こんにちは

実践大家のメッシといいます。私は自分で不動産投資を行いながら、賃貸管理会社で10年以上実務を担当していたサラリーマンでもあります。私は大家でもありながら、管理会社の内情、不動産業界の内情を知る立場でもあります。そんな立場から、不動産投資に少しでも役に立てればとコラムを書いています。

管理会社が宣伝する高い入居率が嘘くさい根拠の続きです

根拠3

入居率を算出するのは、結構難しい

 

入居率の計算方法は前回説明の通り

入居率 = 入居中部屋数/管理部屋数

ですが、私が勤めていた管理会社の社内で入居率を計算できる人はほとんどいませんでした。

管理会社では、毎日、新たな賃貸解約(入居者の退去)が発生し、新たな賃貸契約(入居)を締結しているのです。管理を新規受託する物件もあれば、管理解約になる物件もあります。

よほど小さな規模でなければ、管理会社は、部署や担当者などに分かれて、分業を行っており、全体の細かい動きを全て把握している人は数えるほどもいません。

私の勤めていた管理会社では、管理物件情報をコンピューターシステムで管理していました。各担当者が日々システムへ情報を登録しますが、入力情報が間違っていたり入力漏れがあったりすることは日常茶飯事でした。

入居率を計算するためには、システムからデータを毎月末にダウンロードし、入力漏れや、入力ミスなどを確認し、事情があり計算から除外する部屋などをエクセルでデータを加工する必要がありました。

結構面倒な作業で、入居率を計算できる人は社内でも限られていました

そのため、算出された入居率が正しいのか誤っているのか、社内の人間でも算出した本人以外は簡単には確認ができませんでした。

管理会社の公表する入居率が正しい数字であるかを、外部の人が検証するのは不可能です。

いったいどの時点の入居率なのか?

根拠4

いつの時点の入居率であるか不明瞭である

 

入居率は日々変動するのです。しかし、管理会社が公表している入居率はいつの時点の数字であるか示していないものが少なくありません。

また、入居率は毎年3月頃の繁忙期では高くなり、夏には低くなる傾向がありました。いつの時点の入居率か示されている場合でも、たぶん、1年で一番高いときの数字を示しているに過ぎないのです

大家さんは管理会社の言うことを鵜呑みにしてはいけません

結論

説明の通り、実際に管理会社に勤めていた人間にとっては、各管理会社が公表する数字は、限りなく怪しい印象です。

なぜ各社が高稼働率をアピールするかと言えば、賃貸経営において高い入居率を維持することが最も重要で、多くの大家さんが、高入居率を実現してくれる管理会社を求めているからです。

では、高入居率を宣伝する管理会社は、全て信用ができないかと言えば、一概にそうとは言えないと思います。新規管理受託のために、大家さんの関心を引こうとして、(正しい数字ではないですが)高入居率を宣伝するのは、良く言えば大家さんのニーズを意識している証です

入居率を算出する一般的な基準も存在しないのですから、過度に数字に対しむきになっても、あまり益はありません。

(そうは言っても「当社の入居率は常に99.9%! 他社とは営業力が違います!」のような、あまりにも適当な会社は最初から全く信用できませんが・・・

新たに管理会社を探している大家さんとして注意しなければならないのは、管理業務能力、リーシング能力が大きく欠けているにも拘わらず、広告だけは立派な会社に間違って業務を委託してしまわないことです。

なくならない騙される大家さん

スマートデイズの事件や、詐欺的なワンルームマンション投資、サブリースアパートなどで被害に合われた人の中には、業者が提示する数字を鵜呑みにしてしまった人が多かったのではないでしょうか

不動産業界は、「誠実な会社」から「詐欺的な会社」「実力のある会社」から「口ばかりの会社」まで、玉石混交なのです。

高入居率を宣伝している管理会社が、(公表している数字は正しくないとしても)宣伝の通りに、本当にリーシング業務を行ってくれるのかどうかを見極められるかどうかが、大家さんにとって重要です。

現実の投資の世界では、「本当に実力のある本物の業者」を見つけられるかどうかも、大家さんの実力が試される要素の一つと言えるかもしれません