こんばんわ、サラリーマン大家のTAKAです。

本日は、昨日の認知症への対応のつづきとして、不動産賃貸業と成年後見制度などについてコラムを書いていきたいと思います。

1.後見人、保佐人、補助人は本人に代わり不動産賃貸業を行えるのか?

成年後見制度では、本人や親族等からの申し立てを受けて、成年後見の審判を開始し、本人の意思能力に応じて、後見人、保佐人、補助人を選任します。

不動産賃貸業を考えた場合には、不動産の売却や賃貸借契約の締結、物件の修繕の発注や管理委託契約の締結などの行為を行う必要があり、本人に代わりこれらの行為を行うためには、代理権が付与される必要があります。

代理権という観点からみると、後見人については、一定の制限はあるものの財産に関するすべての代理権が与えられるのに対し、保佐人、補助人の場合には、申し立てにより代理権付与の審判をすることで初めて代理権が与えられ、なおかつ代理権の範囲も申し立てを受け認められた行為に限られます。

 

不動産の売却、大規模修繕や賃貸借契約(3年超)の締結(処分行為)

賃貸借契約(3年以内)修繕等(管理・保存行為)

 

後見人・・・〇

本人(被後見人)・・・△

→かならず後見人が行うこととなり、本人は行為ができない(正確には本人は行為はできるものの、後見人・本人は行為を事後的に取り消すことができる)。

 

保佐人・補助人・・・×(代理権付与の審判により認められれば〇)

本人(被保佐人・被補助人)・・・〇

→本人が行為を行い、代理権付与の審判により代理権が認められれば、行為ができるようになる。

 

また、保佐人・補助人が選任されている場合には、一応は本人(被保佐人・被補助人)の行為はできるものの、一定の場合には保佐人・補助人の同意が必要となります。同意のない行為は事後的に行為を取り消すことが可能です

後見人・・・同意権なし(代理権があるので同意権という概念なし)

 

不動産の売却、大規模修繕や賃貸借契約(3年超)の締結

保佐人・・・同意権あり

補助人・・・同意権なし(同意権付与の審判により認められれば同意権あり)

 

賃貸借契約(3年以内)修繕等(管理・保存行為)

保佐人・補助人・・・同意権なし

→ 保佐人・補助人に同意権がないので取消もできない。

 

小括

後見人が選任された場合には、基本的には後見人が本人に代わり不動産賃貸業にかかる諸行為を行うことになります。

一方で、保佐人・補助人は裁判所への申し立てにより代理権付与の審判をしなければ、代わりに不動産賃貸業にかかわる諸行為すらできない。そして、短い期間の賃貸借契約であれば本人の契約を取り消すことすらできない。

2.成年後見制度の利点とネック

成年後見制度の利点としては、登記の制度があるため、後見人等に選任されているということが公的に証明できることから、取引の相手方も安心して後見人等との取引ができることが挙げられます。

一方で以下のようなネックもあるといえます。

 

後見人等に誰が選任されるか指定できない

→ 後見人等に親族が就任することもありますが、後見人等は裁判所が任意に選任するので必ずしも親族が選任されるとは限らず、弁護士等が選任されることもあります(この場合、報酬等の支払いが生じます)

 

後見監督人等の選任の可能性

→ 後見人等に選任され代理権を行使して、不動産賃貸業を引き継げるものの、資産がある方の場合には、後見監督人等が選任される可能性があります。後見監督人等が選任された場合には、不動産の売却等には後見監督人等の同意が必要となるなどの手間や監督人への報酬の支払いが生じます。

 

資産の管理状況の報告

→ 資産の管理状況等を定期的に裁判所や後見監督人等に報告する必要が生じます

 

3.おわりに

少しだけ成年後見制度について掘り下げてみました。

成年後見開始の審判の申し立てをしたとしても、裁判所の判断により、後見、保佐、補助が決まり、かつ明確な基準があるわけでもないので、なかなか手間のわりには使いづらい制度かなと感じます(後見人が選任されると、本人(被後見人の行為が著しく制限されるので、なかなか選任されないという話も良くききます))。

後見人等を任意に指定できないのもかなりのネックかなと感じます。また、弁護士の世界では、過払い金返還請求訴訟が終わり、定期的な収入が得られる後見人や後見監督人への就任が次の飯のタネになるのではという話もあるようなので、少し制度自体の動向には注意が必要かもしれません。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

(ご質問等あればお気軽にコメントください)