一室退去された。退去の理由は、結婚である。おめでたい。結婚して配偶者の実家のある長野県に引っ越す。相手の両親に「娘さんを僕にください」みたいなことを言いに行ったら、娘さんのお父さんから「いいけど、今、君のいる東京から、私達の実家、ここ長野県に来て、ここで就職して欲しい」と言われたそうだ。これが半年くらい前で、もう長野県に職を見つけたと言う。

 

部屋は大変きれいに使って頂いていた。IHが汚れていなかったので、「料理はなさっていなかったのですね」と尋ねたら、「していた」という。きれい好きなのだ。

 

収納スペースの中に、3段積の透明プラスチックの衣服入れが残っていて、「これは持って行かなくて良いのですか?」と聞いたら、それは自分がこの部屋に入った5年前に既にあったという。そこで、5年前に、この部屋を退去された女性のことを思い出した。彼女と退去の立ち合いで話す時、たしか、「この透明の衣服ボックスは次の方も使えるので、置いて行っても良いですか?」と聞かれて、「そのままで結構です」と私は答えたのだ。

 

彼女は当時、私が卒業したのと同じ大学の学生さんで、就職のためこの部屋を退去した。これが5年前だから、もう彼女は20代後半、社会人5年目の後半である。たしか、就職で保険会社と大手電信電話会社に内定し、どちらを選ぶかについて相談に乗った記憶がある。

 

今回退去の彼は「5年間お世話になりました」と言ってくれて、5年もおられたのかと思った。ここで大家根性を発揮し、その間家賃をいくら頂いたかを計算したら、物件価格の48%も支払って頂いていた。この物件は、2011年3月11日の地震の前に契約し、その後地震が来て、決済、引き渡し前に建物が倒壊したら、売買契約上どうなるのかと本気で心配したものだった。

 

退去する彼に、大家さん最後のお願いがあります、と言われた。自分が退去した後に来た郵便物を保管して置いて欲しいというのだ。彼が2カ月後くらいに長野県から取りに来ると言う。私は、「わかりました。保管しておきます。長野県からわざわざ来なくても、私がまとめて郵送します。なので、長野県の住所を後で携帯メールに送っておいて下さい」と答えておいた。こちらとしては、48%も払って頂いた方なので、当然である。

 

あと、長野県でいつか土地を相続する彼が、土地活用業者に利用されないよう入れ知恵しておいた。