅建業者に立て替え分を納付するように通知します。

 で、以前、自分のミスを認めず、支払いを拒む宅建業者がその保証協会の認証判断に不服をもって、その認証判断は間違いだと、保証協会相手に訴訟を起こして敗訴となったケースがありました(その宅建業者からすれば、勝手に保証協会が判断をして支払った保証金をなんで納付しないといけないんだって感じでしょう。)。

 保証協会は、宅建業者を構成員としていますが、不正を行う宅建業者の味方ではないんですね。宅建業者が保証協会に加入する金銭的メリットは大きく、廃業しない限りは保証協会に加入することを希望しています。宅建業者と保証協会とはそういう関係です。

 また注意すべきは、請求先が供託所の場合、この確認を供託所ではできないことです。このため、顧客側で、すでに損害を支払う権利を確認したことを証明する書類を用意しなければなりません。つまり、宅建業者が同意するならその債権確認書を作成し、宅建業者が同意しないなら債権の確認訴訟を起こす必要があります。これを考えれば、不動産取引をするときには、宅建業者が保証協会に加入してること(赤と緑を背景にハトかウサギのマークのステッカーが目印です。)を確認した方がいいかなと思います。

 今回は保証制度の保証範囲・手続き・注意点について述べていきました。保証制度には宅建業法上の制度ゆえの限度もありますが、その適用範囲内では不動産取引のセーブティーネットとしてかなり有効だと思います。

 次回もよろしくお願いします。