楽待実践コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。

 

今回は、第 20 回のコラムで紹介した地籍調査の結果について書きたいと思います。

何やら楽待界隈が、連載コラムの影響で賑やかですね。コメントする機会を逸したので、以前の婿さんのコラムのときのようにコメント代わりにコラムにしようかと思いましたが、既に実践コラムでも何名かのコラムニストの方が書かれているので、止めておきます💦侍さんのコメントも見逃してしまいました。残念無念。

でも、一言だけ。偶々続けて見たからでしょうか?

 

広之内さんの動画コラムと見比べると見えてくるものがあるような気がしました。

 

さて、本日は、

 

# 地籍調査の結果と地積錯誤とは

# 公図と現況のずれ

# 錯誤の理由を考える、測量技術について

# 地積は一定ではない

# 終わりに

 

です。

 

地籍調査の結果と地積錯誤とは

 

第 20 回で私のアパートの土地が地籍調査の対象になったことを紹介しました。地籍調査とは、一筆ごとに土地の所有者、地番、地目を調査して、境界の位置を確認して、地積を測量する国土調査のことです。コラムでは自己負担なく、隣地との境界標の確認と地積測量ができるので、結果によっては美味しい話だと書きました。

 

さて、その肝心の結果ですが、先々週の土曜日に市役所の道路管理課を訪問して確認してきました。閲覧したのは、地籍図原図と地籍簿(この段階では正確には地籍簿案)になります。地籍図原図には、境界標の位置と座標の情報が書き込まれています。現在の地籍図も持参したのですが、土地の形を比べるとちょっと違いました。現在の正方形に近い形ではなくもう少し長方形になっていました。なーんか嫌な予感がしました。

 

次に地籍簿案の方を確認すると、

「地積錯誤」

とありました。これは要するに実際の土地の面積が現在の登記記録上の面積とは違うということです。その場で説明していただきました。

 

ちなみに実測売買などで測量した結果、面積が違うということになれば、土地地積更正登記(登記簿の内容を実測面積に更正する登記のこと)が必要になりますが、地籍調査の場合は、この地籍簿案が確定すれば同時に更正登記されたことになります。

 

地籍錯誤ということで、次に地積を確認します。

元 : ○○3.53 m2
今 : △△8.46 m2

でした。

 

 

ガーン、マイナス -5.07 m2 です( ;∀;)

 

 

結構、違いますね。しかも小さい方に!

 

いろいろと損した気分になりました。どれだけ損しているか計算する気は起きなかったのですが、路線価でみれば約 75 万円損していることになります。

 

公図と現況のずれ

 

国土交通省によると、公図と現況のずれの傾向は次のようになっているようです。ずれは面積ではなく長さで評価してあります。数字は、割合と調査数です。

 

精度の高い地域(ずれが 10 cm 未満) 5.5% (17,995)

小さなずれのある地域(ずれが 10 cm 以上 30 cm 未満) 14.5% (47,942)

ずれのある地域(ずれが 30 cm 以上 1 m 未満) 27.7% (91,311)

大きなずれのある地域(ずれが 1 m 以上 10 m 未満) 49.8% (164,057)

きわめて大きなずれのある地域(ずれが 10 m 以上) 2.5% (8,253)

 

これは、平成 16 年度から 18 年度にかけて都市再生街区基本調査で収集した情報と現地調査を元に、公図の角の点に対応すると考えられる位置で測量した結果(現況)と公図を比べた結果で約半分が「大きなずれがある地域」ということになります。つまり、公簿売買の場合、半分は「大きなずれがある地域」である可能性があるということです。もちろん、測量された時代によって違いますが。

 

錯誤の理由を考える、測量技術について

 

まず、私の土地は一度分筆されており、今の地籍は 1980 年代に測量されたものになります。実測との差は約 5 m2 だったので、先程の国土交通省の区分では、「大きなずれがある地域」に相当します。

 

地積錯誤となってしまったわけですが、昔の測量技術と今の測量技術の違いについて簡単に紹介し、この技術の違いが精度にどのくらい影響するか検討してみます。ちなみに、理学部を卒業された方の中には、大学の講義で測量に関する講義を受け、測量士補の資格を取られた方もいるかと思います。その方にとっては復習ということでお付き合いください。

 

まず、第 20 回のコラムで、最も古い時代のものは明治時代になると書きましたので、まずその時代の話から始めます。「巻尺で三角測量してたんでしょ」って声が聞こえてきそうです。まあそうなんですが、まずもって大事なのは正確な緯度・経度を知ることです。近代の測量技術は明治時代にもたらされたのですが、1874 年に経度差の測量がアメリカ人によってなされました。

 

方法は、2 点間での電信によって行われました。すなわち、2 点間で時計を電信で合わせておき、例えば北極星の子午線通過を測定することで、その測定時間差が経度差になります。ちなみに電信ですが、日本が国際電信網で結ばれたのは、1871 年のことです。この年にウラジオストクと長崎を結ぶ海底ケーブルが敷設されました。この時代に海底ケーブルってあったんですね。ちなみに最初の太平洋を横断するケーブルは、マニラとサンフランシスコ間で 1903 年に敷設されています。その後、1884 年に「経緯度原点」が東京に設定され、この原点をもとに 1913 年に一等三角測量が進められ、一等三角測量網図が完成しました。当時、三角形の 1 辺の平均の長さは 45 km でしたが、1924 年に約 4 万点の三角点の緯度・経度をもとに 5 万分の 1 の地形基本図が整備されました。さて、三角測量ですから、精度は角度をどれだけの精度で読み取れるかに依存します。当時は、ドイツ製の一等経緯儀(カール・バンベルヒと言います。確か国立天文台に当時のものが残っていたと思います。)で 0.2 秒角まで読めたそうです。先程の 1 辺 45 km の三角形で考えると、この誤差は 4.5 cm となります。結構高いですね。つまり、きちんと技術がある人がちゃんと測定すれば、当時の技術レベルでも誤差は小さいはずです。

 

それでは、なぜ地積のずれは大きいのかですが、これは当時の精度の問題ではなく制度の問題で誤差が容認されていたことに尽きます。許容されていた面積誤差は、明治時代で 1/10 ~ 1/30 (明治 44 年に宅地は 1/20になった)、大正時代で宅地は 1/50 の誤差でした。税金は安い方が良いので、小さく申告することも可能だったのです。

 

さて、戦後になると国土調査法が 1951 年に制定されます。測量機器も経緯儀から光波測距儀となりました。また、現在の測量では、港区にある日本経緯度原点から成る日本測地系ではなく、世界測地系が使用されています。これは GPS 測量を主体としたもので 1996 年から導入されました。ここまで来ると誤差は、数 mm の精度となります。一方、制度の方ですが、これは国土交通省公共測量作業規定によると、水平位置の標準偏差で地図の縮尺に依りますが、許容範囲は 0.12 m ~ 7.00 m となっています。

 

昔の測量技術と今の測量技術の違いについて簡単に紹介し、影響を検討してみましたが、結局のところ技術の違いによる影響は小さく、これは制度の問題だと思います。今回の私の例では 1980 年代の測量ですが、結果として誤差は許容される範囲だったわけです。

 

公共測量作業規定の許容誤差は制度上は今も大きいですが、現在では数 mm の精度の測量が簡単にできるようになったので、許容誤差よりも遥かに小さい誤差しかないものと思います。

 

地積は一定ではない

 

地籍調査の結果、正しい?地積が計測されたわけですが、実は地積は一定でありません。

 

テレビ番組とかで日本は年々、ハワイに近づいているということを聞いたことがあると思いますが、プレートの運動や地震による地殻変動の影響を受けて変わることがあります。ハワイの話でいうと 1 年間に約 6 cm ずつ近づいています。また、東日本大震災では、最大 5.3 m の地殻変動が観測されています。地殻変動は、場所によって変動量がバラバラなので当然、面でみたら場所ごとに歪んだ変形となって現れるので、面積も変わってしまいます。測量技術の精度や測量法の制度とは関係なく地積が変わってしまう可能性があるわけです。

 

終わりに

 

地籍調査は残念な結果でしたが、現実は現実として受け入れるしかありません。ちなみに閲覧した際に担当の方に「閲覧期間中は何度でも閲覧できるので、気になることがあればまた来てくださいね」とか言われたのですが、ゴネる人とかいるんですかね。

 

まあ、私の場合は、コラムのネタになったので良しとしたいと思います。しかし、このコラム、需要ありますかね?

 

ちょっとオタク過ぎる内容となってしまいましたが、要するに

 

「公簿売買の地積は当てにならないよ。」

 

「土地値が気になるなら実測売買にしましょうね。」

 

ということでした。あーつまらん結論だ(´;ω;`)