こんにちは。地方在住・兼業大家のTOMMYです。

インボイス制度についてのコラムを書き始めて、シリーズ4回目となりました。

前々回のコラムでおたふくさんから頂いたコメントのとおり、給与・年金以外の収入を得ているフリーランスや自営業の方など、広く影響を受けるお話です。

 

(シリーズ1回目にも書いていますが)①国内において ②事業として ③対価を得て ④譲渡・貸付・役務提供 を行う場合には消費税の課税取引となります。

例えば・・・

* Youtubeの広告収入(広告に対する対価)

* 原稿料や講演料(原稿等に対する対価)

* 外交員報酬(給与所得に該当する部分を除く)

*業務委託報酬(サービスや成果物の対価)

 

これらの収入は、現行制度下では「自分が課税事業者か否かに関わらず 消費税分を預かることができた」のですが、インボイス制度下では「インボイス発行事業者でないと 消費税分を預かることができない」ことになると思います。

これまで以上に、どの事業(物件)をどの法人(個人)に持たせるか、免税でいくか簡易にするか本則か、といった戦略が重要になりそうです。

 

さてここから本題、本日は「居住用物件の大家さんは、どんな影響を受けるのか?」を考察してみたいと思います。

 

 

◆物件取得時

令和2年10月以降、居住用賃貸建物の取得等にかかる消費税は、仕入れ税額控除の対象外となっています。100%レジであれば、影響なしです。

*自分が免税事業者の場合 → そもそも関係なし

*自分が課税事業者(簡易)→ みなし仕入率のため関係なし

*自分が課税事業者(本則)→ 仕入税額控除対象外

 

ただし、自分が課税事業者(本則)の場合、建物以外の課税仕入れ(仲介手数料、司法書士報酬等)に関しては、仲介業者や司法書士等がインボイス発行事業者か否かによって、消費税負担が変わってきます。

 

◆賃貸中

居住用建物の貸付は(政策的理由により)非課税取引です。とはいえ、駐車場など別途請求している場合には一部課税取引が出てきます。

自分が免税事業者の場合 → 駐車場消費税分の収入減

*自分が課税事業者(簡易)→ 収入変わらず、要インボイス対応

*自分が課税事業者(本則)→ 収入変わらず、要インボイス対応

 

自分が免税事業者の場合、家賃に含む形での契約に変更する(=全て非課税取引になる)等の手段によって収入減少を避けられる可能性もありますが・・・

家賃に含めると検索条件にかかりにくく、客付時不利になる懸念がありそうです。

消費税分の値下げ要求が来たり、法人契約が取りづらくなることも考えられますね。

 

なお、自分が簡易課税の場合には、仕入先がインボイス発行事業者であってもなくても、自分の消費税納税に影響はありません(みなし仕入率を使って税額計算をするので)。

一方、自分が本則課税の場合には、修繕業者などの仕入先がインボイス発行事業者でなかったら、仕入税額控除が小さくなって消費税負担が増加しちゃいます。

 

◆売却時

居住用賃貸建物の売却は、課税売上となります。

令和2年10月からの改正は、あくまでも買手側(購入者)の仕入れ税額控除にできないよーという話であって、課税取引であることに変わりありません。

自分が免税事業者の場合 → 消費税分の預り×

*自分が課税事業者(簡易)→ 消費税分の預り○

*自分が課税事業者(本則)→ 消費税分の預り○

 

100%レジは買手側(購入者)で仕入税額控除できないので、売り手側=自分が免税事業者であっても直接的なハンデにならないでしょう

自分が簡易課税の場合は、課税売上の消費税×60%(=100%-みなし仕入率40%)の消費税納付が発生します。

自分が本則課税の場合は、インボイスのとれる大規模修繕や設備投資がないと、簡易課税以上に消費税負担が大きくなります。

 

◆売却の2期後

消費税の納税義務は、基準期間の課税売上高によって決まります。

これまで免税事業者だった方も、2期前の建物売却額が1千万円を超えていれば課税事業者になり、インボイス発行事業者として登録が必要になります

そうなると、他の居住用物件駐車場につきインボイス対応が必要に・・・

レジonlyだからインボイスなんて関係ない!と思っていても、影響出てくるかもしれませんね。

 

次回以降、「テナント物件の大家さんは、どんな影響を受けるのか?」「太陽光発電のオーナーさんは、どんな影響を受けるのか?」の考察コラムに続きます。

 

***またまた次回に続く***