「あぁー…待ちますよ」

 

買い付けから2ヶ月近く

資金集めに難航し

融資は届かず

断られる覚悟で仲介業者さんへ訪問

そこで思いもよらぬ返事が

「えっ?」

 

自分の耳を疑う

 

「売り主さんには話しておきますから…大丈夫ですよ。あっ!ちょっと待ってください…」

 

すると仲介業者さんが事務所の奥に

自身のものとおぼしきデスクに座り何かを探している

 

ひとりで待ちながら

パーテーション越しに事務所を見渡す

 

しばらくして

 

 

おもむろに仲介業者さんが

応接テーブルの上に資料を並べる

 

「あのあたりで同程度の戸建てや土地の最近の成約事例です。見てください、これも市街化調整区域ですが、これだけの金額で取り引きが成立していますよ。この資料を見せれば銀行の評価も、もうちょっと上がると思うのですが…」

資料に目を通す

昭和48年 戸建て450万円

更地 土地580万円

昭和53年 戸建て800万円…

去年の年末から今年の4月にかけて契約されているものばかり

 

重ねてお礼を言い

 

まったく信用も実績も無い

素人の自分に真摯に対応してくれることに

驚きと戸惑い、感謝と色々な感情が混じる

 

自然と思いが口から

 

「ありがとうございます。改めて頂いた資料を持参して金融機関へ訪問してきます…ただ…ただ、情けない話ですが、お約束はできかねる状況です」

 

言葉をつなぐ

 

「ひとつご提案があります…今回の物件はかならず購入します…ですが最初は…1年か2年でいいので、最初は賃貸として契約させて頂くことは可能でしょうか?」

 

仲介業者さんが真っ直ぐにこちらを見つめる

 

「…転貸借するって事ですか?」

 

 

「ハイ。もちろん融資が通れば購入させて頂きます。ただ、並行して、今の状況と、そういうお話しがあるという事を売り主様にお伝え頂ければ…」

 

 

仲介業者さんは

うつむき加減で腕を組み

しばらくの沈黙の後

 

「面白いですね…現状渡しで…月3万円くらいなら年間で36万円…その後は300万円で買いますって話なら…売り主さんもそんなに急いではいないですし」

 

1週間くらい時間を貰えれば

その間に売り主さんに話しておきます

タカボンのパパさんも融資がつくように頑張って下さいと

事務所を後にしました

 

後日

 

仲介業者さんからメールが届きました

 

続く