マスターマインドという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
その定義は以下の通りです。
マスターマインドの定義
「明確な目標を達成するための二人ないしはそれ以上の人たちによる、調和された、知恵(そして知識)と努力の協力関係(もしくはそういう関係にある人を指す)」
[出典:ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』p331]
出典も著者も有名なので読んだことがある人は多いのではないでしょうか。
利害は関係なく、協調し、共に成長する集団で、得られた知識をそのグループ内で共有することをその定義としています。
この「思考は現実化する」の中でナポレオン・ヒル氏は、マスターマインドによってグループの意識が共有化されることにより、大きなベクトルが発生し集団意識とともに動き出すことにより、一人でやるよりも大きなことを成し遂げることができると言っています。
ただし、ここで問題となるのは、ナポレオン・ヒル氏が言っているのは、
「グループでやるのならより大きなことを成し遂げる方向付け・動機づけ・エネルギーの発生源泉にはなる」ということであり、
「グループ内で得られた知識ないし知見が正しいかどうかの検証やその方向性が正しいかどうかは関係ない」のかもしれないという点です。
これは、マスターマインド成立後のことは書籍や関連する情報商材の売れ行きとは相関関係にないからかもしれません。
また、上記を言い換えて、
「それは私のあずかり知らぬことではない。だが、まずは始めることが重要なのでありそのためのマインドブロックをはずすことが私の使命なのである」
といった一見すると耳障りのよい言葉になることがあります。
ここで、
「まずは物件取得やお金の移動がないと周辺業者は誰も儲からない」という裏の意味について想起することは悪いことではないと思います。
今回はこれを田舎の木造新築についてあてはめて考えてみようという話です。
【田舎の新築の話】
田舎の新築に短期的にはメリットはあると思います。
短期的にみると利回りは10%前後とれますし、新築時から10年間ほどは修繕が発生しにくく、その間の家賃下落がなければ安定的なCFが得られます。
一般的な場合として、家賃65,000円×1LDK40㎡6戸の木造新築の場合を想定します。
下記プランで利回り10.4%(4,680,000円÷45,000,000円)となります。
(物件プラン的に下記の予算では難しいかもしれませんがシミュレーション上の仮定ということでお願いします。こういった物件はたまにあります。)
[新築時物件スペック]
家賃年収 4,680,000円
家賃月収 390,000円
土地 600万円(坪6万×100坪)
建物他 3,900万円(一戸あたり550万(税込)×6戸+外構・駐車場+諸費用)
支出総額 4,500万円
借入金額 4,500万円
借入期間 22年
融資条件 元利均等返済、金利1.5%
返済金額 200,229円/月
返済比率 51.3%
(元金均等返済だと返済比率は58.1%(=226,704円/390,000円))
実際は空室率や退去率や原状回復コスト等を細かく計算すべきですが、ここではランニングコストと税金が30%程と仮定すると、年間の手残りは90万程になるかと思います。
【検証その1】
私のエリアでは、築2~3年ぐらいから、回転数で言うと2回転目ぐらいから新築プレミアムがなくなります。
そもそも新築時の家賃設定が高く、これで決まるの?という場合が多かったりしますが、意外と新築はそれで決まります。
そして10年ぐらいでだいたい1万円ほど家賃が下落します。
10年が経過した場合に手残り等がどうなるかというと、
[10年後物件スペック1]
家賃年収 3,960,000円
家賃月収 330,000円
借入残債 2,637万円
残借入期間 12年
返済金額 200,229円/月
返済比率 60.6%
返済比率は60.6%に上昇します。
ここで上記と同様にランニングコストと税金が30%程と仮定すると、年間の手残りは37万程になるかと思います。
さらに10年ぐらい経過すると、修繕も発生しやすくなります。
また、物件によってはこのシミュレーション自体が甘い可能性があります。
というのも、私のエリアではハウスメーカーの同様の物件の新築家賃は上記の65,000円ぐらいなのですが、物件によってはそもそも新築時に背伸びしすぎていることがあり、土地が額面通りの坪6万円の土地ですと、一定期間経過後に大きく下落する可能性があるからです。
新築が大好きで新築に住みたいという方は結構います。彼らは賃料が多少高くても払っていただける人たちなのですが、彼らが去った後はコスパを重視する人たちの選別を受けることになります。
さらに、立地が微妙だと、10年後に1万円以上の家賃が下落する可能性があります。
(実際にそうなった事例があります。)
【検証その2】
月50,000円でも決まらない立地が実際にあるのですが、月50,000円に下落した場合のシミュレーションは以下のようになります。
[10年後物件スペック2]
家賃年収 3,600,000円
家賃月収 300,000円
借入残債 2,637万円
残借入期間 12年
返済金額 200,229円/月
返済比率 66.7%
返済比率は66.7%になります。
この場合の手残り額は非常に少ないものとならざるを得ません。
そして、築後7年から10年までに売りに出される場合はこういったことによる不安がその原因の一つだったりします。
(実際は収益還元利回り12%前後で売却する場合は家賃総額が重要になるため、当初からの高い家賃を払っていただいている入居者がいる状態で売りに出される可能性を考慮してください。もしあなたが売る側だったらそうしますよね?)
【検証総括】
ここで、
①ブログ等で「新築時から家賃の下落はありません。」と書かれている記述を見て、
なぜそれを書く必要があるのだろう?
自分が不安に思っているからそう書いているのではないだろうか?
②「7年~10年後に売りに出して入居者にそれまでに払っていただいた純資産を回収する」といった記述を見て、
確かに高値での売却が成功すれば売却後の手残りは相当になるけど、なぜそんなことを書くのだろうか
といった裏の意味を想起してみようというのが冒頭よりの話です。
また、「本質的価値」に注目すると、最終的にはこの場合の土地の坪単価6万円が影響します。
坪単価の低い土地あるあるだと思いますが、
・利便性が低い
・土地の形が悪い
・周りが田畑だらけで競合物件が建てられる可能性が高い
といった理由で物件の価値は土地と同様の微妙なものとなる可能性があります。
この場合は22年の返済を耐えきれるかどうかが最大の焦点となります。
(あなたのエリアにも○オパレス銀座と呼ばれる地域がありませんか?)
冒頭の話に戻ると、マスターマインドによって大きく動き出した流れはそれ自体の効果により一人の力ではそのベクトルの向きを変えることが難しくなります。
例えば、新築木造会(仮)というグループがあった場合を想定すると、そのグループにおいても、自然と序列付けができ、リーダー(インフルエンサー)の言うことが集団の総意となりやすかったり、声が大きい人が物件所有数等に関係なく発言権が大きくなったりすると思います。
この検証における物件は短期的にはCFを得られますので、短期的にはお金持ちになったように見え、それを(長期的には破綻するかもしれないとしてもその前に)情報を発信することで、さらに流入してくる加入メンバーにジョーカーを押し付ける、いわゆるババ抜きゲームに発展するかもしれません。
【まとめ】
まとめると、
グループを創る事には有用性はあるが、グループや先導者が間違っているということはありうる。
または、その時代は合っていたけど後の時代に合わなくなることはありうる。
という話です。
物件にもよりますが、数年後に手取り収入が減るかもしれないし出口もなくなるかもしれないと思った人は、戸建ても含めて今こっそりと売却しているかもしれません。
そして、後日売却したことを公表し、洗練された投資家だからその時売却したと、今ブログやSNSに書いていることと真逆のことを後日書いているかもしれません。
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