内見したお客様から申し込みをいただいた翌日

ハウス・コム稲毛店(仮名)から着信があった

 

一瞬

もし保証会社の審査がダメだったら…という考えが頭をよぎり

見なかったフリをしてしまいそうになる

 

ここぞという時に限って弱いメンタルが露見する

おそるおそるスマホに手を伸ばす

やっとここまで来たのに躊躇するな

 

電話の相手は若い女性のようだった

声に聞き覚えがなかったので

新人なのか、他の店舗から異動してきたのか

『お世話になります。

ハウス・コム稲毛店の広瀬すず(仮名)と申します。

保証会社の審査結果が出たのですが…いま少しお時間宜しいでしょうか?』

 

もももちろん大丈夫です

それで…あの、その、結果のほうは…(滝汗)

あっという間にスマホを握る手が汗でびっしょりに

 

『ありがとうございます。

日本セーフティ株式会社(仮名)による審査は承認されました。

後ほど審査結果の用紙を添付してメールしますのでご確認ください。

引き続き宜しくお願い致します。』

※日本セーフティ株式会社(仮名)とは…日本の家賃保証会社。全国で52000店舗以上の取り引き実績がある。家賃保証をメインにおこなっており、近年は大家さんにとっても連帯保証人より確実に滞納家賃を保証してくる家賃保証会社の方が安心という声も(楽待新聞社記事より抜粋)

気持ちが昂ったせいか

無意識のうちに爪の痕がつくほど手を強く握っていた

 

またひとつ入居という名のハードルを越えた

どんなセールストークよりも雄弁に審査結果は私に語りかけてくる

 

 

『あっ、ありがとうございます!

こちらこそ宜しくお願い致します!

あのっ…マツイ店長にもくれぐれも宜しくお伝え下さい!

 

スマホを握りしめたまま何度も頭を下げていたので

知らない人が見たら典型的な営業職の中年サラリーマンだろうな

 

だがしかし

ハウス・コム稲毛店(仮名)からの電話を切り

束の間の高揚感のあとに…ふと嫌な予感が頭をよぎる

口に出すと現実になってしまいそうで怖い

その嫌な予感とは

 

“申し込みキャンセル”

 

つづく…