みなさん、こんにちは

 

2月25日のコラムに書いた「不動産投資を始めるサラリーマンに法人設立をお勧めする理由」にからめて、FP大家さんが「不動産賃貸業を始めるなら、やっぱり個人!」というコラムを書いてくださりました

決して、反論コラムとして戦っているわけじゃないですよ!!

むしろ、FP大家さんのコラムの中でおだてられすぎてお尻がむずむずしちゃっています(笑)

不動産投資に正解なんてないと思っている私としては、多様な意見、見方が示されるのはとても良いことなので大歓迎です

個人か法人かというのは、どうすべきか悩む定番の論議ですし、様々な考え方があっていいと思います

さらに、FP大家さんのコラムを読ませて頂き、私のコラムで説明が不十分だった部分、若干の補足が必要な部分があるなと気付きました

加筆、補足をしつつ、もう少し掘り下げてみたいと思います

 

 

FP大家さんの的を射たつっこみ

 

FP大家さんのコラムをざっくりまとめると、「不動産投資スタート時には法人事業ではなく個人事業でやるほうがよいのでは」とし、理由としては、①個人のほうがキャッシュフローを自由に使いやすいことと②役職定年後など年収が落ちた段階で調整すれば税率が高いこともクリアできるのはーーとの意見でした

FP大家さんの意見は非常に的を射たもので、うなづけます

これらに対する私の意見を書いていきたいと思います

 

 

「最初から法人設立がお勧め」と書いた真意

 

私のコラムが言葉足らずで、補足が必要だなと思ったのは、法人でやるべきという対象を明確に示していなかった点と、法人でスタートしたことでデメリットとなりかねない部分(まさにFP大家さんご指摘のポイント)への言及が不十分だったなという点です

 

法人でスタートすべきと書いたのは、「不動産投資ではなく、不動産賃貸事業である」ということをしっかり自覚するため、という意味を込めていました

もちろん、個人事業でも事業としてしっかりやることはできます

ただ、設立費用や税理士費用といったコストがかかり、決算をすることで資産状況や運営実績が明確化される法人事業のほうが、事業という意識をもつことにつながりやすいでしょう

ですから、真剣に取り組むには法人を設立して、事業を行うという覚悟をもって取り組み始めてはどうかという趣旨でした

 

そして、その法人でやるべきと語りかけた対象は、ちょっと小遣い稼ぎといった考えではなく、真剣に取り組んである程度の規模を目指す方々です

この点について、2月25日のコラムでは「不動産投資で大きな利益を得ようなどとは思っておらず、月に2~3万円のお小遣いが得られれば十分」というスタンスなのであれば、法人設立しなくていいと思う」と書きました

お小遣い程度の目標がダメというわけではまったくなく、そのレベルでいいのであれば、法人でやるとコスト倒れになりかねないので個人のほうがいいという意味です

ただ、真剣に取り組む方ならば、面白みを感じるなり、ある程度の規模があるほうがリスクは分散できるということに気付くなりして、もう少し規模を広げようと考えるのではないかと思います

 

 

FP大家さん指摘の「法人だと稼いだお金を使えない」という点について

 

そして、最大の論点は、個人であれば、稼いだお金(キャッシュフロー=CF)を自由に使えるが、法人の場合、役員報酬にするなり、役員への貸付金か仮払金にする必要があるので使いにくいという点です

 

せっかく、借金の返済額と経費を上回るだけの家賃収入を得られても、使えないのであれば意味がないのではというのはよくわかります

ただ、この部分については、私は安定飛行と言えるだけの段階に至るまでは、CFは使うべきではないと考えています

借金をして物件を買った場合はなおさらです

潤沢なCFが出ようとも、しばらくの間はじっと使うのは我慢すべきと自戒しています

以前、別のコラムでもちらっと書きましたが、伊丹十三監督の「マルサの女」で分かりやすいこんな例がでてきます

 

宮本信子演じる査察官が、どうやってそんなに儲けることができるかを聞いた時、山崎努演じるラブホテル対象者はこんな答えを口にします

「あんた、今、ポタポタ落ちてくる水の下にコップ置いて、水、貯めてるとするわね。あんた、喉が渇いたからってまだ半分しかたまってないのに飲んじゃうだろ? これ最低だね。なみなみいっぱいになるのを待って、それでも飲んじゃダメだよ。いっぱいになって、溢れて、たれてくるやつ。これを舐めて我慢するの。そうすりゃコップいっぱいの水は……」

(この後「そうすりゃコップいっぱいの水はなくならない」と言おうとしたのでしょうけど、ここで宮本信子もたれていた書棚がずれて隠し財産が見つかってしまいます=笑)

 

借金をして買った物件で家賃収入を得ているということは、コップの水(物件)はまだ大半が金融機関のものということです

そのコップからあふれてくる水(CF)は、返済金額+経費を上回った分なのだから使ってよいというのではなく、コップの水を少しでも自分のものにすべく、そのコップに再び注ぐ(繰り上げ返済する)か、新たなコップを満たす(物件を入手する)ために使うべきではないかと思います

もちろん、ひたすら再投資に回し、倹約するばかりであれば、なんのために苦労して不動産投資しているかわかりませんので、一定の許容範囲内でCFを費消するのはありだと思います

FP大家さんがやっておられるように、教育費といった将来につながる不可欠のものに使うのであれば、それは賢い使い方と言えるでしょう

そして、コップをいくつも持つようになり、あふれてくる水の量が増えてくれば、たとえ他人に借りた水で満たされたコップからの水であろうと、多少使うことは大丈夫です

 

ただ、CFを単純に“儲け”だと考えてしまうのは危険じゃないかなと思いますし、初期段階はストイックであるべきだと個人的には思っています

 

 

最終的には個人と法人併用が最強では?

 

法人からスタートすべしと書いておきながら、私自身は個人事業でスタートしたのは、コラムで既に書いた通りです

後から考えて法人でスタートしておいたほうがよかったかなと思ったということで書きました

スタート時は法人でやるべきだったとは思いますが、たとえそうできていたとしても、その後、個人でも物件所有をしていたのではと思います

それは、個人には個人のメリットがあるからです

 

私の場合、現状では私と妻とそれぞれの名義で十数室ずつ所有し、法人で60室程度を保有しています

妻もフルタイムで働いており、それなりの給与所得があるので、共有という形はとらず、それぞれがそれぞれの名義で3物件ずつ持っています

不動産投資を始めた当初、法人でやるということをちゃんと理解していなかったのと、そこまで本気でやる覚悟もなかったことから、「夫婦それぞれの名義で5棟10室の事業的規模になるまではとりあえず個人で」と考えていました

その後は法人を設立して、法人でばかり買い進めてきましたが、実は昨年、現金購入で築古物件を1棟ずつ、個人名義で買い足しています

これは税金対策の意味が強く、4年で減価償却でき、修繕費も多少かかりそうな築古木造を選んでいます

償却後は建物部分を法人に売却し、少額の地代を法人から支払う形にするかもしれません

ボロ、全空といった再生物件など、経費がかかり、儲けが出るまでに時間のかかりそうなものは個人で取り組み、儲けが出始めれば法人に移すなど、やりようは様々にありますので、税理士さんらと相談しつつ進めていこうと考えています

法人には法人のメリット、個人には個人のメリットがありますので、両方を使ってメリットを生かしながら賃貸経営を進めていくのが望ましい姿なのかなと考えています<私の場合はまだまだ絵に描いた餅で、全然実現できていませんが・・・

そのうち、相続対策として、子供の人数分の法人を持ち、法人ごと引き継げるようにするといったことも視野にいれるべきかもしれません

 

 

考えることが大切

 

今回、FP大家さんの問題提起で、改めて個人と法人のやりようについて考える機会をいただきました

いったん法人を設立すると、「法人のほうが経費計上しやすいし、なんとなく得だよね」と考えてしまいますが、個人には個人のメリットがあります

今から考えると、私自身、法人で持つほうが良い物件を個人名義で持っていたり、その逆があったりと、場当たり的だったなと反省する部分が正直あります

自分の状況、ステージにあったやり方はどれなのか、しっかり情報収集し、考えながらやっていくことが重要なのではないかと改めて感じました

そして、ちゃんと考えてやっていれば、私が「初心者こそ法人で」という根拠とする“事業に取り組む覚悟”というものも自ずと備わるのではないかと思います

 

本日も駄文、長文をお読み頂き、ありがとうございました