明けましておめでとうございます。サラリーマン大家の良波直哉です。
新しい年を迎え、2021年の不動産投資市場のトレンドについて考察してみました。

結論からになりますが、2021年は空き家を活用したセーフティネット住宅が新たなトレンドになると予測しています。

2020年のコロナ禍の影響

2020年は新型コロナウィルスにより世界中が大きな打撃を受けました。
厚生労働省の発表によると、各自治体の感染者数の合計は22万1,246人、死亡者数は3,205人(2020年12月28日時点)となっています。
しかし未だ増加傾向が続いており歯止めが掛からず、収入の減少・失業などにより家賃の支払いに困っている方も増えています。

厚生労働省は求職活動中の方への住居確保給付金の支給期間の延長をさらに延ばす方向で調整しているそうですが、コロナ禍の終息のメドが立たない状況では問題の先送りに過ぎないのかもしれません。
雇用情勢の改善の見通しも立っておらず、多くの人が住居の困窮状態に陥りかねないといった状況です。

2021年度の国土交通省の予算

 2021年度の国土交通省の予算が2020年12月に閣議決定されました。
私はこの予算の中で下記の3つに注目しました。

・空き家対策や地域の魅力を活かすため
 適正な土地利用等の促進[129億円]

・既存住宅流通・リフォーム市場の活性化[87億円]

・多様な世帯が安心して暮らすことができる
 住宅セーフティネット機能の強化[1,151億円]

そして、この3つを組み合わせることで不動産投資市場に新しいトレンドが生まれるのではないかと思えたのです。

セーフティネット住宅とは

セーフティネット住宅とは、増え続ける空き家・空き室を活用し、住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、子育て世帯など)の入居を拒まない賃貸住宅のことです。

 

国土交通省や東京都などが推進しており、改修・入居に向けた経済的支援、住宅確保要配慮者と建物のマッチング・入居支援といった制度があります。これらの制度は物件を貸す大家側にも大きな大きなメリットがあります。

※ 国土交通省ホームページ「新たな住宅セーフティネット制度について」のページから抜粋。

この制度を活用する条件を満たすと補助金や支援が受けられます。

・改修費補助
国による直接補助(改修費用の1/3)
区市町村を通じての補助(改修費用の2/3)

・家賃の低廉化
家賃を減額すると減額分が補助の対象になります。
例えば家賃を12万円から8万円に減額した場合、差額の4万円が補助となるようです。

・入居支援など
自治体や関係業者、居住支援法人などが連携して、物件を貸す側と借りる側の双方に情報提供などの支援をしてくれます。

もちろんメリットだけでなくデメリットもあります。
例えば入居される方は、何かしらの事情により精神的に不安定な方も多いようです。

※ 制度の詳細は国土交通省のホームページなどで確認してください。

収益物件としての可能性

収益物件は、安い価格で購入、費用対効果の高いリフォーム、稼働率の高さなどがポイントになります。これらを自己資金だけではなく、国や自治体の補助金を活用できるのです。そうなると収益物件として大きな可能性があるのではないでしょうか。また空き家を活用することで少ない費用で始められるため比較的参入しやすいと思います。

このため収益物件としてセーフティネット住宅に参入する不動産投資家が増えると予想しています。

2021年は、このセーフティネット住宅の社会的な必要性と収益物件としての認識が広がり、不動産投資市場の新たなトレンドになると期待しています。