確定申告の季節です(もう終わっている人もいるでしょうね。)。

 

 去年は(も)地震や台風の被害が色々ありましたが、皆さん、しっかりと火災保険に入っているので、それなりに保険金を受け取っているでしょう。

 

 では、その保険金の扱いが、物件が、個人所有の場合と、株式会社や合同会社と言った法人所有の場合とで、税務上、どう違うか?

 

 ご存知の方も多いと思いますが、個人であれば税金の対象(益金)にならない一方で、法人であれば税金の対象(益金)になって支払う税金が増えます。

 

 それなら個人の方が得じゃないかと少しでも思った人、います?

 

 今回は、そんな保険金を受け取った個人と法人とで違ってくる税金のお話です(個別具体的な税金の話ではありません。それは税理士さんのお仕事ですから。)。

 

個人がお得?

 

 ではその続き。

 

 被害箇所を直してもらえば、業者さんへの支払いが発生します。これはどうですか?

 

 個人では、その支払いも税金の対象(損金)になりません。これは保険金が税金の対象(益金)にならないことに対応しています(もちろん、保険金以上の支払いがあれば、その分は損金です。)。

 

 では法人なら?

 その支払いは税金の対象(損金)になります。

 

 となれば、一応、個人が一方的に法人よりお得って訳でもないですね。

 

 でも、個人と法人とでは、やはり違いがあります。

 

 何でしょう?

 

 よくある話ですが、業者への支払額が保険金より小さいと、その差額分を、個人なら、税金を払うことなく、そのまま懐に入れることができます(^◇^)。

 

 でも法人なら、その分、しっかりと税金が増えちゃいます。

 

やっぱり個人がお得?

 

 他にもあります。何でしょう?

 

 ではヒントです。去年、現在もそうだと思いますが、地震や台風の被害が多かったエリアでは業者さんが不足します。このため、なかなか工事が始まらない。

こういったケースはどうでしょうか?

 

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 そうです!

 

 保険金をもらったものの、修繕や建替えが出来ないために、その費用が今期中に発生しないケースがあるんです。

 

 被害が修繕レベルで保険金が大した金額でなかったら気にならないかもしれませんが、被害が建替えレベルとなれば保険金も多額となって税金への影響は大きくなります。

 

 また個人なら、受け取った保険金が大金でも税金対象ではないので、別に問題ありません。

 

 でも、でも、法人は?

 受け取った保険金がほとんど税金対象(益金)となって、そのまま税金が増えます。

 

 去年、火災で木造アパートが全焼になったケースがありました。法人所有の建物です。幸い、保険金も受け取れました(ただ一棟丸ごと建て替えするには、足りない金額ですが。)。

 

 しかし、問題が生じました。そう!今期は地震やら台風やら、まだまだ業者が不足して新たな工事が全く間に合わない!予定も分からない!

 

 建物の簿価と火災の後処理費用とを差し引いた金額がそのまま税金対象で税金UP!

 

 増えた分の税金は保険金から払えばいいのではないかと思う方、います?

 

 お金を十分に持っている大家さんはそれでいいと思います。

 

 でも、そうでなかったら・・・。

 

 例えば増えた税金は保険金から払うとします。

 

 でも、建替えが来期中に終わったら、その支払いはどうします?少なくとも税金を払った分は手持ちのお金が減ってます。困りますね。借りますか?

 

 「でも、その支払い分全部は来期の税金の対象(損金)になるから、次の税金はその分減るんじゃないの?結局、同じでしょ。」

 

 え?全部はならないですよ。建替え分は資産計上されるので、少しずつ減価償却の対象になるだけ。

 

 そもそも来期まで、業者さんに支払いを待ってもらう?

 いやあ~~。今後のことを考えたらマズイでしょ。

 

 また問題は、その支払いだけじゃない。法人なら中間申告がありますが、その中間申告の税額だって増えるかも。

 

 じゃあ、どうしたら?

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法人ならコレ!

 

 そう!「圧縮記帳」があります。

 

 圧縮記帳を使えば、受け取った保険金によって税金が増えるのを防ぐことができます。

 

 建替え予定が来期(来々期も)なら、保険金を、その保険金で賄う建替え金額を上限(圧縮限度額)として相殺します。そして、来期以降、相殺で圧縮された建替え分が通常通り資産計上され、減価償却が行われます。

 

 こうして、保険金を受け取った期の大きな税負担を軽減して何とか資金を回します。

 

(参考例)

 例えば、今期に簿価1000万円の物件が全焼して保険金3500万円を受け取り、火災の後処理に250万円の請求があり、来期4000万円で建替えるケース(あくまで参考用)。

 

 そのままだと、今期の保険金3500万円-後処理250万円-簿価1000万円=2250万円がそのまま税金の対象(益金)となり、その分、今期の税金が増えます。

 

 そこで圧縮記帳を適用します。

 

 来期の建替え分4000万円があるので、来期に上記2250万円は全額支払われる予定です。なので、この支払予定2250万円(圧縮限度額)を、保険金の残り2250円から差し引いてゼロ。保険金による今期の税金UPはこれで解消!

 

 次に来期の処理。

 通常なら、来期に4000万円で建替えをしたら、建物4000万円が資産計上となりますが、ここで上記2250万円(いわゆる圧縮限度額)の登場!

 

 4000万円ー2250万円=1750万円で、この圧縮した1750万円が資産計上されて減価償却の対象となります。

 

 この圧縮記帳は、保険金(補助金も)で資産を購入するケースに使います

 

 そもそも保険金を受け取った今期中に建替えができたケースでも、保険金は税金対象となるものの、その建て替えた建物分は資産計上されて少しずつしか償却できません。

 

 しかし、これだと、保険金(補助金)を受け取った期は税金が増えて、資金繰り上、困るケースがあります。こういう場合に「圧縮記帳」です。

 

 大切なのは、圧縮記帳が一種の税金の繰り延べであると言うこと。

 圧縮記帳によって将来の償却分(損金)は減るので、現在および将来の資金繰りの観点から検討することです。

 

 また何にでも適用できる訳ではなく、保険金や補助金で設備丸ごと買い替えたりするときに使います。

 

 法人は個人よりも何かとシビアに対応することを要求されるので、メリットを生かしてしっかりと使いこなすことが重要ですね(なお、圧縮記帳の個別具体的な対応は税理士さんにご相談下さい!)。

 

 個人だろうと法人だろうと、不幸中の幸いで保険金を受け取れればありがたいものですが、資金繰りや税金のことは忘れずに対応していきたいなと思います!

 

次回もよろしくお願いします。