FP大家に偉人の言葉がこだまする。

『金融緩和は一時的な需要の落ち込みには有効だし、意味がある。金利を下げることで将来の需要を前借りでき、景気の下振れを小さくできる。だが需要の前借りにも限界がある(平成30年11月9日 日本経済新聞より抜粋)』

by総裁退任後、公での発言を控えてきた白川前総裁

(すみません、サバイバル大家さんの書きっぷりを拝借させていただきました。クソ物件ファンとして楽しく読ませていただいでおります。)

本日は、不動産賃貸市場に大きな歪みを生んだ金融政策と、今後の銀行の融資姿勢について考察して参ります。

 

スルガショックによる審査の影響

銀行は公共性を持っています。

そのため、公序良俗に反する融資をすることは禁じられています。

①一番端的な例としては、反社会的勢力に属する法個人に対する融資です。これは一発アウトで、過去に行政処分を受けた銀行があります。

②風俗ビルに対する融資。これもやはり公序良俗に反しておりアウトです。

③破綻が目に見えていたサブリース会社とともにシェアハウス向けの融資を推進することはどうでしょう。これもアウトでした。

④人口減少の中で供給過剰となった収益物件に対し、融資を推進することはどうでしょう。これが今、焦点になってます。

シェアハウスを買って一般人が破綻したことが、水面に広がる波紋の如く、収益物件全体の融資に影響を及ぼしています。

金融機関の営利と顧客保護。これは逆相関の関係になりがちです。不動産業者の営利と顧客保護も同様に逆相関です。

それが顕在化したのが二重売契問題です。

二重売契や銀行ノルマの問題などから、金融庁は収益物件に関する融資について各金融機関に横断的なモニタリングを実施。

その結果、銀行は公共性顧客保護の観点から、収益物件向けの融資を絞ることにしました。

 

 

融資姿勢の近況

審査が昔に戻ったという声をよく聞きます。

法定耐用年数以内の融資期間であったり、一定の自己資金を求めたりという傾向です。

サラリーマン投資家への融資を絞る金融機関もありますね。

これらの融資条件は顧客保護の視点によるものであり、基本的に不動産投資家の財務破綻リスクを回避するためのものだと思います。

ここ数年は、『目には目を、歯には歯を』というように、『フルローンにはフルローンを』、『フルローンにはオーバーローンを』という金融機関同士の融資競争がありました。

それを絞ると、競争が沈静化し元に戻る。

でも、ただ元に戻るだけといえば、そうでもないような気もします。最近、倫理的にも、不動産向け融資ってどうなのかなってマインドはあるような気がします。(これは銀行も、投資家もあるような気がします)

 

そんな観点で、融資を絞っているのは、エンド顧客の財務破綻リスクを考慮しています。これは銀行の一時的対応です。

 

今、ローン付けできる物件もある。

一方で、区分マンションローンや賃貸併用住宅を建てるハウスメーカーとの提携ローンについては、絞られていない印象もあります。

基本的に業者と金融機関と提携したローンですが、この蜜月関係は現在も続いている様子です。

この絞られていないローンの分野は、私の目線で見ると儲からない投資です。つまり物件価格が高いのです。金利は低いですが。

絞られたと言われる昨今に、融資が引けたと喜んでおられる投資家の方を見かけますが、銀行が融資をしたから儲かるとは思わない方が良いです。

銀行員より、友達の大家さんの方が目線は確かです。

優秀な投資家ほどマクロよりもミクロを大切にしており、その歪みを突いた投資案件を持ってくるのですが、銀行員にミクロの歪みを審査する能力はありません(笑)。

審査の偉い人なんて都心に住んでるから、千葉・埼玉の一部だとどこなのそれ?賃貸需要なんてあるわけない!なんて断じてたりするんですよね

横浜なら大丈夫だろ!いやいや横浜エリアは違う意味でヒートアップしてますよ!

つまり、優秀な投資案件が否決になり、妙味の薄い案件が可決になるといった事象が発生しているようです。

本当に絞らなければならない融資を絞ってないんですね。

そんな混沌とした状況の中ではありますが、アパロンについて、金融機関は一定期間喪に服しているでしょう。

喪に服す。これが、スルガショックとリーマンショックの違いです。

 

 

信用収縮との違いに着目する。

リーマンショック後というのは、企業の年商が3割~5割程度減り、固定費が賄えず倒産する事象が発生し、銀行の不良債権が増加しました。

その結果、自己資本比率も低下。自己資本比率を上げるために、貸出金を減らす必要があり、貸し渋りが起き、銀行の融資の扉は閉まりました。

融資の扉が閉まることで、不動産の価格が下がります。その結果、不動産担保融資の担保価値も劣化するため、ますます自己資本比率が下がります。

これが不景気下の信用収縮です。こうなると融資は出なくなり、不動産価格も下がるスパイラルが一定期間続きます。

では、今回のスルガショックの場合はどうでしょう。結論から言うと信用収縮ではありません。

喪に服しているという表現が適切かどうか分かりませんが、銀行の自己資本比率は過去の歴史の中でも高い水準であり、企業倒産も減少しています。

つまり、今後も融資して利益を出したいと考えてます。アパロンは抑えてますが、デベロッパー向けの融資は絞ってませんし、住宅ローンもジャブジャブです。

不動産全体では融資を絞ってはいません。その証拠に、不動産価格が値下がりしていないのだと思います。

築古のアパートが値下がりしないのも、土地の積算価値で歯止めがかかっているのかと思います。

 

話を戻しますが、アパロンの分野だけ喪に服しています。

喪が明けるのはいつでしょうか。それは実は金融機関同士の競争原理の話になります。地銀が絞った反面、ノンバンクが台頭してきている分野があります。

つまり、営利目的の綱引きが現在も行われているということです。

地銀の今後に関して言及すると、人口減少の中で収益物件が供給され続けたことによる賃貸市場の大きな歪みが今後を左右する予定です。

最近も、本部から破綻事例のコレクトがありました。つまり、破綻した債務者の特徴や原因をサンプルとして洗い出すのです。

アパロンの商品は、そういったロスを勘案した上でマイナーチェンジが行われます。つまり、我々大家の実績が、アパロンを作っているといえます。

気になるのは、金融緩和で発生した不動産価格の上昇とアパートの乱立という事態です。将来視点では、誰かが何等かの代償を払うと考えています。

白川前総裁が、黒田総裁を批判したような発言が私の心に刺さったのですが、この歪みのツケを支払うのは一体誰なのでしょうか。

そこに融資の扉の鍵があるような気がしています。

 

本日もお読みいただき、ありがとうございます。