私は独身時代は好き勝手に過ごした方だ。

大学の同級生や会社の同期が結婚するにつれ遊び仲間は減ったが、たまに酒を飲むと、結婚はいいものかと私はよく質問した。

「いいよ!人生の墓場っぽくて♡」

赤ら顔で、どこまで本気か冗談か分からない返事だったが、私も酔っていて同じ質問を何回かした。

「いいよ!人生の墓場っぽくて♡」

結婚して子どもができて、今思うことは、子どもを育てていく中で妻が強くなっていくことだ。

我が家のフリーザがどこまで変身するか興味深いところではあるが、私の子どもに対する愛情も、成長するにつれ深まっていくのを感じる。

「いいよ!人生の墓場っぽくて♡」

その言葉の意味を、次第に理解し始めているFP大家です。本日もお読みいただきありがとうございます!

 

 

住宅ローンについて、ある業者からローン付けを頼まれた。

年収500万円程度のサラリーマン。物件は都内で、50㎡未満で5000万円程度のフルローン。

35年の返済期間が組めるので、返済比率はクリアしてしまう。

クリアしてしまうのだ。

「この物件って、高いですよね?」

業者に聞くと、都内はこんなものだと言う。地価の上昇と建築コストの増加が原因だ。

住宅ローン控除が適用になる床面積をクリアすると、もうサラリーマンには手の届かない価格なんですよ。部屋を細かくしないと利益も出ないんですよね。

業者いわく、この購入者は賢いですという。

「将来子どもが出来て住み替える時に、売るにも貸すにもこの立地なら問題ないですから」と。

また、ある投資用マンションを販売している業者は言う。

「都内に資産を持つのであれば、CFがマイナスで持ち出しがあるのが当たり前です!フェラーリを所有したら自動車税などコストがかかるでしょ。資産を持つということは、そういうことです!」

一遍の淀みなく言い切ったお父さんのその姿に、言葉を失った。

業者というのは、何かを信じ切っているのか、理解できない不思議を持っている。

 

 

そんな不動産業者を私はある意味リスペクトしている。

「エビどう?」

と聞くと、何でも集めてくるのが不動産業者だ。

物件の写真も、申込人の納税証明も。確定申告すら申込人にやらせる。

不動産を販売する営業というのは、とても泥臭く、報われないことの方が多い大変な仕事だ。

ある業者が言っていたが、不動産というのはスーパーに並べて売れるものではないと。人的販売でプッシュしまくる。

プッシュしすぎて消費者センター経由で警告される業者もある。それだけ、不動産の営業マンの詰められ方は半端ないということだろう。

スルガ銀行で過度な営業ノルマによるパワハラが新聞沙汰になったが、そんなの不動産業では当たり前だろう。

そんな不動産業者が案件を成就させるために動く様は、それが申込人にとって有益な物件なのか疑問があっても、若干のリスペクトを持っている。

生きるために必死に働く姿を見せつけられているからだ。

 

 

ある金消契約で、30代の係長くらいの業者の営業マンが申込人に同伴していた。

サーフィンでもやっているのか、浅黒い肌にストライプのスーツ。白いシャツの袖からは高そうなチャラい腕時計。指には太めの結婚指輪。

40代くらいの債務者が金消に目を落とし氏名を記入している間、私はチラチラとその営業マンを見た。

口説いた女とやった後にタバコを吸う男の顔だ。そう、コイツはここがゴール。そして、銀行と債務者の長い20年が始まる。ここからが我々のスタートだ。

ただ、私の目線だと、この物件は買わない。自分ではNOなのに、銀行がYESになる稟議を作った。

この営業マンも、おそらく自身ではこの収益物件を買わないだろう。この物件を売った報酬でキャバクラにでも繰り出す程度だ。

この人が破綻したら、私はそれに一役買ったことになる。私もまた罪人だ。

もし、私が安っぽい善意でこの案件を否決にしても、業者も、投資家も、私の上司も喜ばない。この投資家も、きっと家族が幸せになるために不動産を買っているのだ。

そんな案件のために、司法書士も、法務局も、この物語を成就させるために一生懸命働く。

一生懸命働いて、みんな家に帰る。社会的な意義が在ろうと無かろうと。家族のもとに戻るのだ。

「ただいま」