こんにちは、競売大家さんです。

 

店子さんの家賃は家賃保証会社と契約してもらったり、連帯保証人で担保できますが、サブリース会社が破産するとどうしようもありません。だからこそ、サブリース契約をする時は、相手に経営状況を入念に確認する必要があります。

この反省をこめて、今回は今、世間で話題のサブリース会社の自己破産(裁判所にて、破産処理中)の案件について、これまでの経緯をお伝えします。

フルサブリース?

フルサブリースというふれこみで2015年に購入したS62年築札幌市内のRC23室の物件のサブリース会社が今回の主役です。

フルサブリースの『フル』の意味は、軽微な内装の費用も含むというもの。

保証人なしでも面談して1日1泊1000円。

30日後に3万円でそのまま住んでもらう。

中古の家具をつけマンスリー、ウイークリーで空室をうめていくので、壁紙などは必要以上に張り替えしなくてもいい、家具おけば、壁紙の破れも隠せるし、そもそも気にならないなどなど。

フルサブリースのA不動産営業マンの説明に納得して、不動産購入を決め、満室想定の7割の金額でサブリースが始まりました。

 

このA不動産(東京都港区)の子会社B管理会社(札幌市)は、民泊も広がっていない頃、いち早く直営で簡易宿舎をスタートさせていました。言わばマンスリー、ウイークリーの廉価版です。

時は、この簡易宿舎をめぐり、設備の面で、消防法に抵触しているやらで、行政が指導していた頃。

行政に対してもきちんと説明できて認めてもらったという説明に安心感と経営の先取り感を感じていました。

 

アベノミクスの波がまだ北海道に届く前の頃です。道内からは、札幌へ若者が夢を求めて集まってきます。

フルサブリースなので、入居者の出入りも心配いらず。

遠方なので目も届きませんが、フルサブリースながら銀行への返済額を大幅に上回る賃料がA不動産名義で毎月振り込まれます。このままでは、大幅黒字で高額納税者になってしまう。そんな心配を真剣にして節税対策もたくさん勉強しました。

 

購入後、2年間が経過。その間には、現地のB管理会社の社長とも定期的に現地に訪れ、その度に懇親を深めていました。人間関係は、きっちりとやっていましたが、入金管理は、すっかり安心して気を許していました。

 

火のないところに煙は立たぬ

しかし、ウハウハの時はそんなに長くは続きません。

 

通帳の残高に異変を感じ、あわてて記帳して、入金履歴を見ると

支払い遅れがありました。

あわてて、A不動産の担当営業マンに連絡を取ります。

「申し訳ありません。◯月×日にお振込みしますので」

確かに約束通り、A不動産名義で入金されました。

ただ、その次の月も支払いが遅れます。

さすがにやばいと思いA不動産の営業マンにアポを取りました。

A不動産の東京港区のオフィスに訪れると購入した時と事務所も営業マンも全く変わらない対応で安心。

変わっていたのは、A不動産の担当営業マンの名刺の肩書きくらいで、昇格して営業課長になっていました。

遅延の理由をきくと、営業課長は、真摯に状況を説明してくれました。

説明は、こうです。

『物件販売し過ぎて、フルサブリースの入居者がついて行かなくなりました』

想定内の回答です。むしろ、正直な内容だと思いました。

 

実は現地の子会社B管理会社社長と会った時には、本社(A不動産)への「最近は入居者が厳しいような物件を押しつけられる」という愚痴を聞かされていました。

 

これは私の物件は、入居者にとっても条件がいいし、入居づけも楽という話もB管理会社社長から聞いていたので、その前提で、他人事のようにその愚痴を聞いていました。

 

『販売時の(A不動産)利益で、実際には、現地小会社(B管理会社)に補填していたのですが、税務署の調査で、このA不動産からB管理会社へのサブリースの赤字分の補填が贈与とみなされ、追徴課税で2億円以上になりまして、、、大変申し訳ありません。ご迷惑おかけしないように、社長(A不動産)が金策しております』

 

いかにも本当らしい事情。あまりに実直な説明ぶり。既に3年に渡る付き合いにもなっていたので同情さえしてしまいました。

 

当然ながら、

『他オーナーも同じ状況ですが、各オーナー様の迷惑にならないよう、銀行返済が滞りないように順次支払いしております』

 

私は、つい仏心で、「こちらは、まだ返済出来なくなるレベルではないので、入金してもらえるのであれば大丈夫です」

そして、提案をひとつ投げかけました。

「物件売却して、仲介手数料と滞納賃料を相殺しましょう」

 

我ながらいいアイデア!相手もふたつ返事。

(振り返れば、この時点で取れるものは少しでも取っておけばよかったと後悔)

 

信じてよかった!

この訪問後には、言葉通り、遅れながらもA不動産名義で家賃振り込みは、ありました。

信じてよかった!と思いました。

同じ頃、一通の書面が手元に届きます。

 

札幌の現地子会社B管理会社からでした。

サブリース家賃振り込み名義がA不動産でしたが、C資金管理会社の名義に変更するという内容でした。支払い会社が変更されるが、サブリース料を支払う内容をわざわざ書面で、通知してくるということは、体制も整い、資金繰りがついたのだろうと、安心しました。

 

(元々、サブリース契約名はB管理会社と締結しているのになぜA不動産名義で入金されるのか、疑問に思った時もありましたが、資金的には親会社が握っているのだろうと理解し、問題視はしていませんでした

 

A不動産との当該物件の売買媒介契約書も締結。A不動産に売却活動にも入ってもらいました。

C資金管理会社の名義のサブリース料の振り込みも始まりました。

 

売却はうまくいくのか?

当時大人気のRC1棟モノで、昭和62年築と少し古めですが、1億円前後で、融資してくれる金融機関は今と比べるとまだまだたくさんあった時です。

 

ですが、信用がなくなったA不動産には、販売力もなくなっていました。

相場並みの売り出し価格でそれでも売却益もある販売価格でしたが、売却出来ない日々が続きます。

 

販売状況の確認がてら、A不動産営業課長に入金の状況も確認のメールをしますが、返事が来ない。

ヤバイ!と感じ電話。

 

A不動産営業課長とは、全く連絡がつかなくなり、港区のA不動産を訪問しますが、何の音沙汰なし。

2度目の訪問時にチャイムを鳴らすと、モノ音がして人の反応がありました。

中から出てきたのは、若い女性。

「現地子会社(B管理会社)からの家賃の振り込みがなくて困っているオーナーものです」

『代表者はずっと不在です。私はバイトなので、詳しいことはわかりません』

自分の名刺に『連絡してほしい』とメモを書き込み、一縷の望みをこめて女性に渡します。

 

被害の書き込み探し

もしかするとネット上では、何か被害の書き込みがあるのでは。

何故かインターネットにもA不動産もしくはB管理会社のサブリース未払い被害の書き込みなどはありません。間違いなく被害者はたくさんいるはずですが、継続的にネット検索しましたが、被害を匂わせるものは見つからず。

検索で出てくるのは、私が購入した時と同じ、更新が止まったままのA不動産会社ホームページ。

監督省庁の国交省や消費者庁への被害届けも検討しましたが、A不動産の営業が止まって、A不動産の返済原資がなくなっても意味はありません。

入金遅れが3ヶ月遅れたタイミングで一通の通知が届きます。

書面は、サブリース解約の通知。現地子会社B管理会社からでした。

社長名は、現地で接待してくれた羽振りのよかった社長から代わっていました。

 

サブリース解約の通知

この書面には、B管理会社とのサブリースの解除とE管理会社(A不動産とは別資本)に管理を引き継ぎする旨が記されていました。

 

この書面で、B管理会社の実態が明らかになりました。

すっかりお任せになって私は、理解していなかったのですが、普通賃貸契約のE管理会社は別に存在し、空室8部屋のみがB管理会社によって家具付きサブリースで運営されていたのです。

そのうち4部屋がマンスリー契約、残りの部屋は、普通家賃契約で入居者中、1階駐車場12台は、空きのままずっと放置されていました。

 

書面の主旨は以下です。

・普通賃貸契約は、そのまま引き継ぎ、マンスリー契約をそのまま引き継ぐか、普通賃貸契約に切り替え。

・管理契約は、E管理会社とあらたに締結。

 

ある意味ではラッキーでした。入居者の状況は全く見えていなかったので、サブリース解除後は、家賃がどれだけ入ってくるのか分からない状況でしたが、次月からはE管理会社から家賃が私の口座に直接入ってくるという内容でした。

 

フルサブリースのマンスリー、ウイーリーの入居者ばかりだと賃貸料が一気になくなるリスクも覚悟していたので、銀行返済額をぎりぎりカバーできる入金額に少し安心しました。

支払い能力がないサブリース会社に搾取され続けるよりは、当たり前ですが、E管理会社から直接入金してもらえる方が大変ありがたいです。

数ヶ月分の未収の回収は続きますが、正規の賃貸が次月からはきちんと振り込んでもらえると安堵しました。

 

この時になって初めてお金の流れが見えました。23部屋中19室の内訳は、マンスリー、ウイーリーの入居者と普通賃貸契約の入居者です。

マンスリー、ウイーリーの入居者は、B管理会社に入金。

普通賃貸契約の入居者は、E管理会社に入金。

E管理会社は、管理手数料を差し引きしてA不動産に入金。

 

当初二年間は、A不動産からサブリース家賃として、私の口座に入金。

途中からC資金管理会社(A不動産系列)からは、私の口座に入金。

 

管理の全体の構造がはじめて理解でき、お金の流れも見えてきました。

 

この入居者の家賃はどこへ?

あれ?

でも、普通賃貸契約の入居者分は、きちんとE管理会社がA不動産へ振り込んでいた可能性が高いはず?支払いが止まった4か月分の家賃は、一体どこへ行ったのか?

サブリース代は仕方ないとしても、支払われていた家賃は、私の手元に支払われるべきもの。急にふつふつと怒りがこみ上げてきました。

少なくてもこの分は取り返したい。

私は、この謎を解明すべく調査に立ち上がりました。

 

大きな教訓は、当時は、中古売りっぱなしの不動産会社より販売と管理が一体となって売却後も責任を持ってフォローしてくれる会社を選びましたが、今の時代、不動産会社の経営不振となると管理会社も危なくなるということです。

 

今回もご一読ありがとうございました。

 

次回のコラムは、この調査の奮闘について書きたいと思います。

 

 お楽しみに。