こんにちは、元資産税課職員KSです。

今回は使える人が限定される、スケルトンを活用した固定資産税の節税方法を紹介します。
関係ない人はただの雑学というか、固定資産税の仕組みを学ぶ読み物と思ってください。

最初に謝っておきます。
話が難しかったらすみません。

スケルトンの固定資産税

ここでいうスケルトンとは、店舗や事務所でよくある、内装や設備などは借主に施工してもらって所有者は何もしない家屋です。

その場合の固定資産税はどうなるのでしょうか?

そもそも固定資産税の世界での家屋は、構造上家屋と一体となった部分が評価対象なので、本来は内装やビルトインの設備は家屋として評価対象です。
しかしながらスケルトンとなると話は変わってきます。

固定資産税は所有者に対して課税するものです。
スケルトンの場合の内装や設備の所有者が異なります。

スケルトンの内装などは借主が施工していて借主が所有者になることがほとんどのはずなので、所有者が違う内装や設備は家屋としての評価対象外となります。
その場合の借主は、内装等を固定資産税の中でも家屋ではなく償却資産として申告、納税します。

家屋と償却資産で考え方が異なる

同じ固定資産税というくくりであっても家屋と償却資産では考え方が異なる点がいくつかあります。
今回の話に大きく関わってくるのは4点あります。

・都市計画税の扱いの違い
・評価額の決め方の違い
・不動産取得税の扱いの違い
・評価額の落ち方の違い

どういうことかを、仮に所有者が同じであれば全て家屋となっていたものを、別々の所有者になって家屋と償却資産にわかれたらどうなるかを詳しく説明していきます。

言い換えると、新築時に所有者を分けられたらトータルでの税額は得かどうかです。

都市計画税の扱いの違い

1点目としては都市計画税の扱いの違いとしては、償却資産は都市計画税がかかりません。
固定資産税では家屋だろうと償却資産だろうと、税額は

 課税標準額×税率

で税額が決まり、固定資産税の税率は標準税率が1.4%、都市計画税の上限税率が0.3%で、この税率が普通と考えて問題ありません(都市計画税がもう少し低い税率のところはたくさんありますが)。

償却資産はこの都市計画税がかからないというのは大きな違いです。
この点は所有者を分けた方がトータルの税額として有利です。

評価額の決め方の違い

そして2点目は、課税標準額(=評価額)の元になる基準が違うという点です。

償却資産における評価額は「取得価額」です。
それに対して家屋は使用資材の評点を積算して決めます。

家屋の方は以前の私のコラムをじっくり読んでくれていてかつ覚えていないと何を言ったのかわからないかもしれませんが、いくらで建てたかではなくどんな資材をどれぐらい使っているかで決まっていると思ってください。

最初の評価額は家屋の方が安くなるよう制度設計されているので、この点は所有者を分けた方がトータルの税額として「最初は」不利です。

不動産取得税の扱いの違い

償却資産には不動産取得税はかかりません。

そしてスケルトンになって家屋の評価額が安くなった場合は、不動産取得税も安くなります。

この点は所有者を分けた方がトータルの税額として有利です。

評価額の落ち方の違い

評価額の下限としては家屋は新築時の20%、償却資産は残存価格が5%です。
まずこの点で償却資産の方が有利です。
国税の残存価額は昔なくなったのに、固定資産税の残存価額は生き残っているのに違和感を覚えますが・・・。

また、評価額の落ちのスピードも家屋と償却資産で全然違います。
家屋の評価額に組み込まれてしまったものは、評価額の落ちは構造が何かにひっぱられてしまい、ひどい例だとRCの場合は60年かけて新築時評価額の20%へと落ちます。

それに対して償却資産の場合は構造が何だろうとその設備が何なのかとかで落ち方が決まり、家屋より圧倒的に落ちるのが早いと思っても差し支えありません。

つまり評価額の落ち方では圧倒的に償却資産が有利で、この点は納税者にとって所有者を分けた方がトータルの税額として有利です。

使える人が限定される固定資産税の節税法

これまでの話をまとめて数値で表現しようとすると複雑になるので結論だけをいいますと、新築時にスケルトンの家屋を個人で保有、内装等を法人で所有みたいな、所有者をわけることをできた場合が長期保有する場合は固定資産税の節税法になります。
もちろん、税逃れとみなされないちゃんとしたやり方で。

家屋だけだった場合の税額と家屋と償却資産に分けることができた場合の合計税額を比較すると、長期スパンで考えると圧倒的にスケルトンで別名義所有形式の方が税額は安くなります。

もっともまっとうなやり方でこんなことを出来る人はかなり限定的で、そんなことをした時の融資はどうするんだなどの問題がいろいろとあります。

そんな、使える人が限定的な固定資産税の節税法を、雑学として紹介してみました。