一世を風靡した消費税還付。

スルガショック前の不動産投資は消費税還付が流行っていたのは周知のことと思います。

消費税還付について個人的な意見を書かせていただきます。

 

消費税還付とは、ざっくり言うと、取得した物件の建物部分の消費税を現金で還付することですが、これがなぜ流行ったかというと、

①手元現金が増える

②多法人スキームにおいて還付された消費税を見せ金とすることによりフルローンで物件を購入することができる

③手元現金を使わずに規模の拡大ができる(レバレッジをかけられる)

といった理由がありました。

 

ご存じのとおり消費税還付が流行したためその都度改正が入り、令和2年10月から居住用建物については消費税還付ができないこととなりました。

 

今回の話は、そもそも消費税還付が流行ったのはどうだったのだろう?という話です。

 

というのも、消費税還付により拡大していた人の中にはすでに消えている人もいるからです。

(○クメン大家さんは今どうしているのでしょうか。)

また、多法人スキームで購入を進めた人で現在資金繰りに汲々としている人が散見されます。

 

消費税還付を否定するつもりはありませんが、手元資金がない普通のサラリーマン属性の人が急拡大するにあたっては、

①多法人スキーム(1物件1法人スキーム)

②消費税還付による見せ金と物件取得諸費用への充当

が必要であるという主張が当時あったと思います。

 

ここで、多くの投資家は「買い続けられるし拡大できるからいいだろう」と思って購入しているわけですが、多くの場合、消費税還付金額の3割を税理士に報酬として支払い、また、場合によっては3年間の固定で割高な顧問料を支払っていたりします。

この報酬は「経費になるからいいだろう」などと言われ、納得する人もいるようです。しかし、フルローンやオーバーローンで物件を購入している場合は実際どうなんだろう?と思っていました。

 

なぜなら、フルローンやオーバーローンで購入し、還付された消費税は借入金と対応するものであり、借入に対応する建物の一部が現金に振り替わっただけだからです。

 

もっと簡単に言うと、

 

現金は通帳に入るけど、フルローンやオーバーローンの場合、借入は残ったままだからちゃんと返済しないといけないよ

ということです。

 

還付された消費税の3割を報酬として支払っていた場合は、借入の一部を経費にしているということになります。現金のキャッシュアウトが生じますから、当然、実質的な利回りも低下します。

 

ここで、報酬を払ってもおつりがくるくらいの良い物件を立て続けに取得できるのならばそれはそれでオーケーですよね。

しかし、それは難しかったのではないでしょうか。

当時は融資が緩く物件価格も高騰した状況だったからです。

(今でもそうですが・・・)

少なからずババをつかまされていたとしても不思議ではありません。

 

【ジーンズを売る話】

『昨年、元税理士の○賀氏は消費税還付の助言により得た約8億2700万円の所得を隠し、計約2億1200万円を脱税した疑いで国税局より指摘を受けました。彼は税理士を廃業し、国税局の指導に従い修正申告し、納税しました。』

 

○賀氏は廃業にはなりましたが、彼はゴールドラッシュでジーンズを売った人ではないでしょうか?

 

ゴールドラッシュとは新しく金が発見された地へ、金脈を探し当てて一攫千金を狙う採掘者が殺到することですが、特に有名な物はアメリカ・カリフォルニアで1848年に起きたカリフォルニア・ゴールドラッシュと呼ばれるものです。

このカリフォルニア・ゴールドラッシュでジーンズを売りさばいたリーバイ・ストラウスさんの儲けはとんでもないものでした。

(下の写真はリーバイ・ストラウスさん

1829年2月26日生まれ、 1902年9月26日没、享年73歳)

 

 

ところで、カリフォルニア・ゴールドラッシュで一攫千金を狙った人は金(富)を手に入れられたのでしょうか?

このカリフォルニア・ゴールドラッシュで金を目当てにカリフォルニアに来た人のほとんど(95~99%)は初期投資費用も回収できず、その多くは経済的に破綻したと言われています。

当時カリフォルニアに来た食い詰め者は目先の欲に駆られて我先にと突進し、破産していきました。

 

さて、(六本木につかの間に訪れた)不動産ゴールドラッシュはこの先どうなるのでしょうか?

六本木のほうはジーンズを売る人が先に破綻してしまいましたがwww

そこに金脈があると信じて不動産を購入した人は今後どうなるのでしょうか?

 

【まとめ】

物件高騰期に高値価格帯で購入し、いわゆる消費税還付スキームにより報酬を払って現金を還付した物件群は、やればやるほどジリ貧に陥っているのでは?

というのが結論です。

瞬間的には手元現金が増え、初年度は取得諸費用を経費にできるので還付後数年間は耐えられる人も多いと思います。しかし、その物件が高値づかみである場合、高い返済比率と次年度以降の黒字化による税金の発生等により手残りが減少、またはキャッシュアウトの発生により、それはボディーブローのように後で効いてきます。

(幕の内一歩のワンインチパンチを思い浮かべてください。相手は数ラウンド後に悶絶しているでしょう。)

 

この数年後に効いてくるというのがポイントで、しばらくはいけそうと錯覚した人もいるはずです。

しかもあなたにジーンズを売った人は最初からそのことに気づいていたかもしれません。たとえ気づいていてもあなたにそれを告げるかどうかはジーンズ売りの任意です。

 

そして、数年後に破綻が見えたとき、あなたにジーンズを売った人に文句を言ってはいけません。

ジーンズ売りはその時必ずあなたに

「それは自己責任です」と言うでしょう。

(告知義務違反なんてものはありません。そしてそのお金が都心新築の原資になっていたとしても、それによって拡大した自身の建設会社があったとしても、それとこれとは関係ないと言うでしょう。)

もしあなたが「セミナーでは良いことしか言わなかったジーンズ売り」や、「周りのイケイケな状況とそれを助長して儲けようとする煽り屋」に流されたのだとすれば、「それは自己責任です」と言われても仕方がないのではないでしょうか。

 

消費税還付をやりすぎてしまった人は先に退場してしまいました。

次は物件高騰期に何棟もフルローンやオーバーローンで購入した人の番ではないでしょうか。

うーん・・・、でも・・・、無理筋だと思いますが今のスルガの裁判次第では回避できる可能性もありますよね・・・。