楽待実践大家コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。

 

本日は火災保険の特約についてコラムにしたいと思います。その中でも賃貸物件のオーナー向けの特約である「家賃収入特約」「家主費用特約」について考えます。

 

内容は、

 

# きっかけ

# 家賃収入特約と家主費用特約

# 単身者向け物件の危険性

# 私の場合

# 終わりに

 

です。

 

きっかけ

 

管理会社さんから、オーナー各位に宛てた手紙を頂きました。管理物件において単身者が室内で亡くなるケースが増えてきているという内容でした。貸借人の方に親族がいない場合、オーナーの費用負担になるため、賃貸経営に大きく影響を及ぼしているようです。そこで加入している火災保険について確認して必要なら見直しましょうという話でした。

 

まあ、管理会社にとっては保険代理店としての報酬目当てもあるでしょうが実際に影響を受けている方がいることは楽待コラムをご覧の皆様にとっては普通のことだと思います。既に特約を付けている方も多くいらっしゃると思います。

 

家賃収入特約と家主費用特約

 

まず、私も利用している某保険会社のケースで特約の内容を確認しておきます。家賃収入特約とは、建物が損害を受けた結果発生した家賃の損失に対して、家賃収入保険金を支払うというものです。保険金には上限があり、この保険会社の場合は、家賃月額に約定復旧期間の月数を乗じた額が上限になります。また、損害は火災などの保険金を支払う対象の事故による損害になります。

 

次に家主費用特約についてですが、これは賃貸借契約により賃貸される建物に対する保険契約にプラスして、自殺や殺人などの犯罪による死亡および孤独死が発生した場合に発生する家賃の損失に対して家賃収入保険金を支払うというものです。この保険会社の場合は、空室による損失、家賃値引きによる損失および原状回復(修繕・清掃・脱臭など)と遺品整理にかかる費用が対象となります。ただし、空室や値引きは最大で 1 年間、他の費用は 100 万円が上限となります。

 

家賃収入特約は、通常の火災保険に対する上乗せですが、家主費用特約は、火災保険ではカバーできない損害に対するものなので入っていない場合は見直しを考えた方が良いかもしれません。孤独死に対する保険として、家主費用特約の必要性について考えてみます。

 

単身者向け物件の危険性

 

一般社団法人 日本少額短期保険協会の孤独死対策委員会の 2016 年レポートから孤独死に焦点を当てて単身者向け物件の危険性を検討したいと思います。

 

レポートによると、孤独死者の平均年齢は男性で 59.7 歳、女性で 57.8 歳です。平均寿命で考えるとかなり意外で男性で 20 歳、女性で 29 歳も若くして亡くなっています。また、男女比は 8:2 で男性が女性の 4 倍となっています。ちなみに賃貸住宅の単身者は 1000 万人での男女比は 6:4 です。年齢分布で見ると、男女とも最多は 60 歳代がピークで女性については、ダブルピークの分布となっており 30 ~ 40 歳代も多く自殺が原因であるようです。発見までの日数ですが、男性が 23 日、女性が 7 日で男女平均で 20 日、発見者は男性では近親者よりも職業上の関係者(警察を含む)が多く、女性の場合は近親者が半分以上となっています。家主の費用リスクとしては、原状回復費が 21 万円、遺品整理(残置物処理)が 39 万円となっています。もちろん、他に空室リスクがあります。入居者が男性の単身者で年齢が 50 歳代より上の場合は、特に危険度が高いと考えられます。

 

私の場合

 

所有物件のうち、単身世帯向けは全部で 8 戸(現在、1 戸空室)で他は複数人入居のファミリー向けです。8 戸のうち、実際に特約に入っているのは、区分の 1 室だけになります。この区分はオーナーチェンジだったのですが、入居されている方が地方出身の 50 代男性ということで特約を付けました。今後も物件毎に入居者の年齢や状況によって、柔軟に見直す必要があると考えています。私の物件の場合、単身者世帯向けは 20 代の若い方の入居がほとんどですが。

 

終わりに

 

孤独死は、年々増加傾向にあります。またご存知のように将来人口は減少しますが、単身世帯は今後も増えると予測されています。ちなみに2014 年のデータですが、東京 23 区で発生した単身者の孤独死は 2885 人とのことです。我々、大家にとって孤独死が日常になる日も遠くないのかもしれません。

 

なお、上記のレポートですが、さらに細かな分析がされており、例えば、発見までの日数別の損害額と支払い保険金など大家にとって興味深いデータもあります。ご興味のある方は一度見ておくと良いと思います。