賃貸区分マンションを初めて買った直後、最寄り駅近くを歩いていて、賃貸仲介の店舗の前の道路に貼り出した賃貸広告の看板を見つけ、家賃相場を眺めていました。その時、「この周辺の家賃は、随分安いな」と感じました。が、思えば、つい先日までは同じ看板を見て、「家賃高いな」と感じていた自分に気づきました。

 

立場が賃借人から賃貸人に変わったのです。すると、家賃相場に対する感じ方も変わります。自分勝手なものです。

 

このサイトに訪れる人は、大家さんも多いと思います。無意識のうちに、大家の立場から物事を眺めているはずです。テレビドラマなんかで賃借人が家賃を滞納して逃げる場面を見たら、「きちんと、払ってからにしろや!」と思うはずです。しかし、他の視聴者が同じ思いかはわかりません。

 

私の昔の大家仲間が新宿区でシェアハウスを経営していました。元外資系製薬会社の社員ですが、当時既に、シェアハウスを新宿区の他、埼玉県や23区の城東地区に複数保有し、独立していました。

 

彼のシェアハウスの賃借人は、彼に言わせれば、属性が高くないそうです。滞納もしばしばです。滞納&逃亡もあります。初めから家賃を払う気がない計画逃亡(?)です。家賃支払い日が来たら賃借人が失踪します。そこで彼が、入居書類に記載された電話番号にかけたら、別の人が出ます。ここで、賃借人が初めから家賃支払い日までの無銭宿泊が目的だったと気づきます。部屋を見に行けばもちろん、荷物はありません。

 

そんな賃貸人を相手にする賃貸経営はやめて、同じ賃貸経営でも滞納しない賃借人を相手にしたら良いのにと思いますが、彼はやめません。シェアハウスは利益率が高いからです。狭いスペースに何人も賃借するからです。ただ、6年くらい前の話なので、今も儲かっているかはわかりません。

 

その彼がある日、池袋駅の近くを一人で歩いていたら、2か月ほど前に逃亡した滞納者と偶然出会ったそうです。

 

「あ、お前、見つけたぞ。家賃払え!」

「俺から取れるものなら、取ってみろ」

 

しばらく、小競り合いになりました。最後は、彼の首を絞めに来た滞納者の手を捕まえて、近くの交番に連れて行きました。警官に、「こいつ、家賃を払わないのです」と言ったそうです。すると警官は、意外なことを言い出しました。「彼も困っているのだから、君も見逃してあげなさい」。警官はなぜか、滞納者の味方でした。

 

世間から見れば、滞納者を厳しく取り立てる大家さんは、弱い者いじめみたいなイメージもあるようです。

 

なお、後日、彼(大家の方)は、「私も馬鹿だった。警察は家賃滞納など民事に不介入だから、滞納者と小競り合いになった時、相手に殴られてできた腕のあざ(つまり傷害事件)をその時、警官に見せたらよかった」と言っていました。