1.相場を知るには?
こんにちは。山本です。
コラムも第5回目となり、いつもご覧いただき、ありがとうございます。

さて、皆さんは購入したい物件に出会った際、金額をどのように定めますか?

前回のコラム「出口の防衛ライン(後編)」で私は、土地の場合、固定資産評価額を0.7で割り戻した金額を基準にすると申し上げました。
しかし、物件が良件になればなるほど、この基準を固く守れば、他の投資家さんに対して競争力を失ってしまうのが現実です。

今回は、物件購入において競争力を有するために、ある程度精度を持って相場を把握する方法として、過去の取引実績の調べ方とその活用法をご紹介したいと思います。

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2.取引実績(過去10年超)の入手方法
不動産投資において、下記のサイトをご覧になったことがありますか?

国土交通省の「不動産取引価格情報検索」のページです。
 コラムにはURLを掲載できないため「不動産取引価格情報検索」で検索してください。
 画像転用については国土交通省より許可をいただいております。

そして、このサイトの画面左上の「1.時期を選ぶ」で「ダウンロード」を選択することで、エリアを町名単位にまで細かく分類した2005年7月以降の取引データ全てを入手することができます。

下記はダウンロードした一覧表のイメージと、表示される属性の詳細です。
(a)~(j)の属性が、取引物件毎に1行ずつにまとめられ、出力されます。


  (a)取引の時期(区分は四半期毎)
  (b)所在地(区分は町名毎)
  (c)都市計画上の用途地域
  (d)物件の種類(「土地」,「土地+住宅」,「集合住宅」など)
  (e)取引価格と坪単価
  (f)土地の面積と形状および間口
  (g)建物の築年数と構造および面積と間取り
  (h)取引時の物件の用途(住宅利用・店舗利用・駐車場利用など)
  (i)前面道路の情報(道路の種類・幅員・方角)
  (j)最寄駅とその距離
    ※ 他にも多くの属性が表示されます。

いかがでしょうか?

「近隣の相場」といった曖昧な基準ではなく、検討している物件と類似の取引を見つけることができる、あるいは、取引された物件の様々な属性から、検討中の物件の相場をより精密に推し量ることができると考えられた方も多いと思います。

 

3.取引データの活用法
さて、上記によって物件の相場を推し量ることは可能と思いますが、私はより鮮明にそれを把握するために、ひと工夫を加えます。

まず先に、ご紹介した先の手順で「ダウンロード」を選択すると、下記のように「ダウンロード」か「データ表示」かを選択する画面に切り替わります。


ここでは迷わず「ダウンロード」の選択をお勧めします。
理由は、「データ表示」では一部の情報が一覧表示されないことと、エクセル等の表計算ソフトで加工できるようにするためです。

そして、ダウンロードした情報を分析しやすいように整理することはもちろんですが、私はこれを散布図にまとめます

下記は、 国内に実在する町(N町)で、以下の物件を検討する際に作成した散布図です。

 【土地】
  ・面  積:50坪
  ・間  口:9m
  ・前面道路:西向き・幅員10m

(注)N町の全ての取引情報から物件を土地のみに絞り込み、建築不可の土地は除外して処理。
   土地面積45坪未満を、45坪~55坪を、55坪以上をで表示。

相場は横ばいか、微減の傾向にあると感じられる。
 
土地が広くなればなるほど坪単価は安くなる傾向が読み取れ、
対象の物件は坪25万±5万円が相場と推測できる。
 
間口10m以下は坪単価が若干割安の傾向にあるとも推測でき、一方で
10m超の物件は間口が単価の増減要因にはなっていないと推測できる。

西向きは、北を除く他の方角に対して若干割安で取引されていることが分かる。

道路幅員が8m超になると坪単価が下がる傾向が読み取れる。

いかがでしょうか?

この5つの散布図から物件の相場(買値)をどのように定めるかは投資家皆さんのデザインによるところかと思いますが、情報を選別や識別・グラフ化などにより一層見やすくすることで、「最近は坪30万円近くで取引されています。」といった業者さんの言葉をただ鵜呑みにするのではなく、ご自身で、類似の属性を頼りに、より精密に相場を推し量ることができるものと思います。

 

4.過去データから得られる新たな気付きを大切に
未来は過去の延長線上ではなく、バブル崩壊による地価の下落がその最もたる例かと思いますが、しかし、一方で、短期売却も視野に入れ、相場が安定しているうちに運用益を確保し、損失を出さずに売却を行うことを戦略とするのであれば、今回ご紹介した方法はその一つの重要な指針にもなるかと存じます。

情報の絞り方、また散布図における縦軸と横軸の組み合わせ方は様々に存在し、想定できなかった新たな気付きを与えてくれることも多々あります。
バイアスのかかった言葉や情報ではなく、しっかりとした統計的データを基に相場を見定める方法として、この度のコラムがお役に立てば幸いです。