前回はホームインスペクションの概要を中心に触れてみました。

では、ホームインスペクションについての実効性はどうでしょうか。

ホームインスペクションを行っていれば、

その物件の状態が把握できて安心して売買取引ができる訳ですが、

現状の制度ではあまり過信できるものではありません。

言っていることが前回とは多少矛盾してしまうのですが、

ホームインスペクションは完璧な診断では無いということです。

 

一見「住宅診断」と聞くと耐震性に問題が無く、

建物は健康そのものだ!等と思われがちですが、

その認識は間違いになります。

ホームインスペクションはあくまでも目視診断と、

ちょっとした機器による簡易検査のみとなっています。

耐震診断を実施するとなると特殊な機器を用い、

その結果を複雑な計算により精査して結論を出します。

また、隠蔽された躯体の状態を診断するためには破壊検査と言い、

部分的に躯体を壊すことによりその強度を確認したり、

内部を検査することになります。

その場合は費用も時間もホームインスペクションと比較して、

桁違いに大きくなるため、一般的に気軽にできる診断ではありません。

 

ここでいうホームインスペクションとは、

あくまでも数時間程度で行うことができる、

目視が主な住宅診断と認識して下さい。

ここでも国土交通省指針で、

「建物状況調査は、劣化事象等の有無を判定する調査であり、

瑕疵の有無を判定したり、瑕疵のないことを保証するものではありません。」

とされています。

私的には、

「この程度の診断内容では本当の建物状態はわからないだろう」

と感じます。

しかし、その程度の診断に留めておかねば費用が膨大になってしまい、

ホームインスペクションを普及させることが困難になるでしょう。

そして瑕疵に対しては瑕疵担保保険に入ることで対応する、

という方針なんだろうと思われます。

 

ホームインスペクションの活用は、

あくまでもこれから増加するであろう、

中古戸建物件の有効な活用をし易くするためのものです。

それも戸建住宅が主なターゲットとなるでしょう。

しかし、ホームインスペクションの内容としては投資物件対象となる、

一棟物アパートや一棟物マンションにも活用できるものです。

現状ではホームインスペクションというものの存在を意識せず、

媒介業者の根拠のない物件状態説明だけで、

中古投資物件を購入している投資家の方が圧倒的に多いでしょう。

そういった物件を買ってしまい、

後日私のところに相談に来られる投資家の方も少なくありません。

物件売買契約を行う前に、

ホームインスペクションを行っていれば防ぐことができた出費も多々あり、

その避けることができた金額は、

数百万円から数千万円に及ぶことも珍しくありません。

 

ホームインスペクションは物件規模によって違いますが、

一棟物でも10万円程度から可能です。

内容によってはそれ以下も請負ってくれるホームインスペクターも存在します。

この程度で後々高額出費を回避できるのであれば、

検討してみる価値は十分にあるのではないかと感じます。

これから先、増加傾向である、

中古戸建て住宅による不動産投資も盛んになるのではないかと思われます。

こうした戸建て住宅は規模も小さいので、

ホームインスペクションも比較的気軽にできますので、

安心を買う意味でも活用していくことをお奨めします。

 

ホームインスペクション費用は依頼者の負担となることがほとんどの為、

あえてそこで費用をかけたくない投資家の方が多いのが現状です。

でも物件価格からの調査費比率など微々たる金額です。

前述したように、

後から不具合が見つかって想定外の出費を考えたら安いものでしょう。

その他、将来的な修繕出費が見積もれるという利点もありますので、

物件状態を診断できる力がある方でなければ、

一度利用してみるもの良いかもしれません。

 

戸田 匠