こんにちは、競売大家さんです。

今回は任意売却の千葉県香取郡の戸建て物件(後編)を取り上げます。

任意売却の千葉県香取郡の戸建て物件について、師匠に意見を求めると「買い」の判断が出ました。その際にこの戸建が、既に競売に出ていることを教えてもらいました。『千葉地裁の平成XX年(ヌ)XX号』の(ヌ)の物件でした。

右側の先のエリアです。

■競売物件(ケ)と(ヌ)

競売物件には一般的に多い(ケ)と少ない(ヌ)の種類があります。

(ケ)とは、一般的に住宅ローンが返済できなくなって、担保に入れていた家が競売になってしまった任意競売物件で、要はローン返済が出来ない場合には競売になることを本人が了承していることに対して、(ヌ)とは裁判所の判決や裁判所での和解又は調停で決まった競売事件を差し、債務者本人の意思は反映されずに裁判所の命令で手続きが進むため、強制競売と呼ばれる物件です。

 

よく考えてみれば、母屋があって、他にも作業所・事務所、倉庫などがあり、いかにも代々農家をやっている歴史を感じる家が、住宅ローン?という違和感がありました。

自宅が裁判所から差し押さえされ、債務者の本人意思に関係なく家が競売にかけられてしまったのでしょう。

(ヌ)の物件は、債務者との話し合い、家の明け渡しなどで、こじれるケースもあり、一般的には入札をさけた方がいいと言われたりします。

 

ややこしい案件かもしれません。

3点セットで、詳細情報を調べるのは初めてのことでした。

 

■上限の入札価格を調べる方法

実は、この逆パターンで、競売物件の住居表示で不動産物件のサイトで、検索して任意売却で、通常の売り出し価格を調べて、上限の入札価格を調べる方法もあります。

上手く物件が検索ヒットすれば、一般的な売り出し価格で売れていないということがわかり、それ以下での入札価格になります。

(当然、競売でそれよりも高い価格で入札される可能性もありますが、、、)

 

3点セットの記述を丹念に読み進めますが、怪しそうな記述はなく、逆に普通過ぎて拍子抜けするくらいの普通でした。もしや仲介業者が怪しいのかも。

警戒心を持って、電話をします。

 

■仲介業者へ電話

「メールの任売物件の問い合わせですが、まだ決まってないですか」

「既に買い付けがおひとり入りました」

既に買い付けが入っていることは残念ですが、買いと判断したのは他にもいることに逆に安心しました。

「現金で直ぐに決済出来ますので、買い付け申込書送ります」

「1番手の方も既に10万円買い上がってもいいと言われているので、どうなるかはわかりませんよ。あとでメールに買い付け申込書を送りますので、そちらに記載してご返送ください」

カマをかけられているのか、本当に買い付けが入っているのか。既に値上げ交渉がスタートしているのかもしれません。師匠から事前に聞いた550万円までなら買いの価格の目安があるので、冷静に受け止めました。それより債権者との話し合いの状況を確認する方が大事です。

「債権者の債券額はいくらくらいなんですか」

300万円くらいです

「えー!その金額で競売になってしまったんですか」

個人的には相当複雑な気分になってしまいました。

「競売の基準価格での落札でも、おそらくはもっと値段は上がって落札されるとは思いますけど」

「今回は基準価額で売買しても完済できるので、債務者の方は、住み続けられることを優先的に考えました」

聞けばこの不動産業者さんは、個人経営で社員1名、奥様が、行政書士でこの手の案件が、不定期ながら出てくるそうです。不動産業者さんとしてもきっちり業務手数料を取れるので、今回はこの仕事を受けたということでした。

 

ということは債権者理由による売買価格のつり上げもありません。ヨッシャー!

「すぐにでも現金でお支払いできますので、ぜひ売主さまにも宜しくお伝えください」

買い付けの1番手の状況はわかりませんが、祈って待つしかありません。

 

◼晴れて買い主に指名

翌日になり、何の理由かわかりませんが、売主さまからご指名があったと仲介業者さまから連絡がありました。1番手の買い付けはどうやら本当でしたが、やはり現金買いが、判断の決め手になったそうです。

既に競売に出ているので競売の開札日の前日17時までに債権者が競売の取り下げをしてもらわないと自動的に競売になってしまいます。

買えればラッキーだと思っていたので、直ぐに売買契約の日程調整にはいります。通常は不動産の場合、融資の関係から、売買契約締結後に買い主が金銭消費契約を金融機関と結び、金融機関内での決裁期間を見越して、決済日、物件引き渡し(所有権移転の登記変更手続き)で1ヶ月程度は、かかる場合がほとんどですが、今回は売買契約と決済(物件引き渡し、所有権移転手続き)も同時に行うことになりました。

 

今回の債権者(ローンの貸し手)は、愛知県の金融機関でした。競売の入札締め切り期間は残り数日にせまってきます。不動産業者さんは、この売買契約を元に金銭授受をして、競売取り下げの書面に捺印をもらい、管轄の千葉地裁に取り下げ申請をするということです。

無事に手続きが行われないと競売にもかかってしまい、そもそも契約自体が無効になってしまいます。

売買契約書の買い戻し額で今回からの仲介手数料含めた金額での買い戻し額も交渉して契約書に反映してもらいました。

 

■いざ売買契約場所へ行くも売主さま現れず

数日後、指定された銀座のオフィスに行きます。競売の開札まであと3日まで迫っていました。

一人でやっているのに何故銀座のオフィスなのか、レンタルオフィスだとしても家賃は安くはないはずです。疑問を持ちながら現地に到着。

担当者とは初対面でしたが、非常に誠実、実直そうな印象でした。電話で事前に聞いていた話したことは本当のようで、共同の打ち合わせ会議と小さいオフィスがいくつかあるそうで、行政書士事務所と不動産会社とひとつのオフィスでやっているそうです。やはり名刺に銀座の住所が記載されているだけで信用力が違うということでした。応接室に通されると既に司法書士がいて、机の上には書類が準備されていました。約束の時間になっても売主が現れません。

仲介業者さんが、電話をしても電話に出ず。雲行きが怪しくなっていたところに仲介業者さんの携帯電話がなりました。

仲介業者さんは、道順を説明し始めました。千葉の香取郡から銀座にやってきて道に迷っていました。自宅に住み続ける為に大都会の銀座まで呼び出され、さぞ不安なことでしょう。それから10分数後、女性が現れました。

 

■売主さま登場!

約束の時間に遅れ、何度もお詫びして恐縮しながら私の向かいに座りました。

千葉県といってもほとんど千葉県の東の果て、電車を乗り継いで3時間近く。

本意ではない自宅を売りにはるばる東京の銀座まで。女性の心情は想像するとふびんでなりません。

仲介業者さんは宅建士の免状を見せてから重要事項説明、契約書内容の読み合わせが続きます。事前に重要事項説明や契約書内容をメールでやり取りしていたので、内容はわかっていました。契約書内容の朗読の間、目の前の女性がどんな気持ちでこの場にいるのだろうかとずっと考えていました。

契約書に署名、捺印が終わり、事務的に作業は次々と進みます。免許証での本人確認、机の上に登記簿が出され、司法書士確認し、登記の委任状に押印します。

7年後の買い戻し特約付きの売買契約書の締結に加えて、賃貸借契約も締結しました。

「ぜひ7年には買い戻してください。先祖代々の土地や建物ですので、持ち主の方に所有してもらうのが一番いいと思います」

「本当にありがとうございました。引き続き宜しくお願いします」

 

■契約完了後、決済へ

権利書とカギの引き渡しが終わり、契約が完了したところで、売主さんと仲介業者さん、私で銀行に向かいます。代金の支払いで支払伝票をいくつかに分けてひたすら書き続けました。銀行窓口に振り込み依頼書と通帳を差し出し、振り込み処理を待ちます。

愛知県の金融会社にも振り込みました。

仲介業者さんの奥様の行政書士が愛知の金融会社にスタンバイしていて、先方の金融会社口座への着金確認です。それが確認とれて解散になりました。

「来週、仲介業者さんと一緒にお邪魔しますので、また、宜しくお願い致します」

 

奥様の行政書士は、愛知県の金融会社から競売取り下げの書面に捺印をもらい、その書面を、今度は千葉地裁に持参して競売取り下げの手続きをとることになります。

あとは何事もなく取り下げが間に合うことを祈るしかありません。

 

カギをもらっても競売になってしまったら、また白紙になる。その時にお金は戻ってくるのだろうか。もちろん契約書には返金と書いてありますが、まさか買主もグルになった大掛かりな、詐欺じゃないよなという一抹の不安。

 

■事件の取り下げのゆくえは?

翌日になってもホームページでは、まだ取り下げされていません。

残り1日。

 

入札最後の日にようやく取り下げの文字がホームページで見つけました

いつもなら残念気持ちで見ている『取り下げ』ですが、自分が買った物件の『取り下げ』は全く別の安ど感でしかありませんでした。

競売ではありませんでしたが、任売は任売のドラマがあり、学びも多くありました。何よりようやく競売の基準価よりも安い価格で初めて物件を手に入れられたことに喜びをかみ締めました。

 

今回もご一読ありがとうございました。