こんばんは。小役人大家です。

 先週前半だったか、時差出勤中の地下鉄のドアに不動産投資本2冊の広告が並べて貼ってあるのを見かけ、強い反論の衝動に駆られたので、恐縮ですがここで発散させてください。

 首都圏で通勤されている方はご覧になったかもしれませんが、サラリーマンは楽しろとか、寝ながら金増やせとか、主張しているらしい本です
 これら本の広告から受けるイメージは以下のようなものでした。

①不動産投資は誰でも始められる。資金も手間も不要。
②家賃収入は不労所得である。
③数年で簡単に月数百万円稼げるようになる。

 あーあ、、かぼちゃで大変な目にあった人や、レオ●レス物件が暴落しているニュースは記憶に新しいハズですし、この2年で不動産投資をめぐる雰囲気はかなり厳しいものに変わったと思っていたのですが、まだこんな本が出るんですね。。
 しかも、アマゾンの評価はどちらも星4つ以上付いてます。
 そりゃ、読まずに批判するのは失礼かもしれません。もしかしたら、目から鱗の秘法が書かれていたり、実はリスクについてもちゃんと書かれていたりするのかもしれません。

 その上で、以下、本そのものというより、私が広告から受けた印象に対する個人的反論です。ここに来られる大多数の方には釈迦に説法ですが、本件広告本のような本を手に取られる方がいくらかでも来ていただけたらと願いつつ。

想定問答

【問】不動産投資は誰でも始められて、資金も手間も不要なの?
【答】
んなこたないです。銀行から見て低属性で自己資金もない人が、真っ当な方法で融資を引けるとは思えません。かぼちゃ事件の前ですら、年収600万円、自己資金300万円だった私に対し、フルローンやオーバーローンを貸してくれるという銀行は皆無でした

 多少は勉強していたので、現実的に買え、かつ買ってもよい物件イメージを持っていましたが、それを伝えると不動産会社にすら相手にされませんでした。(私の1本目の記事ご参照。)

 

【問】家賃収入は不労所得でしょう?

【答】んなこたないです。失敗なく1件目の物件を買うには相当の努力が必要ですし、買った後も運営で苦労します。空室リスクがもたらす日々のストレスもかなり大。最新の情報にも常にアンテナを張らないと競争に負けます。

 よほど入居率がいい物件を割安に買えたなら、管理会社に運営を丸投げして左団扇でいいのかもしれませんが、そんな物件は買取業者か、経験と自己資金のあるプロ・セミプロの投資家が瞬殺で持っていきます。わざわざ初心者にタダでお宝物件の情報をくれる仲介業者を私は見たことがありません。それはもはや慈善業者です。

 そもそも、利確していない投資案件から家賃収入だけ切り離して不労所得と呼べるでしょうか。カス物件を高値掴みしてしまったら、家賃収入なんかでは取り返しのつかない大損を将来する可能性もあります。

 例えるなら、FXでレバレッジをうんと利かせて買ったトルコリラのようなものです。スワップ金利収入は年間30%入ってくるのかもしれませんが、トルコリラ自体の暴落で多額の含み損を抱えているので、ポジションを整理した時に大損が発生します。不動産投資は含み損が見えず、スワップ金利の部分だけ見えるので、不労所得のように見えるだけです。

 もちろん、不動産投資はFXと違い、ロスカットがないので売却の時期をコントロールできますし、運営の仕方で収支もある程度コントロールできるので、全く自分の意思と無関係に動く為替よりリスクは低いです。だからと言って、いつでも希望の価格で売れるわけではなく、リスクを軽視すると痛い目に遭います

 現に私は、焦って1棟目でカス物件を高値掴みしてしまい、強く後悔しています。最悪、1,000万円の含み損と腹を括ってます。(#6「『高値掴み』とはこういうことです!」ご参照。)

 これはさすがに悲観的すぎるかもしれませんが、1棟目なんて、不労所得どころか練習と割り切り、失敗せずブレークイーブンで売り抜けられれば良しとすら思ってます。

 

【問】数年で簡単に月数百万円稼げるようになるんでしょ?

【答】んなこたないです。大きな間違いですが、仮に「稼げる」を「キャッシュフローが得られる」という意味だと解して話を進めます。

 年収500万円のサラリーマンが20倍のレバレッジで1億円分の首都圏駅近物件を表面利回り12%、返済比率50%で買ったとしましょう。この時点で初心者にはかなり困難な相当優秀な数字と思います。

 年間家賃収入1,200万円ですが、半分はローン返済に回るので600万円です。

 また、運営経費がかかります。表面利回り12%ということは築古ですから、駅近とはいえ、空室損込みで少なくとも年間家賃収入の25%の経費は見積りましょう。年間手残り300万円、月では25万円です。これが1億円の規模の現実です

 これを10倍して、10億円の規模にすれば、月250万円のキャッシュフローが得られますが、自己資金のなかった初心者が数年で銀行から10億円も借りられるでしょうか。。できるとしても、初期の投資でかなり成功して、規模が拡大してからの話です。1億円の規模に達するのすら、普通は2~3年くらいかかるはずです

 

結論

 不動産投資のリスクは株やFXほど高くないにしても、決して不労所得ではなし

 かぼちゃ事件のように、医者や弁護士という高属性、高学歴の人たちですら失敗しているのです。初心者が気軽に始めると大変なことになる可能性があるので、しっかり勉強し、決して低くはないリスクをちゃんと自覚した上で始めるべきです

 それでも、数年で月数百万円のキャッシュフローなんて現実的に想像できません

 

 嗚呼、3年前の自分に言ってやりたいです。。

 スッキリしました。ありがとうございました。