こんにちは。サラリーマン大家の良波直哉です。
大家をやっていると、入居者さんから思いもよらぬ連絡がくることがあります。そしてこれは、私が保有している1棟マンションでの話です。
その時の状況を、入居者さんとのリアルな会話や、私の心情などを交えてご紹介したいと思います。
今回はその前編です。
入居者Aさんからの電話
その電話は小腹がすいて大好きな今川焼でも食べようかと考えていた時にかかってきました。
時計を見ると夜の11時を回っている。
電話をかけてきたのは入居者のAさん。
Aさんと今川焼、どっちにしようか?一瞬悩みます。
こんな時間だし今川焼が先でも問題ないだろう。
でも、こんな時間にかかってくる電話の内容も気になる・・・
結局、今川焼を後にして電話に出る。
「大家さん?大変だったんですよ!」
何やら興奮気味で少しうれしそう。
すぐに深刻な事態ではないと分かり、ほっとする。
では何だろう、また入居者のゴシップ話か?
Aさんはこのマンションの事情通。
「一応、大家さんの耳に入れておいた方が良いかと」
そう言って連絡をくれることがある。
そっち系の話か・・・今川焼にすればよかった・・・
私の後悔そっちのけで、Aさんはこう切り出した。
「事情聴取されたんですよ! 警察に!」
事情聴取!? 警察!?
一瞬にして血の気が引く。
そして想定されることが私の脳内を駆け巡った。
空き巣? 強盗!? 喧嘩?
建物に車が突っ込んだ!?
まさかスピード違反で捕まったってオチじゃないだろうな・・・
恐る恐る聞いてみる。
「何があったんです・・・?」
Aさんは待っていましたとばかりに話を続ける。
「今日は夜8時すぎに帰ってきて、奥さんと晩御飯を食べたんですよ」
えっ、そこから?
「晩御飯の後は2人でテレビを見てて・・・
映画とかですね、音量は別に大きくなかったんですけど」
テレビの音で隣から苦情か?
「その後はお風呂に入ったんですよ、奥さんと交代で」
その説明いる?
「私のお風呂の間に奥さんは外出とかしてなくて、
つまり私が帰った夜の8時から2人でずっと部屋にいたんですよ」
夫婦仲が良いことは分かったが・・・
なかなか本題が始まらない。
「インターホンが鳴ったんですよ、突然」
そりゃ事前にインターホン鳴らすよ、って連絡する人はいないでしょ!
ちょっとめんどくさくなって、
「はあ」
とだけ答える。
Aさんはさらに口調を強め、
「10時半ですよ。夜の10時半。そんな時間に誰かがインターホンを鳴らしたんですよ」
まさかピンポンダッシュか?
いったい俺にどうしろと!?
「液晶モニターを見ると警察官が立ってたんですよ」
そうだ、事情聴取の話だった!
Aさんが警察官から聞いた話を要約するとこうでした。
このマンションの110番通報で駆け付けた。
建物内や駐車場を見てきたが何事もなかった。
事情を聞くため、灯りのついている部屋を回っている。
30分ほど前に不審な物音など聞いていないか?
「でも変なんですよ。30分前ってことは10時でしょ」
名探偵Aさんの推理
ここからAさんは急に落ち着いた口ぶりに変わった。
「10時に僕と奥さんは2人とも部屋にいたんですよ。
しかも8時からずっとですよ」
さっきまでのは、おのろけではなく、この話の前振りだったのか。
やっと話が見えた。
「でも不審な物音とか聞いてないんですよ、2人とも。
テレビの音がうるさかったわけでもないのに」
なるほど・・・・
「それに僕の部屋ってマンションの入口からすぐでしょ。階段も目の前だし。騒ぎがあったら絶対に気づくはず」
確かに・・・・
「でも僕と奥さんは2人とも何も聞いていない」
ふむふむ・・・・
「しかも警察官は現場を分かってなかったんですよ。
建物の中なのか外なのか。
入居者なら伝えるはずでしょ、
何階の何号室とか、駐車場のこの辺とか。
110番でそれを言わないなんて、ありえない」
その通りだ!
「ってことは通報したのは外部の人間」
Aさん、するどい!!
「そして、事件は起こってなかった。
つまり、、、通報はいたずらで違いない!」
探偵か!!
Aさんはさらに続けました。
「なのでこっちから聞いてみましたよ。警察官に。
誰からの通報で、どんな内容だったのか」
警察官に逆事情聴取? やるな~
「でも、そういうことは話せませんって、
何も教えてくれなかったんですよ。
こっちには聞いてるくせに」
捜査上の秘密ということか・・・
「結局、何も分かんないんですが、また通報されるかもしれないので、一応、大家さんの耳に入れておいた方が良いかと思って電話しました」
私はAさんにお礼をして電話を切りました。
Aさんの言う通り、また通報されるかもしれない。
どうしよう・・・
この続きは、次回のコラム(後編)でご紹介します。
プロフィール画像を登録