こんばんは!FP大家です。

銀行というのは、お客様から預金を預かり(銀行の借金)、そしてお客様に融資する(銀行の資産)。その利ザヤで儲ける商売です。

融資というのは、投資家目線でいうと負債になるが、銀行からすると資産であります。

この資産ですが、貸倒れると不良資産になり、損失が生まれる。損失が生まれると内部留保が減り、自己資本比率が下がります。

自己資本率が下がると、存続が危ぶまれ、地域経済にお金を供給する役割を果たせなくなるばかりか、地域経済に損失を与えることになります。

そうならないよう厳しく指導しているのが、金融庁であります。

本日は、銀行の資産査定と、直面する課題について。

都内の区分マンションの価格二極化

ある投資家の財務内容が悪化していました。

債務者区分は当時「正常先」だったが、財務内容の悪化から要注意先以下に落として管理していました。

このように債務者区分や格付けを下げた場合、担保価格をもう一度調査しなおすことがあります。

1本の融資の中でも、担保で保全されている融資額と、まる裸となっている融資額に分類して貸倒引当金を積みます。

ちなみに、債務者区分(正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)に応じた引当率というのがあります。

その債務者区分の中で更に、保全された融資とそうでない融資が分類され、銀行は資産(貸出金)を査定しています。

最近、ある区分マンションの時価を調査したのですが、平成25年の購入時25百万の物件が、現在では21百万に下がっていることが分かりました。

立地は、都内ですが山手線の外側の区で、真ん中より上の方。

ちなみに5年間返済しているが、残債の減りよりも時価の下落の方が速い。通常は返済が進むとまる裸の融資額は減っていくのですが、そうなってませんでした。

理由は、新築時の積算価格に業者の利益が乗った価格で購入したためです。今回の調査では、その地域の成約価格を事例的に集め評価したものです。

購入当初は4%の利回りでしたが、5~6%でしか売却できない物件であり、評価額に乖離が生まれたと考えてます。

 

アパート向けが下火になる中、ローンの付く区分に業者が群がるが。

債務者としては減価償却で所得を赤字にして、微々たる税金の還付を受けている様子です。

家賃収入と返済額がほぼトントンで、管理費と修繕引当金は持ち出し。固定資産税も当然持ち出し。

将来は金利の上昇や家賃の下落。管理費や修繕引当金も、15年後の大規模修繕を賄うには不十分。

残念な投資家です。また、貸した金融機関も・・・。

中古アパートへの融資が厳しくなる中、区分マンションに融資する金融機関はまだ多いです。人口が都心に集中しているため、いまだ安全性の高い投資と考えられているようです。

しかし、都内でも価格差は生まれています。平成25年に新宿区や品川区、渋谷区などの物件を買った場合、時価は300万~500万上がっているケースもあります。

エリアによる濃淡が鮮明に出ている印象です。

持ち出しは少額かもしれませんが、家賃は低下し、管理費や修繕積立金は増額になるなど、補填額が拡大するのは明らかです。

嫌気がさして売却査定をすると、2百万~4百万の損切りが必要になる可能性があります。

この状況を鑑みるに、いずれ区分に対する融資も閉まるだろうと、個人的な見解を持っています。

銀行が撤退し、ノンバンクが細々と継続するとか。

 

資産査定の意義と目的

ところで、最近投資侍さんがコメント欄で吠えてましたね。

注目の複数法人スキームだが、「期限の利益の喪失」に該当するか否かに皆様の注目が集まりやすい様子。

だが、冒頭に申し上げたが、期限の利益を切ることに目的があるわけではありません。銀行の資産が持つリスクを正確に把握することに意義があり、その目的は地域インフラとしてしっかりとした経営を行うためです。

複数法人を合算した財務内容が厳しいものであったとき、本来は融資できない先に融資してしまったということになります。

債務者区分を下方遷移すれば、引当率も上がる。その引当率に応じた金利の引き上げを要求し、リスクをヘッジする必要があります。

「鉄槌」という言葉は良くなかったかな。正義が悪を懲らしめるようなニュアンスが。

つまり、「鉄槌」ではなく、資産査定の上で対策を講じるという通常業務を粛々とこなしているということです。ヘッジするために、金利を6%に上げたり、早期回収を検討したりします。

ですが、複数法人スキームに騙される銀行サイドも杜撰です。

銀行は我々預金者のお金を預かって、それを貸しているので、杜撰な審査で預金者のお金が焦げ付く事態というのは、社会的に負う責任は重いものがあります。

銀行も身から出た錆。うそをついた投資家も身から出た錆。

 

債務者は覚醒する。

サラリーマン投資家は、儲けるために買った収益物件が、実は儲からないという事実に直面した時、消費者として覚醒します。

「儲けるために物件を買った。儲からない商品を売った責任を取れ」と。

延滞の督促をすると、物件が悪いとか、管理会社が悪いとか、貸した銀行が悪いとかの話になります。

騙されたと感じるようです。これは、区分投資に限ったことでなく、消費者系サラリーマン投資家に間口の広い物件で、起きている印象です。

投資家、不動産業者、金融機関。いずれの者も自身の利益に想いを馳せたこの商売に、善悪というのはあるのでしょうか。

私が分っているのは、出口を塞がれた債務者というのは、消費者として覚醒することです。もちろん、全ての人がとはいいませんが。

 

利回りもCFも重要なファクターですが、購入と、運営と、売却の総和が「儲かる」ということだと、今さらながら思います。

 

本日も、お読みいただき、ありがとうございます!