こんにちは

実践大家のメッシといいます。私は自分で不動産投資を行いながら、賃貸管理会社で10年以上実務を担当していたサラリーマンでもあります。私は大家でもありながら、管理会社の内情、不動産業界の内情を知る立場でもあります。そんな立場から、不動産投資に少しでも役に立てればとコラムを書いています。

管理会社の管理費

賃貸物件オーナーは、管理会社に管理業務を委託するときに、いくら管理費を払わないといけないかを気にされると思います。

管理費が3%の会社と5%の会社では、オーナーの手残りに大きな差がでます。中には管理費0%などと宣伝している管理会社もあります。

しかし、管理会社に払わないといけない報酬は管理費だけではありません。管理費ばかりが注目されがちですが、実は大きな落とし穴が待っているかもしれないのです。

管理会社は大儲け?

今回は賃貸管理会社の売上構成についてご紹介させていただきます。

 

■管理費(PMfeeなどと呼んでいる場合もあります)

管理会社によって呼び方は様々ですが、委託する物件の総賃料に対してパーセンテージを掛けて算出するのが一般的です。

総賃料には、家賃、共益費の他、駐車場代、駐輪場代、看板使用料、自動販売機売上、水道光熱費などを含める場合がありますが、管理会社により含める範囲は異なります。

例えば、月額の総賃料が100万円の物件で、管理費が5%の設定の場合は、5万円となります。

1,000,000円 × 5% =50,000円

入居者からの家賃の振込先を管理会社の口座としている場合には、毎月、管理会社が回収した総賃料から管理費を相殺してオーナーの銀行口座に送金するパターンが多いです。空室などで家賃が入ってこない場合には、支払う管理費も比例して少なくなります

 

■仲介手数料

管理会社により契約代行手数料などと、呼び方は様々です。空室の部屋で新規に賃貸借契約を締結するときに、事務手数料として家賃の1ヶ月分、または0.5ヶ月分としているところが多いと思います。

新規募集条件で礼金ゼロやフリーレントなどを付けて募集している場合には、新規契約時にはオーナーにとっては持ち出しが発生することになります

ちなみに、広告料として、入居者を紹介してくれた仲介会社に支払う手数料を設定している場合も多いと思いますが、これは管理会社の売上とはなりません。

管理会社としては、入居者の審査をしたり、仲介業者と契約について打ち合わせをしたり、賃貸借契約書を用意したり、火災保険の手続きをしたりと、それなりの事務量になりますので、それに見合う手数料の位置づけです。

 

■更新手数料

入居中の部屋で、賃貸借契約の更新日を迎えると更新契約を締結することになります。その際には、更新契約書を用意するなど、相応の事務が発生します。

多いのは、入居者がオーナーに支払う更新料1ヶ月のうち、半分(0.5ヶ月分)を管理会社が更新手数料としてオーナーから受領します

■保証会社バックマージン

最近では賃貸契約に保証会社の保証を付けることが多くなっています。その保証料は入居者が負担している場合が多いと思いますが、保証料のうち、一部が保証会社から管理会社にバックマージンとして支払われています

数多くの保証会社があり、保証会社としても自社を使ってもらいたいと必死に管理会社に営業攻勢をかけています。管理会社としては、少しでもバックマージンの金額が多い保証会社の方がありがたいのは当然です。

保証会社により保証内容に差があり、保証が手厚い会社と、そうでない保証会社があります。オーナーとして気を付けないといけないのが、管理会社が利用している保証会社の保証内容です。

実は保証内容が充実していないにもかかわらず、バックマージンが大きいという理由だけで、管理会社がその保証会社を利用している可能性もあるのです。

 

■火災保険バックマージン

管理会社が保険会社の代理店となり、新しい入居者が入居するときに、火災保険に加入する場合が多いです。管理会社は保険代理店として、契約保険金額に応じて、保険会社から代理店手数料を受け取ります。

注意点は保証会社の場合と全く同じです

 

■カギ交換費用

賃貸新規契約時に、入居者の負担で玄関のカギを新しく交換する場合が多いと思います。2万円程度を入居者から管理会社が受領し、管理会社が手配しカギ交換を行うパターンが一般的です。

カギ交換は、管理会社が鍵屋に下請けに出して行う場合と、管理会社の社員が行っている場合があります。鍵屋に作業を下請けに出す場合は、大体1.5万円程度を支払うので、差額が管理会社の利益となります。

ただし、自社の社員が自らカギ交換を行っているパターンの方が多いと思われます。カギ交換は、シリンダーのみを交換するのが一般的ですが、実はそれほど難しい作業ではありませんシリンダーは3~5千円程度で手に入りますので(Amazonでも注文できます)、その場合、管理会社のカギ交換売上の利益率は70%を超えることになるのです!

 

■消毒・消臭費用

札幌でア〇〇〇ショップが爆発事故を起こしたことで話題になりましたが、賃貸新規契約時に、管理会社が入居者から部屋の消毒代や消臭代を徴収していることがあります。

建前は入居者が希望する場合にだけ施行するとしていたりしますが、実際には半強制だったりします。入居者からは1万~1.5万円程度を徴収しますが、消毒代や消臭スプレーの原価は数千円程度だったりします

管理会社にとって、とても利益率が高いため、事情が良く分からない入居者に、「皆さん必ず消毒を行っていますよ。やはり前の居住者の臭いが残っていたらイヤじゃないですか?」などと言って施行率を高めています。ア〇〇〇ショップの爆発事故では、費用を徴収していながら、実際には消臭作業を行なっていなかったことがバレてしまいました

■工事代

管理会社の売り上げに取って意外と大きな割合を占めるのが、工事売上です。賃貸物件では、原状回復工事はもちろん、設備の修繕・更新工事、漏水対応工事、大規模修繕工事など多くの工事が発生します

モニター付きインターホンや宅配ボックスなど、時代に合わせて、新しい設備なども建物に付加していくこともあります。

管理会社にもよりますが、協力業者に工事を下請けに出して、利益を2~3割程度稼いでいる場合が多いと思います。

オーナーの中には、現場の確認、工事の打ち合わせ、工事完了後のチェックなど、全てを管理会社に丸投げをしている場合もあると思います。

手間がかからなかったり、管理会社が良い工事提案や監修をしてくれている場合には良いのですが、割高な工事費用を払っていないか注意が必要です

 

■その他

賃貸物件には、様々な設備があります。例えばカメラ付きインターホン、宅配ボックスや無料インターネット設備、防犯カメラ、オートロックなど、入居者募集促進と称して、管理会社から様々な設備の設置を提案されることも少なくないと思います。

このような場合でも、管理会社は設備導入業者からバックマージンを受け取っている場合もあります

オーナーとしては、管理会社の提案が本当に入居促進に効果があるのか、施行金額が適切であるのかなど判断が必要です。

意外と低い、報酬に占める管理費の割合

管理会社に委託をする場合には、「管理費」のパーセンテージで委託費用が高いか安いかを判断をされるオーナーが多いと思います。しかし、私のイメージでは実際にオーナーが管理会社に支払う報酬の割合は以下のような感じと思います。

管理費30%

仲介手数料20%

更新手数料20%

工事費用(管理会社の利益部分金額)20%

その他10%

 

管理会社もつらい

賃貸業界では、「管理費」という言葉の印象が強すぎるようです

私が勤めていた会社でも、業界紙に広告を出すときには、「管理費が〇%」としか宣伝していませんでした。理由は、全部説明しても経験の浅いオーナーには簡単には理解できないうえ、他社との比較もできないからです

管理業務は安定こそしているものの、それほど大きく儲けることのできる業界ではありません。管理業務には、行わなければならない細かい作業がたくさんあり、人をやりくりして何とか業務を回している会社が多いのが実態です。

その中で、「管理費」は安く見せておいて多く業務を受託し、他のところでキチンと利益を稼ぐのが、管理会社に取っても現実的な対応策なのです。

発生する費用の実態が重要です

管理会社へ支払う費用の実態を良く把握しないまま管理を委託してしまうと、管理費が安い管理会社に業務を任せていたと思っていても、気が付いたら思ったより多くの費用を支払っていたということもあるかもしれません。

また、オーナーの知らないところで、管理会社が余計な手数料を設定していたりすると、入居者にとって割高な物件になってしまい、自分の物件の競争力が落ちてしまうことにつながります。

管理会社に業務を委託する場合や、他社へ管理を変更しようとする際には、「管理費」以外の費用や、管理会社が入居者に請求する費用を予め良く確認されることをお勧めします。