こんにちは、元資産税課職員KSです。

多くの会社でいうところの半期が終わった10月は、役所だと10月異動が終わり3月までの仕事の見込みをたてることが多くなります。
とりわけ固定資産税においては、この日時点での状態で税額が決まるという賦課期日である1月1日に物件の状態がどうなっているかの予想をあらためてしていくことになります。

そんな1月1日において、家屋を完成させるべきかどうかについて今回はふれてみたいと思います。
家屋が完成していると家屋分の固定資産税は追加されますが、土地と家屋の総額で固定資産税を考えると、際どいタイミングで完成していた方が得な場合と損な場合があります。

住宅用地の課税標準の特例によって上物があった方が得かどうかが変わる

賃貸経営をしている皆様の多くは土地・家屋・償却資産についての固定資産税を払っているかと思います(償却資産は免税点未満で課税対象外の場合もあると思います)。
固定資産税についての単純なイメージ的には課税対象の資産がない方が税額が安くなると思いがちですが、上物が住宅と分類される家屋だと土地の固定資産税が安くなるのでトータルの固定資産税は安くなる場合があります。

それは「住宅用地の課税標準の特例」という制度の影響で、

のように、評価額に対して課税標準額が減額されます。
この住宅用地というのは、戸建だろうと、アパートのような集合住宅だろうと適用されます。

具体的な計算をしていきますと、固定資産税の税額は自治体によって税率が違いますが、

固定資産税:課税標準額×1.4%
都市計画税:課税標準額×0.3%

が一般的で、都市計画税はこれよりも安い自治体もそれなりにあります。

例えば土地が250平米、家屋が400平米の物件を1月1日までに完成させたとして、土地が平米あたり20万円で評価額が5000万円、家屋は1年目は平米あたり12.5万円で5000万円、償却資産が1000万円だったとします。
(あくまでも計算をしやすくするための設定で、家屋はRCで土地値はそこそこ高い場所と想定しています)

家屋について新築軽減が適用されていたとすると(住宅は面積などの要件を満たすと新築から一定期間固定資産税が1/2に減額されます)

■家屋
固定資産税:5000万円×1.4%÷2=35万円
都市計画税:5000万円×0.3%=15万円

■償却資産
固定資産税:1000万円×1.4%=14万円

の合計64万円が1月1日までの完成だとかかってきます。
土地については

■住宅用地の特例適用前
固定資産税:5000万円×1.4%=70万円
都市計画税:5000万円×0.3%=15万円

■住宅用地の特例適用後
固定資産税:5000万円÷6×1.4%=11.66万円
都市計画税:5000万円÷3×0.3%=5万円

と、住宅用地の適用前が85万円、住宅用地の適用後が16.66万円で68.34万円ほど1月1日に住宅が完成していた方が安くなります。
このような場合は家屋・償却資産が課税されていても、土地に住宅用地の課税標準の特例が適用されるようになって、64万円と68.34万円との比較で考えると家屋の完成は1月1日までの方が合計の税額は安くなります。

これはあくまでも計算をしやすくしたためのイメージなので、

・土地がもっと高かった場合
・家屋がもっと安かった場合
・家屋に新築軽減が十分に適用されない場合

などは家屋や償却資産分の固定資産税がかかってしまったとしても、総額ではさらに固定資産税が安くなりますので、自分の保有物件の場合での土地値に置き換えてみてください。

ただし、そもそも建て替えの場合は条件によっては建設中の間でも住宅用地の課税標準の特例は適用され続けるので、その場合は1月1日以降に完成させた方が税額は安くなります。

建替の場合は住宅用地の課税標準の特例が建設中も適用され続けるが条件に注意

住宅用地の課税標準の特例は土地の課税標準が高いほど効果が高くなります。
ただし、

・1戸あたりの土地面積が大きくなると上の表のように特例率が下がる
・居住部分の床面積の10倍を超える敷地面積だと特例が適用されない

という点に注意が必要です。
賃貸経営の場合はそんな土地の使い方は非効率ですが。

そして建て替えの場合は、建設中で上物がなくなった状態でも条件を満たせば住宅用地の課税標準の特例が適用され続けます。
そうであれば1月1日前後に完成しそうな場合は、上物分が課税されないよう完成日は極端な話1月2日などにした方がいいです。

その条件で一番ひっかかってしまいやすいのは、所有者の条件についてです。
具体的には、

前年度賦課期日時点での土地・家屋の所有者が、当該年度の賦課期日時点での所有者と同じ

という条件があります。

このため、

・上物付で土地を仕入れてすぐに取り壊して建て替えを行った場合
・相続絡みで土地はまだ相続していないけど家屋は相続予定者の名義や法人の名義で建てた

などの場合は特例が適用されません。
この点が賃貸経営をしているとひっかかってしまいやすいポイントかと思います。

なお、1月1日前後完成の場合に何を基準に固定資産上では完成していたかとみなすのは難しい問題ではありますが、登記の新築日を意図通りにできるように日程調整しておくのが確実です。